報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「実験施設からの脱出」

2021-01-12 14:23:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日21:00.天候:不明 栃木県日光市某所 旧・日本アンブレラ地下実験場→地上]

〔最終警告、最終警告。このエリアは、まもなく自爆します。直ちに当該エリアより、待避してください。繰り返します。……〕

 私が咄嗟に拾い上げたのは、電撃グレネード。
 私はその起動スイッチを押して、スーパーガンナーに投げつけた。

 高橋:「おおっ!?」

 電撃グレネードとは高電流を放つ手榴弾のこと。
 スーパーガンナーは高電流に触れ、全身にそれが流れたことで誤作動を起こした。
 それまでは辛うじて私達に照準を当てて発砲していたのが、もうメチャクチャに撃ちまくっている。
 しかし、流れ弾に注意しなければならない。
 ……のだが、どうやら弾切れになったらしく、それも無くなった。

 高橋:「じゃあな、あばよ」

 私達は梯子を急いで昇って、先ほどのガスマスクが出て行った非常口を出た。
 そしてその鉄扉を閉め、急いでそこから離れる。

 愛原:「伏せろ!」

 そして非常口の向こうから、大きな爆発音がした。
 それこそ、先ほどの非常口のドアが吹っ飛んでくるくらい!

 高橋:「うぉらぁーっ!!」

 高橋は飛んで来た非常口のドアを手持ちのマグナムで撃ち返した。
 この廊下には黄色いパトランプが点滅していたが、それが赤色に変わる。

〔最終警告、最終警告。このエリアは、まもなく自爆します。……〕

 愛原:「ここもか!急ぐぞ!」
 高橋:「はい!」

 廊下の突き当りにはまたドアがあって、それを開けると階段があった。
 それを駆け昇る。
 下で爆発した為、その振動が階段室にまで及んだ。

 ウーズA:「ウゥウ……!」
 ウーズB:「アァア……!」

 その衝撃で、上からウーズが2匹落ちて来た。

 愛原:「悪いが遊んでいるヒマは無い」

 私達は奴らを振り切ると、閃光手榴弾をお見舞いしてやった。

 ウーズA:「アァァッ!」
 ウーズB:「ウゥゥッ!」

 奴らが怯んでいる隙に、さっさと階段を駆け上る。

 

 愛原:「まだ上か!?」

 

 階段を上がり切ると、また鉄扉があった。
 それを開ける。
 また1本廊下が続いているが、その先にエレベーターがあった。
 上に行くエレベーターのようだが、これで何とか地上まで戻れるようにしてほしい。
 だが、動かすにはカードキーが必要のようだ。
 しかし、心配御無用。
 リサが持っているカードで起動できた。
 そのエレベーターは上で止まっているらしく、呼び戻さなくてはならなかった。
 エレベーターはフェンスを横を手動で開けるタイプだ。

〔最終警告、最終警告。このエリアは、まもなく自爆します〕

 高橋:「うわっ、ここも!?」
 愛原:「どうやら本当に破壊する気満々のようだな」

 エレベーターが到着し、私達は急いで乗り込んだ。
 フェンス式のドアを閉めてボタンを押すと、エレベーターが上昇した。

 愛原:「急げ急げ~!急げ急げ~!」

 そのエレベーターがB1と表示した所で止まった。
 急いでドアを開けると、下から爆発音が聞こえた。

 愛原:「まだ地上じゃないのかよ!?」
 リサ:「さっきの場所、随分と深かったもんねぇ……」

 赤ランプが点灯している中、突き当りには梯子があった。
 今度こそ、ここを昇れば地上だろうか。
 私達が梯子を昇っていると、また警告放送が流れる。
 どうやらガチのようだ。
 昇り切ると蓋があった。
 それをずらすと……。

 愛原:「地上に出たぞ!」

 それはマンホールを模した出口になっていた。
 あのガスマスクもここから出たのだろうか?
 しかし、そんなことはどうでもいい。

 愛原:「ここから離れるぞ!」

 私は高橋とリサが出たのを確認すると、マンホールの蓋を閉めた。
 その場所は広い空き地になっていて、砂利が敷いてあった。
 鉄柵の外側に出ると、空き地の下から鈍くて大きな音がした。
 施設全てが自爆したのだった。

 高橋:「先生、ここアンブレラの土地みたいですよ?」

 鉄柵の外には錆びた看板が立っていた。
 そこにには『アンブレラコーポレーションジャパン(株)社有地』とあり、『私有地につき、無断立入厳禁』と書かれていた。
 どうやらここが、日本アンブレラの新研究所跡地であったようである。
 建物は取り壊しても、法人としては存在していたわけだから、土地だけは持っていたようだ。

 愛原:「間一髪だったな……」
 高橋:「そっスね……」

 私達が呆然としていると、1台の車が近づいて来た。
 それは何の変哲も無いコンパクトカーだった。
 日産・ノートといったか。
 その車が私達の前で止まった。

 管理人:「愛原さん達でしたか!」

 その車から降りてきたのは、合宿所の管理人だった。

 愛原:「管理人さん?どうしたんです?」
 管理人:「合宿所の裏手から震動がしたので、様子を見に来たんですよ。ここ、合宿所の裏手なので」

 管理人が指さすと、坂道の下の方に合宿所が見えた。
 ここは少し坂道を上がった場所にあるのだ。

 管理人:「いや、御無事で良かったですよ。なかなか戻って来られないし、連絡も付かないしで……」
 愛原:「御心配をお掛けしました」
 管理人:「とにかく戻りましょう。車に乗ってください」
 愛原:「はい、ありがとうございます」

 私は助手席に、高橋とリサはリアシートに座った。
 その時、私はカーナビに表示された時計を見た。

 愛原:「えっ!?もう21時をとっくに回ってる!?」
 管理人:「そうですよ。こんな時間になっても戻って来られないので、心配していたんです」
 愛原:「ど、どうも御心配お掛けしました」
 管理人:「今日は市内にお泊まりですか?」
 愛原:「いえ。日帰りのつもりです……」
 管理人:「でしたら、このまま駅まで送りますよ。今行けば、終電車に間に合いますから」
 愛原:「終電!?もうそんな時間なんだ……」
 管理人:「都会と違って、ここは終電車が早いんです」

 管理人はそう言うと、車を走らせた。

 愛原:「すいません。JRの方でお願いします」
 管理人:「JRの方ですね」

 何とか無事に終わることができた。
 しかし、新たな敵の登場とは……。

 愛原:「管理人さん」
 管理人:「何ですか?」
 愛原:「管理人さんがこの道を来る時、ガスマスクを着けた男が歩いていませんでしたか?」
 管理人:「ガスマスクですか?いいえ。特にそういうのは見ませんでしたが……」
 愛原:「そうですか……」

 何か、腑に落ちない部分はあるなぁ……。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「超ロ... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「最終... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事