報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「交流会」

2021-12-18 20:30:10 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月18日15:00.天候:雪 長野県北安曇郡白馬村 JR白馬駅前足の湯]

 リリアンヌ:「フヒヒヒ……。温かくて気持ちいいです……」
 エレーナ:「日光・鬼怒川の“ダンテ先生を囲む会”を思い出すぜ」
 マリア:「あの時、足湯入ったっけ?」
 エレーナ:「気持ちの問題だぜ。なあ?稲生氏」
 勇太:「ま、まあね」
 マリア:「リリィはともかく、エレーナは魔女宅でよく家に来るじゃないか」
 エレーナ:「今はうちのポーリン先生に付いているだけだぜ。しばらく、魔女宅は休みだぜ」

 エレーナとリリアンヌは、ポーリン組に所属している。
 師匠のポーリンは魔界を拠点にしており、マリアの屋敷は魔界とこの世界との中継地点にもなっていた(他に中継地点はワンスターホテルにもある)。
 久しぶりにポーリンが魔界からこの世界に戻って来たので、今日はマリアの屋敷に泊まることになったのだ。

 勇太:「魔界はそんなに大変な状態なの?」
 エレーナ:「ミッドガード帝国と、ようやく停戦したんだけど、アルカディアシティの復旧が大変なんだぜ」
 勇太:「そうなのかぁ……」
 エレーナ:「まあ、魔界高速電鉄だけはいち早く復旧したがな」
 リリアンヌ:「フフフ……。瓦礫の中を走る路面電車……落盤したトンネルを掘り直して走る地下鉄……」
 勇太:「路面電車はともかく、地下鉄はそんな復旧の仕方でいいの?」
 エレーナ:「いいんじゃね?さて、そろそろ上がろうぜ。ディナーまでに戻ってこいって、先生の指示だっただろ」
 リリアンヌ:「フヒヒ……そうです」

 しかしリリアンヌ、足湯から出たところで、近くに設置されてるセブンティーンアイスの自販機をジィーッと見つめた。

 勇太:「食べたいの?」
 リリアンヌ:「こ、ここ、こう見えても、17歳(セブンティーン)なもので……フフフフ……」
 勇太:「ウソぉ!?」
 エレーナ:「ウソじゃないぜ。ま、入門した時はまだ12歳~13歳だったから、見た目はそのまんまだがな。魔道士を見た目で判断するんじゃねーぜ?それは稲生氏、オマエも分かってんだろ?」
 勇太:「そ、それもそうか……」

 40歳女性の見た目をしていながら、実年齢は1000歳以上のイリーナを思い浮かべた勇太だった。

 勇太:「分かったよ。何にする?」
 リリアンヌ:「Merci beaucoup!(ありがとうございます!)」
 エレーナ:「やったぜ!稲生氏の奢りだぜ!太っ腹だぜ!ありがとうだぜ!」
 マリア:「オマエは日本語かい」
 勇太:「何がいい?」
 リリアンヌ:「フヒヒヒ……。そ、そそ、それじゃ、このバニラアイスを……」
 エレーナ:「私はクリームソーダだぜ」
 マリア:「じゃあ、御言葉に甘えて。宇治抹茶ラテ」
 勇太:「はいはい」
 リリアンヌ:「フヒッ!?本当にアイスクリームが出てきました!」
 勇太:「そりゃ、そういう自販機だもんね」
 エレーナ:「フランスじゃ、珍しいんだとよ。もっとも、世界中で自販機が充実しているのは日本くらいなもんだぜ」
 勇太:「そうなの?」
 エレーナ:「新聞の自販機とか電車のキップとか、あとはガムの自販機か?飲み物以外で売ってるモンっつったら、それくらいだぜ」
 リリアンヌ:「フフフ……。お菓子の自動販売機なら、パリで見たことあります……」
 勇太:「ふーん……。エレーナのホテルにも、自販機あるでしょ?」
 エレーナ:「ああ。飲み物の自販機な。他にも有料チャンネルのカードとかもあるぜ」
 勇太:「“ベタなビジネスホテルの法則”だね」
 エレーナ:「何だそりゃ」
 マリア:「食べたらさっさと戻ろう。雪積もって来た。完全に閉ざされる前に戻らないと」
 勇太:「そうだね」

[同日16:00.天候:雪 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 エレーナ:「ディナーの前に運動しろって、どういうことだぜ?」
 勇太:「足湯の許可は取ってるはずなんだけどねぇ……」
 マリア:「いや、多分罰ゲームじゃないと思う。この前と違ってランニングじゃなく……普通にフィットネスだから」

 今度のランニングマシーンは、勾配を付けられることはなかった。

 エレーナ:「まあいいぜ。確かにここ最近、運動不足だったからな。タダでフィットネスマシーン使ってOKと考えれば、あながち……な」
 リリアンヌ:「フヒヒ……。そ、そそ、それにしても先輩達、どうしてそんなアスリートみたいなユニフォーム着てるんですか?」
 エレーナ:「ロッカーの中にあったのが、これだったんだ。何かおかしいか?」

 エレーナは青いスポブラと、レーシングショーツを穿いていた。
 マリアは緑色のそれである。

 マリア:「オマエは何の疑いも持たないんだな。さすが東欧系」
 エレーナ:「ああ?カンケーあんのか、それ?」

 因みにリリアンヌは何だか日本の高校の体操服みたいに、上が白のTシャツ、下が臙脂色の短パンである。

 エレーナ:「てか、オマエも出身は私の国の隣だろうが」
 マリア:「育ちはイギリスだから、東欧って感じはしないねぇ……」
 勇太:「それより、さっさと終わらせよう。今度は1キロだって」
 マリア:「海抜500メートル走じゃなくて、今度は海抜0メートルの1000メートルか。こっちの方が楽そうだ」
 エレーナ:「何を言ってやがるんだぜ」

 エレーナがランニングマシーンの上を走り出す。

 エレーナ:「稲生氏!美人魔道士2人が陸上ユニ着て汗だくになる姿、間近で見てチ【ぴー】おっ立てるんだぜ!」
 マリア:「何さらっと下ネタ言ってんだ!」
 リリアンヌ:「フヒーッ!?い、稲生先輩、そういう趣味のある人……!」
 勇太:「ちちち、違う違う!誤解だって!」
 エレーナ:「リリィ!今度そのショートパンツ、ブルマに穿き替えてやんな!そしたら稲生氏、もっと喜んでくれるぜ!」
 リリアンヌ:「フヒッ!?ぶ、ぶるま……!?な、ななな、何ですか、それは……!」
 マリア:「エレーナ!だから下ネタ言うの、やめろ!」
 勇太:(一体先生達は、何を考えていらっしゃるのだろう……?)

 1人だけ普通のジャージの勇太は、そんなことを考えながらランニングマシーンの上を走った。
 時折、セパレーツタイプのユニフォームを着ている美人魔道士2人をチラチラ見ながら……。

 勇太:(僕、無事に年末迎えられるんだろうか……)
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“大魔道師の弟子” 「帰省の準備」 2

2021-12-18 15:15:13 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月5日12:00.天候:曇 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 買い物を終えて帰宅した魔道士2人。
 タクシーみたいな車から降りると、メイド人形のダニエラとナンシーが出迎えて来る。
 車のハッチを開けて、そこに積んだ買い込んだ物を降ろす。
 それから屋敷に入ると、エントランスにイリーナがいた。

 イリーナ:「おやおや。これまた随分と買い込んだねぇ……」
 マリア:「ぜ、全部必要なものです!この化粧水とかは私が使いますので!」
 イリーナ:「なるほど。それにしてもマリア、もっと高くて良い化粧水使っていいんだよ?」
 マリア:「いえ、大丈夫です」

 マリア、100円ショップで購入した化粧水を使っていた。

 マリア:「案外、高品質なので」
 イリーナ:「そうかい」
 勇太:「先生、電車のキップ、買ってきました。予定通りの“あずさ”です」
 イリーナ:「うん、分かったよ。そのチケットは、勇太君が預かってて」
 勇太:「分かりました」
 イリーナ:「それじゃ、ランチにしましょう」

 荷物は人形達に預け、3人の魔道士は大食堂に入った。

 イリーナ:「足湯は気持ち良かったかい?」
 マリア:「師匠!?」
 勇太:「あ……やっぱり御存知でしたか……」
 イリーナ:「ゴメンねぃ。たまたま水晶玉で見てたのよ」
 マリア:「師匠、あれは駅の施設なので、けして寄り道では……」
 イリーナ:「そお?なーんか調べてみると、駅の施設にしては、運営元が違うような気がするんだけどねぇ……」
 マリア:「ギクッ!」(;゚Д゚)
 イリーナ:「まあ、GPSから思いっ切り外れるわけじゃないし、私なら大目に見てあげるかな」
 マリア:ε-(´∀`*)ホッ
 イリーナ:「これがナスっちなら、『それでも話が違う!全員で腕立て!!』とかやりかねないけどねw」
 マリア:「うぅ……」
 イリーナ:「というわけで、私の罰は『食後にフィットネスルームにて、ランニングマシン500メートル走』にしましょう」
 マリア:「ええっ!?」
 勇太:(ただの食後の運動なのでは?)
 イリーナ:「勇太君には御褒美かもねw」
 勇太:「僕も付き合うんですよね。分かります」

[同日13:00.天候:曇 マリアの屋敷B1F フィットネスルーム]

 マリア:「別に競技に出るわけじゃないのに、こういうユニフォーム着るって……」

 https://www.pixiv.net/artworks/85515064
(陸上ユニを着るマリアのイメージ)

 勇太:「……ふつくしい……」
 マリア:「勇太、見とれてないで、オマエも走れ!」
 勇太:「はいはい」
 マリア:「ったく!勇太は普通のジャージで、何で私はこんな薄着なんだ!」
 勇太:「先生の御命令だから仕方が無いよ。ふふ……」
 マリア:「何で笑う!?」
 勇太:「じゃあ、僕が用意した体操着着る?」
 マリア:「……次に走るハメになったらそうする。まだ下がビキニタイプより、ショーパンタイプがいい」
 勇太:「よし!さっさと走って終わらせよう!」

 勇太が先にランニングマシーンで走ろうとした時だった。

 勇太:「ん!?」
 
 突然、ランニングマシーンに勾配が付けられた。
 その為、2人の魔道士は坂道を駆けるような感じになる。

 マリア:「師匠!これはどういうことですか!?」

 水晶玉にイリーナの姿が映し出される。

 イリーナ:「何言ってるの?ただ500メートル走って終わりなわけないでしょ?」
 マリア:「Huh!?」
 イリーナ:「海抜500メートル走よ?」
 マリア:「What?!」
 勇太:「ええーっ!?」

 とんでもない寄り道の罰ゲームだった。
 が……。

 マリア:「はぁ……はぁ……っ!」

 マリアは汗だくになりながらも、何とか海抜500メートルを走り切った。

 マリア:「もう……無理……」
 勇太:「マリア、大丈夫!?」

 先にゴールしていた勇太が、倒れたマリアを抱き起す。
 ムワッとした汗の匂いが勇太の鼻をついた。

 勇太:「……!」

 しかし、勇太にとってはいい匂いである。

 イリーナ:「フム……こんなものか。マリアは、もう少し体力を付けなさいね。こんなんだから、『魔道士は、ひ弱だ』って戦士などに見下されるんだから」
 マリア:「はい……」
 イリーナ:「それじゃ、水分補給したらシャワーで汗流してきて。で、着替えたら、おやつのじかーん!」
 勇太:「結局、午後から修行だったか……。ん?今日は日曜日だよね?」
 マリア:「『魔道士の世界に安息日は無ェ』とかエレーナは言ってたけど、結局は師匠の匙加減だったりする……」
 勇太:「な、なるほど」

[同日15:00.天候:曇 マリアの屋敷1F西側大食堂]

 イリーナ:「はい、お疲れさん」
 マリア:「明日、絶対筋肉痛になる……」
 イリーナ:「たまには運動もしないとダメよ?プールだって、温水で入れるようになってるんだから」
 マリア:「はあ……」
 勇太:「因みに先生、もしも筋肉痛になった場合、回復魔法は使っていいのでしょうか?」
 イリーナ:「構わないよ。どこで、どのタイミングで回復魔法を使うか。その判断力を付けるのも修行のうちだからね」
 勇太:「ですって。マリアさん」
 マリア:「体中痛くなって、使える余裕あるかなぁ……」
 勇太:「痛くなるのは足だけじゃない?」
 マリア:「うーん……」
 イリーナ:「その時はポーションを使ってもいいよ」
 マリア:「分かりました」
 イリーナ:「それで勇太君、何かさっき、御両親から連絡があったみたいだけど……」
 勇太:「ああ……。先生も上京されるということで、最初の夜はホテルに泊まろうということらしいです」
 イリーナ:「そうなの?」
 勇太:「はい」
 イリーナ:「何か、気を使われてるみたいだねぇ……」
 マリア:「実際そうなんでしょうね」
 勇太:「シティホテルを予約したいということですが……」
 イリーナ:「いやいや!ダンテ先生が来るわけじゃあるまいし!無駄なお金は使わないでって言ってくれる?」
 勇太:「わ、分かりました」
 イリーナ:「何なら、エレーナのホテルでもいいくらいよ」
 マリア:「あれはさすがに安っぽ過ぎます」
 勇太:(エレーナのホテルよりは高級感があって、しかしシティホテルよりはリーズナブルなホテルか……)

 勇太はそのことを両親に伝えようと思った。

 勇太:(ランク的にはビジホに入るけど、その中にでもプレミアム的な……)
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