[12月18日15:00.天候:雪 長野県北安曇郡白馬村 JR白馬駅前足の湯]
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。温かくて気持ちいいです……」
エレーナ:「日光・鬼怒川の“ダンテ先生を囲む会”を思い出すぜ」
マリア:「あの時、足湯入ったっけ?」
エレーナ:「気持ちの問題だぜ。なあ?稲生氏」
勇太:「ま、まあね」
マリア:「リリィはともかく、エレーナは魔女宅でよく家に来るじゃないか」
エレーナ:「今はうちのポーリン先生に付いているだけだぜ。しばらく、魔女宅は休みだぜ」
エレーナとリリアンヌは、ポーリン組に所属している。
師匠のポーリンは魔界を拠点にしており、マリアの屋敷は魔界とこの世界との中継地点にもなっていた(他に中継地点はワンスターホテルにもある)。
久しぶりにポーリンが魔界からこの世界に戻って来たので、今日はマリアの屋敷に泊まることになったのだ。
勇太:「魔界はそんなに大変な状態なの?」
エレーナ:「ミッドガード帝国と、ようやく停戦したんだけど、アルカディアシティの復旧が大変なんだぜ」
勇太:「そうなのかぁ……」
エレーナ:「まあ、魔界高速電鉄だけはいち早く復旧したがな」
リリアンヌ:「フフフ……。瓦礫の中を走る路面電車……落盤したトンネルを掘り直して走る地下鉄……」
勇太:「路面電車はともかく、地下鉄はそんな復旧の仕方でいいの?」
エレーナ:「いいんじゃね?さて、そろそろ上がろうぜ。ディナーまでに戻ってこいって、先生の指示だっただろ」
リリアンヌ:「フヒヒ……そうです」
しかしリリアンヌ、足湯から出たところで、近くに設置されてるセブンティーンアイスの自販機をジィーッと見つめた。
勇太:「食べたいの?」
リリアンヌ:「こ、ここ、こう見えても、17歳(セブンティーン)なもので……フフフフ……」
勇太:「ウソぉ!?」
エレーナ:「ウソじゃないぜ。ま、入門した時はまだ12歳~13歳だったから、見た目はそのまんまだがな。魔道士を見た目で判断するんじゃねーぜ?それは稲生氏、オマエも分かってんだろ?」
勇太:「そ、それもそうか……」
40歳女性の見た目をしていながら、実年齢は1000歳以上のイリーナを思い浮かべた勇太だった。
勇太:「分かったよ。何にする?」
リリアンヌ:「Merci beaucoup!(ありがとうございます!)」
エレーナ:「やったぜ!稲生氏の奢りだぜ!太っ腹だぜ!ありがとうだぜ!」
マリア:「オマエは日本語かい」
勇太:「何がいい?」
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。そ、そそ、それじゃ、このバニラアイスを……」
エレーナ:「私はクリームソーダだぜ」
マリア:「じゃあ、御言葉に甘えて。宇治抹茶ラテ」
勇太:「はいはい」
リリアンヌ:「フヒッ!?本当にアイスクリームが出てきました!」
勇太:「そりゃ、そういう自販機だもんね」
エレーナ:「フランスじゃ、珍しいんだとよ。もっとも、世界中で自販機が充実しているのは日本くらいなもんだぜ」
勇太:「そうなの?」
エレーナ:「新聞の自販機とか電車のキップとか、あとはガムの自販機か?飲み物以外で売ってるモンっつったら、それくらいだぜ」
リリアンヌ:「フフフ……。お菓子の自動販売機なら、パリで見たことあります……」
勇太:「ふーん……。エレーナのホテルにも、自販機あるでしょ?」
エレーナ:「ああ。飲み物の自販機な。他にも有料チャンネルのカードとかもあるぜ」
勇太:「“ベタなビジネスホテルの法則”だね」
エレーナ:「何だそりゃ」
マリア:「食べたらさっさと戻ろう。雪積もって来た。完全に閉ざされる前に戻らないと」
勇太:「そうだね」
[同日16:00.天候:雪 長野県北部山中 マリアの屋敷]
エレーナ:「ディナーの前に運動しろって、どういうことだぜ?」
勇太:「足湯の許可は取ってるはずなんだけどねぇ……」
マリア:「いや、多分罰ゲームじゃないと思う。この前と違ってランニングじゃなく……普通にフィットネスだから」
今度のランニングマシーンは、勾配を付けられることはなかった。
エレーナ:「まあいいぜ。確かにここ最近、運動不足だったからな。タダでフィットネスマシーン使ってOKと考えれば、あながち……な」
リリアンヌ:「フヒヒ……。そ、そそ、それにしても先輩達、どうしてそんなアスリートみたいなユニフォーム着てるんですか?」
エレーナ:「ロッカーの中にあったのが、これだったんだ。何かおかしいか?」
エレーナは青いスポブラと、レーシングショーツを穿いていた。
マリアは緑色のそれである。
マリア:「オマエは何の疑いも持たないんだな。さすが東欧系」
エレーナ:「ああ?カンケーあんのか、それ?」
因みにリリアンヌは何だか日本の高校の体操服みたいに、上が白のTシャツ、下が臙脂色の短パンである。
エレーナ:「てか、オマエも出身は私の国の隣だろうが」
マリア:「育ちはイギリスだから、東欧って感じはしないねぇ……」
勇太:「それより、さっさと終わらせよう。今度は1キロだって」
マリア:「海抜500メートル走じゃなくて、今度は海抜0メートルの1000メートルか。こっちの方が楽そうだ」
エレーナ:「何を言ってやがるんだぜ」
エレーナがランニングマシーンの上を走り出す。
エレーナ:「稲生氏!美人魔道士2人が陸上ユニ着て汗だくになる姿、間近で見てチ【ぴー】おっ立てるんだぜ!」
マリア:「何さらっと下ネタ言ってんだ!」
リリアンヌ:「フヒーッ!?い、稲生先輩、そういう趣味のある人……!」
勇太:「ちちち、違う違う!誤解だって!」
エレーナ:「リリィ!今度そのショートパンツ、ブルマに穿き替えてやんな!そしたら稲生氏、もっと喜んでくれるぜ!」
リリアンヌ:「フヒッ!?ぶ、ぶるま……!?な、ななな、何ですか、それは……!」
マリア:「エレーナ!だから下ネタ言うの、やめろ!」
勇太:(一体先生達は、何を考えていらっしゃるのだろう……?)
1人だけ普通のジャージの勇太は、そんなことを考えながらランニングマシーンの上を走った。
時折、セパレーツタイプのユニフォームを着ている美人魔道士2人をチラチラ見ながら……。
勇太:(僕、無事に年末迎えられるんだろうか……)
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。温かくて気持ちいいです……」
エレーナ:「日光・鬼怒川の“ダンテ先生を囲む会”を思い出すぜ」
マリア:「あの時、足湯入ったっけ?」
エレーナ:「気持ちの問題だぜ。なあ?稲生氏」
勇太:「ま、まあね」
マリア:「リリィはともかく、エレーナは魔女宅でよく家に来るじゃないか」
エレーナ:「今はうちのポーリン先生に付いているだけだぜ。しばらく、魔女宅は休みだぜ」
エレーナとリリアンヌは、ポーリン組に所属している。
師匠のポーリンは魔界を拠点にしており、マリアの屋敷は魔界とこの世界との中継地点にもなっていた(他に中継地点はワンスターホテルにもある)。
久しぶりにポーリンが魔界からこの世界に戻って来たので、今日はマリアの屋敷に泊まることになったのだ。
勇太:「魔界はそんなに大変な状態なの?」
エレーナ:「ミッドガード帝国と、ようやく停戦したんだけど、アルカディアシティの復旧が大変なんだぜ」
勇太:「そうなのかぁ……」
エレーナ:「まあ、魔界高速電鉄だけはいち早く復旧したがな」
リリアンヌ:「フフフ……。瓦礫の中を走る路面電車……落盤したトンネルを掘り直して走る地下鉄……」
勇太:「路面電車はともかく、地下鉄はそんな復旧の仕方でいいの?」
エレーナ:「いいんじゃね?さて、そろそろ上がろうぜ。ディナーまでに戻ってこいって、先生の指示だっただろ」
リリアンヌ:「フヒヒ……そうです」
しかしリリアンヌ、足湯から出たところで、近くに設置されてるセブンティーンアイスの自販機をジィーッと見つめた。
勇太:「食べたいの?」
リリアンヌ:「こ、ここ、こう見えても、17歳(セブンティーン)なもので……フフフフ……」
勇太:「ウソぉ!?」
エレーナ:「ウソじゃないぜ。ま、入門した時はまだ12歳~13歳だったから、見た目はそのまんまだがな。魔道士を見た目で判断するんじゃねーぜ?それは稲生氏、オマエも分かってんだろ?」
勇太:「そ、それもそうか……」
40歳女性の見た目をしていながら、実年齢は1000歳以上のイリーナを思い浮かべた勇太だった。
勇太:「分かったよ。何にする?」
リリアンヌ:「Merci beaucoup!(ありがとうございます!)」
エレーナ:「やったぜ!稲生氏の奢りだぜ!太っ腹だぜ!ありがとうだぜ!」
マリア:「オマエは日本語かい」
勇太:「何がいい?」
リリアンヌ:「フヒヒヒ……。そ、そそ、それじゃ、このバニラアイスを……」
エレーナ:「私はクリームソーダだぜ」
マリア:「じゃあ、御言葉に甘えて。宇治抹茶ラテ」
勇太:「はいはい」
リリアンヌ:「フヒッ!?本当にアイスクリームが出てきました!」
勇太:「そりゃ、そういう自販機だもんね」
エレーナ:「フランスじゃ、珍しいんだとよ。もっとも、世界中で自販機が充実しているのは日本くらいなもんだぜ」
勇太:「そうなの?」
エレーナ:「新聞の自販機とか電車のキップとか、あとはガムの自販機か?飲み物以外で売ってるモンっつったら、それくらいだぜ」
リリアンヌ:「フフフ……。お菓子の自動販売機なら、パリで見たことあります……」
勇太:「ふーん……。エレーナのホテルにも、自販機あるでしょ?」
エレーナ:「ああ。飲み物の自販機な。他にも有料チャンネルのカードとかもあるぜ」
勇太:「“ベタなビジネスホテルの法則”だね」
エレーナ:「何だそりゃ」
マリア:「食べたらさっさと戻ろう。雪積もって来た。完全に閉ざされる前に戻らないと」
勇太:「そうだね」
[同日16:00.天候:雪 長野県北部山中 マリアの屋敷]
エレーナ:「ディナーの前に運動しろって、どういうことだぜ?」
勇太:「足湯の許可は取ってるはずなんだけどねぇ……」
マリア:「いや、多分罰ゲームじゃないと思う。この前と違ってランニングじゃなく……普通にフィットネスだから」
今度のランニングマシーンは、勾配を付けられることはなかった。
エレーナ:「まあいいぜ。確かにここ最近、運動不足だったからな。タダでフィットネスマシーン使ってOKと考えれば、あながち……な」
リリアンヌ:「フヒヒ……。そ、そそ、それにしても先輩達、どうしてそんなアスリートみたいなユニフォーム着てるんですか?」
エレーナ:「ロッカーの中にあったのが、これだったんだ。何かおかしいか?」
エレーナは青いスポブラと、レーシングショーツを穿いていた。
マリアは緑色のそれである。
マリア:「オマエは何の疑いも持たないんだな。さすが東欧系」
エレーナ:「ああ?カンケーあんのか、それ?」
因みにリリアンヌは何だか日本の高校の体操服みたいに、上が白のTシャツ、下が臙脂色の短パンである。
エレーナ:「てか、オマエも出身は私の国の隣だろうが」
マリア:「育ちはイギリスだから、東欧って感じはしないねぇ……」
勇太:「それより、さっさと終わらせよう。今度は1キロだって」
マリア:「海抜500メートル走じゃなくて、今度は海抜0メートルの1000メートルか。こっちの方が楽そうだ」
エレーナ:「何を言ってやがるんだぜ」
エレーナがランニングマシーンの上を走り出す。
エレーナ:「稲生氏!美人魔道士2人が陸上ユニ着て汗だくになる姿、間近で見てチ【ぴー】おっ立てるんだぜ!」
マリア:「何さらっと下ネタ言ってんだ!」
リリアンヌ:「フヒーッ!?い、稲生先輩、そういう趣味のある人……!」
勇太:「ちちち、違う違う!誤解だって!」
エレーナ:「リリィ!今度そのショートパンツ、ブルマに穿き替えてやんな!そしたら稲生氏、もっと喜んでくれるぜ!」
リリアンヌ:「フヒッ!?ぶ、ぶるま……!?な、ななな、何ですか、それは……!」
マリア:「エレーナ!だから下ネタ言うの、やめろ!」
勇太:(一体先生達は、何を考えていらっしゃるのだろう……?)
1人だけ普通のジャージの勇太は、そんなことを考えながらランニングマシーンの上を走った。
時折、セパレーツタイプのユニフォームを着ている美人魔道士2人をチラチラ見ながら……。
勇太:(僕、無事に年末迎えられるんだろうか……)