報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「最終電車での帰路」

2021-01-12 20:23:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日21:40.天候:晴 栃木県日光市相生町 JR日光駅→日光線874M列車1号車内]

 私達を乗せた車はJR日光駅前のロータリーに到着した。

 管理人:「こちらでよろしいですか?」
 愛原:「はい、ありがとうございます」
 リサ:「きれい……」

 レトロ調の駅舎はライトアップされ、澄んだ冬の空気に輝いている。

 管理人:「……!」
 愛原:「お世話になりました。もし、宜しかったら私の名刺をどうぞ」
 管理人:「ありがとうございます。ただ、あいにく私は嘱託の管理人なもので、名刺は持ち合わせていないのですが……」
 愛原:「ああ、いいですよ。お名前は何と仰るのですか?」
 管理人:「白井伝三郎と申します」
 愛原:「白井さんですか。今日はありがとうございました」
 白井:「いえいえ。どうぞ、お気をつけて」

 私達は車を降りた。

 リサ:「冷えるねぇ」
 愛原:「リサの場合、『寒い』じゃなくて『冷える』なんだな」
 高橋:「先生、終電は?」
 愛原:「21時52分だそうだ。まだ10分くらいあるな」
 高橋:「ちょっと便所行ってきていいっスか?」
 愛原:「いいよ。俺も行こう」
 リサ:「私も行くー」

 JR日光駅には駅舎内に客用トイレが無いので、ロータリー内にあるトイレを使用することになる。
 そこでトイレを済ませてから、私達は駅の中に入った。

〔「今度の宇都宮行きは、1番線から21時52分の発車です。本日の宇都宮行き、最終電車です。お乗り遅れの無いよう、ご注意ください」〕

 ずっとダンジョンを駆け巡っていたせいか、トイレの後は随分と水分を欲した。
 自動販売機で水のペットボトルを買うと、それを一気に半分ほどは飲んでしまうほどだ。
 リサなんか完全に一気飲みである。

 リサ:「お代わり」
 愛原:「冬場だとなかなかスポーツドリンク、自販機で売ってないもんな」

 仕方ないので、2本目はお茶のペットボトルにしておく。
 私も寒いので、温かいお茶のペットボトルをもう一本購入した。

 愛原:「しまった!斉藤社長に連絡を忘れていた」
 高橋:「先生、もうすぐ発車ですよ」
 愛原:「分かってる分かってる」

 改札口を通ると、目の前のホームに4両編成の電車が止まっていた。
 往路で乗ったような観光仕様ではなく、普通の通勤電車だった。
 もっとも、塗装や行き先表示など、日光線のオリジナリティの出た物になっている。

 愛原:「もしもし?斉藤社長ですか?愛原です。夜分遅くに、申し訳ございません。今、日光駅です。……はい。調査の方は先ほど終了しまして……」

 私は時間を気にしながら、電車と車掌の方をチラチラ見る。

 愛原:「報告の方は……あ、また後日でよろしいですか?かしこまりました。それから帰りなんですけど……」
 斉藤:「ええ、分かっております。うちの使用人に伝えておきましょう。夜も遅いので、今夜はうちに泊まってください」

 荷物を斉藤家に置いていたのが裏目だったな。
 荷物を引き取る為に、また泊まらせて頂くことになるとは……。

〔「1番線から宇都宮行き、最終電車が発車致します」〕

 愛原:「申し訳ありません。まもなく終電の時間ですので……はい。それでは失礼致します」

 私は電話を切った。
 後部乗務員室からホームに降りた車掌が信号機と時間の確認をした後、笛を吹いた。
 それを合図にするかのように、私は高橋とリサが先に乗っている最後尾の車両に飛び乗った。
 と、同時にドアが閉まる。
 205系というと圧縮空気の音がしてドアが閉まるイメージだが、こちらは改造されたのか、静かな閉まり方であった。
 乗り遅れ客はいなかったらしく、そのまま電車は走り出した。

 高橋:「先生、こちらに」
 愛原:「ああ」

 夜の上り電車ということもあってか、車内はガラガラである。
 私達は7人席に座っていたが、その席には他に誰も座っていない。
 私は高橋とリサの間に座った。

〔「お待たせ致しました。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。21時52分発、宇都宮行き最終電車です。【中略】終点、宇都宮には22時32分の到着です。【中略】次は今市、今市です」〕

 愛原:「宇都宮で乗り換える電車も終電になりそうだ。乗り遅れの無いようにな」
 高橋:「うっス」
 愛原:「但し、乗り換える電車は大宮止まりだ」
 高橋:「え?それじゃ……」
 愛原:「荷物も斉藤社長の家に置いたままだろ?」
 高橋:「そ、そういえば……」
 愛原:「取りに行かないといけないんだが、ついでに泊まっていいってさ」
 リサ:「おー!……でも、サイトーは先に東京に行ったでしょ?」
 愛原:「いや、分からんな」

 リサは自分のスマホを取り出した。

 リサ:「凄い。LINEが一杯……」

 どうやら実験場にいる間、リサには斉藤絵恋さんから大量のLINEが来ていたらしい。
 で、最後には、リサが再び泊まってくれることを信じて、未だに実家にいるということだ。
 2人とも、明日は学校のはずだが……。

 リサ:「何か、運転手さん?白髪の……。その人が駅まで送り迎えしてくれるんだって」
 愛原:「新庄さん……。申し訳無いな」

 明日は斉藤社長を会社まで乗せて行かなくてはならないだろうに……。

 リサ:「それより、お腹空いた……。昼も夜も食べてない……」
 愛原:「参ったな。NEWDAYSはもう営業終了だと思う」
 リサ:「えー……」

 リサは電車の中で第一形態に変化しかけた。

 愛原:「ホームに何か自販機があるかもしれない。それを探そう」

 あるといいな……。

[同日21:53.天候:晴 栃木県日光市相生町 JR日光線陸橋]
(この部分だけ三人称です)

 JR日光駅に程近い陸橋の上に立ち、愛原達を乗せた最終の上り電車を見送る者がいた。
 それはガスマスクを被った男だった。

 ガスマスク:「また会おう、愛原君。そして、斉藤秀樹君」
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“私立探偵 愛原学” 「実験施設からの脱出」

2021-01-12 14:23:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日21:00.天候:不明 栃木県日光市某所 旧・日本アンブレラ地下実験場→地上]

〔最終警告、最終警告。このエリアは、まもなく自爆します。直ちに当該エリアより、待避してください。繰り返します。……〕

 私が咄嗟に拾い上げたのは、電撃グレネード。
 私はその起動スイッチを押して、スーパーガンナーに投げつけた。

 高橋:「おおっ!?」

 電撃グレネードとは高電流を放つ手榴弾のこと。
 スーパーガンナーは高電流に触れ、全身にそれが流れたことで誤作動を起こした。
 それまでは辛うじて私達に照準を当てて発砲していたのが、もうメチャクチャに撃ちまくっている。
 しかし、流れ弾に注意しなければならない。
 ……のだが、どうやら弾切れになったらしく、それも無くなった。

 高橋:「じゃあな、あばよ」

 私達は梯子を急いで昇って、先ほどのガスマスクが出て行った非常口を出た。
 そしてその鉄扉を閉め、急いでそこから離れる。

 愛原:「伏せろ!」

 そして非常口の向こうから、大きな爆発音がした。
 それこそ、先ほどの非常口のドアが吹っ飛んでくるくらい!

 高橋:「うぉらぁーっ!!」

 高橋は飛んで来た非常口のドアを手持ちのマグナムで撃ち返した。
 この廊下には黄色いパトランプが点滅していたが、それが赤色に変わる。

〔最終警告、最終警告。このエリアは、まもなく自爆します。……〕

 愛原:「ここもか!急ぐぞ!」
 高橋:「はい!」

 廊下の突き当りにはまたドアがあって、それを開けると階段があった。
 それを駆け昇る。
 下で爆発した為、その振動が階段室にまで及んだ。

 ウーズA:「ウゥウ……!」
 ウーズB:「アァア……!」

 その衝撃で、上からウーズが2匹落ちて来た。

 愛原:「悪いが遊んでいるヒマは無い」

 私達は奴らを振り切ると、閃光手榴弾をお見舞いしてやった。

 ウーズA:「アァァッ!」
 ウーズB:「ウゥゥッ!」

 奴らが怯んでいる隙に、さっさと階段を駆け上る。

 

 愛原:「まだ上か!?」

 

 階段を上がり切ると、また鉄扉があった。
 それを開ける。
 また1本廊下が続いているが、その先にエレベーターがあった。
 上に行くエレベーターのようだが、これで何とか地上まで戻れるようにしてほしい。
 だが、動かすにはカードキーが必要のようだ。
 しかし、心配御無用。
 リサが持っているカードで起動できた。
 そのエレベーターは上で止まっているらしく、呼び戻さなくてはならなかった。
 エレベーターはフェンスを横を手動で開けるタイプだ。

〔最終警告、最終警告。このエリアは、まもなく自爆します〕

 高橋:「うわっ、ここも!?」
 愛原:「どうやら本当に破壊する気満々のようだな」

 エレベーターが到着し、私達は急いで乗り込んだ。
 フェンス式のドアを閉めてボタンを押すと、エレベーターが上昇した。

 愛原:「急げ急げ~!急げ急げ~!」

 そのエレベーターがB1と表示した所で止まった。
 急いでドアを開けると、下から爆発音が聞こえた。

 愛原:「まだ地上じゃないのかよ!?」
 リサ:「さっきの場所、随分と深かったもんねぇ……」

 赤ランプが点灯している中、突き当りには梯子があった。
 今度こそ、ここを昇れば地上だろうか。
 私達が梯子を昇っていると、また警告放送が流れる。
 どうやらガチのようだ。
 昇り切ると蓋があった。
 それをずらすと……。

 愛原:「地上に出たぞ!」

 それはマンホールを模した出口になっていた。
 あのガスマスクもここから出たのだろうか?
 しかし、そんなことはどうでもいい。

 愛原:「ここから離れるぞ!」

 私は高橋とリサが出たのを確認すると、マンホールの蓋を閉めた。
 その場所は広い空き地になっていて、砂利が敷いてあった。
 鉄柵の外側に出ると、空き地の下から鈍くて大きな音がした。
 施設全てが自爆したのだった。

 高橋:「先生、ここアンブレラの土地みたいですよ?」

 鉄柵の外には錆びた看板が立っていた。
 そこにには『アンブレラコーポレーションジャパン(株)社有地』とあり、『私有地につき、無断立入厳禁』と書かれていた。
 どうやらここが、日本アンブレラの新研究所跡地であったようである。
 建物は取り壊しても、法人としては存在していたわけだから、土地だけは持っていたようだ。

 愛原:「間一髪だったな……」
 高橋:「そっスね……」

 私達が呆然としていると、1台の車が近づいて来た。
 それは何の変哲も無いコンパクトカーだった。
 日産・ノートといったか。
 その車が私達の前で止まった。

 管理人:「愛原さん達でしたか!」

 その車から降りてきたのは、合宿所の管理人だった。

 愛原:「管理人さん?どうしたんです?」
 管理人:「合宿所の裏手から震動がしたので、様子を見に来たんですよ。ここ、合宿所の裏手なので」

 管理人が指さすと、坂道の下の方に合宿所が見えた。
 ここは少し坂道を上がった場所にあるのだ。

 管理人:「いや、御無事で良かったですよ。なかなか戻って来られないし、連絡も付かないしで……」
 愛原:「御心配をお掛けしました」
 管理人:「とにかく戻りましょう。車に乗ってください」
 愛原:「はい、ありがとうございます」

 私は助手席に、高橋とリサはリアシートに座った。
 その時、私はカーナビに表示された時計を見た。

 愛原:「えっ!?もう21時をとっくに回ってる!?」
 管理人:「そうですよ。こんな時間になっても戻って来られないので、心配していたんです」
 愛原:「ど、どうも御心配お掛けしました」
 管理人:「今日は市内にお泊まりですか?」
 愛原:「いえ。日帰りのつもりです……」
 管理人:「でしたら、このまま駅まで送りますよ。今行けば、終電車に間に合いますから」
 愛原:「終電!?もうそんな時間なんだ……」
 管理人:「都会と違って、ここは終電車が早いんです」

 管理人はそう言うと、車を走らせた。

 愛原:「すいません。JRの方でお願いします」
 管理人:「JRの方ですね」

 何とか無事に終わることができた。
 しかし、新たな敵の登場とは……。

 愛原:「管理人さん」
 管理人:「何ですか?」
 愛原:「管理人さんがこの道を来る時、ガスマスクを着けた男が歩いていませんでしたか?」
 管理人:「ガスマスクですか?いいえ。特にそういうのは見ませんでしたが……」
 愛原:「そうですか……」

 何か、腑に落ちない部分はあるなぁ……。
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“私立探偵 愛原学” 「超ロボット大戦」

2021-01-12 11:44:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日20:00.天候:不明 栃木県日光市某所 旧・日本アンブレラ地下実験場]

 実験場の更に下、広い研究施設のような場所にリサはいた。
 大きなガラス製のポッドの中に入られている。
 私はリサを助けようとそこに近づいたが、その時、上から何か音がした。
 高橋が気づいて、上を向くと、そこにいたのは……。

 ガスマスク:「よくやった。ここまで来れたのは、キミ達が初めてだ。実に素晴らしい」

 上の実験施設で私達を罠に掛けたガスマスクの男だった。
 私達に讃嘆の言葉を浴びせながら拍手をしている。

 愛原:「お褒めに預かり、ありがとう!賞品はそこにいるリサと、俺達の安全な退路でいいな!?」
 ガスマスク:「それはもちろんだとも。但し、その前にもう1つ、実験データの収集に協力してもらう。賞品はそれからだ」
 愛原:「その前に俺からも質問させてもらおう!オマエは誰だ!?俺達のことを知ってるみたいだな?」
 ガスマスク:「アンブレラの者だ。もちろん、赤い方だ」
 愛原:「名前を名乗る気は無いということか」

 “青いアンブレラ”でさえ胡散臭いのに、ガチの“赤いアンブレラ”を名乗るとは……。
 ここで射殺しても、善場主任は何も言わないんじゃね?

 愛原:「高野君だったら、ライフルでヤツを狙撃してくれるだろうにな……」
 高橋:「俺がやりましょうか?」
 愛原:「でも肝心のライフルが無い」
 高橋:「マグナムで何とかなりますよ」
 愛原:「いや、いい。キミはもう2度と拘置所に入るべきではない」

 その時、施設の大きなシャッターが開いた。
 そこから入って来たのは、赤い彗星のシャア……もとい、何だか赤い某モビルスーツによく似たロボットだった。

 ガスマスク:「日本アンブレラの誇るセキュリティ兵器、スーパーガンナーだ。これと戦って勝ってもらおう!」
 愛原:「BOWじゃないじゃん!?おい!作品間違えて無ェか!?」
 高橋:「“アンドロイドマスター”の方っスよね!?」
 ガスマスク:「“ファイナルファンタジーⅦリメイク”でも、およそファンタジーには似つかわしくないロボット兵器がわんさか登場するのだ。何も問題はあるまい?」
 愛原:「FFじゃなくて、バイオハザードだろ!?」

 スーパーガンナー:「IDガ確認デキナイ場合、不審者ト見做シマス」
 愛原:「IDだぁ!?こっちにはゴールドカードが……」

 あ、アカン!
 ゴールドカード、リサが持ってるんだった!

 スーパーガンナー:「不審者ト認定。掃討シマス」
 愛原:「いきなり掃討かよ!」

 スーパーガンナーは両手をガトリング砲に換装し、私達に向けて集中砲火を浴びせた。

 愛原:「ガチだぞ、これ!」

 私達は物陰に隠れて、銃撃をかわす。
 当然ながらロボットは2足歩行で移動できる。

 ガスマスク:「どうした?逃げてばかりいては、何もできんぞ!」
 高橋:「うるせぇ!せめてタイラントと勝負させやがれ!」
 愛原:「た、タイラント!?タイラントかぁ……。うーん……」

 確かにタイラントが弾避けになってくれれば、何とかなりそうな気がする……。
 しかし、ドアには鍵を掛けてしまったからなぁ……。
 くそ!こんなことなら、鍵を掛けなければ良かっ……。

 ズドォォォン!

 愛原:「ん!?」

 その時、壁をぶち破って現れた者がいた。

 スーパータイラント:「ウォォォォッ!!」
 愛原:「た、タイラントだ!?」

 さっきのヤツか!?
 しかし、明らかに様子が違う。
 胸に取り付けられている制御装置が無い。
 帽子は無くなり、服の上半分も焦げて無くなっている。
 どうやら、さっきの爆発に巻き込まれたタイラントで間違い無いようだ。
 だが制御装置が外れているということは、暴走状態ということだ。
 ということは……。

 ガスマスク:「なにっ!?タイラントだと!?あの時、脱走したヤツか!」

 ガスマスクも困惑している。
 どうやら向こうにとっても想定外のことが起きていたようだ。

 スーパーガンナー:「IDガ確認デキナイ場合、不審者ト見做シマス」
 スーパータイラント:「ウォォォォッ!!」

 スーパータイラントは銃撃を止めたスーパーガンナーの右側の砲身を掴んだ。

 スーパーガンナー:「不審者ト認定。掃討ヲ開始シマス」

 スーパーガンナーは残った腕のガトリング砲を、今度はマグナムに換装した。
 それでスーパータイラントの頭に2発撃ち込む。
 が、そんなんで倒せるほどスーパータイラントは弱くない。
 名実ともにラスボスを張ったヤツなのだ。
 スーパータイラントは右側の砲身をへし折った!

 愛原:「さすがだ、タイラント!高橋、今のうちに行くぞ!」
 高橋:「はい!」

 私達は急いでリサのポッドに向かった。

 愛原:「リサ、大丈夫か!?」
 リサ:「先生……」

 さすがにこの騒ぎともなると、リサも目を覚ましていた。

 愛原:「待ってろ!今開けてやるぞ!」

 私はポッドの操作パネルの前に立った。
 パッと画面に何か現れる。
 すぐに私はポッドの開放操作を行った。

 愛原:「『パスワードを入力してください』だって!?パスワードは何だ!?」
 ガスマスク:「それくらい自分で探したまえ。名探偵、愛原学君」

 ということは、近くにパスワードが分かる物があるのか?

 高橋:「先生、危ない!」

 高橋が私を抱えて、ポッドの前から退避させた。
 直後、スーパータイラントに投げ飛ばされたスーパーガンナーがポッドに直撃した。

 愛原:「おいおいおい!リサが巻き込まれただろ!?何てことするんだ!?」

 スーパータイラントは暴走状態なので、もはやリサのことなんかどうでも良いのかもしれない。
 スーパーガンナーも暴走気味なのか、もうメチャクチャにガトリング砲やらグレネードランチャーを発砲している。

〔異常発生、異常発生。当施設に重大な異常が発生しました。証拠隠滅の為、自爆します。関係者は直ちに外部へ避難してください。繰り返します。……〕

 それはスーパーガンナーではなく、施設内のスピーカーから聞こえて来た。

 愛原:「はい!?」
 ガスマスク:「時間切れだよ、愛原君。『汝、一切の望みを捨てよ』」
 愛原:「オマエ、本当にアンブレラか!?ヴェルトロじゃないのか!?」

 2005年に暗躍した宗教テロ組織。
 しかし、FBCのマッチポンプ劇場のピエロにされて壊滅した。

 ガスマスク:「生きていたら、また会おう」

 ガスマスクは自分だけ非常口から出て行った。

 高橋:「おい、待てや、ゴルァッ!!」

 高橋はその非常口に向かって何発か発砲するが、遠かった為か、ドアにすら当たらなかった。

 リサ:「先生、大丈夫!?」
 愛原:「リサ!?」

 ポッドが破壊されたことで、リサがそこから脱出してきた。
 しかし普通の人間だったら、ヘタすりゃ死んでいただろう。
 そこはさすがBOWといったところか。

 愛原:「あとはこいつらにプロレスさせて、俺達も脱出だ」

〔自爆装置プログラム、第2フェーズに移行します。当フェーズ以降、このプログラムを停止させることはできません。関係者は直ちに屋外へ避難してください。繰り返します。……〕

 私達はさっきのガスマスクが出て行った非常口に向かった。
 梯子を上がろうとするが、その時、スーパーガンナーが私達に発砲してきた。

 愛原:「なにっ!?」

 プロレスは終わったようだ。
 スーパータイラントの負けだったようである。

 愛原:「くそっ、ここまで来て……!」

 その時、私はすぐ近くの道具箱にグレネードが何個が入っているのを確認した。
 行って見ると、それぞれ1種類ずつ3個ほど入っていた。
 どれを使う?

 1:閃光手榴弾
 2:BOWデコイ
 3:電撃グレネード
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