報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「地下室探索」

2021-01-05 21:43:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日10:00.天候:曇 栃木県日光市某所 東京中央学園栃木合宿所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で木造校舎の中を歩いている。
 中を歩いてみて、早速変だと思ったことがある。
 この建物は当初、学校として建てられたと聞いた。
 なので、内部が学校のようになっているのは当然のことだ。
 しかしそれが廃校となり、その後は日本アンブレラが買い取ったのだという。
 それがどのような用途で買い取ったのかは不明だが、少なくとも内部はかなり改装されているものと見て間違い無いだろう。
 確かに教室だった場所は、その面影を残して改装されている。
 昔ながらの木製の引き戸は、アルミ製の引き戸に換えられているし、窓もそうである。
 所々改装されている辺りは想定内だ。
 私が想定外だと思ったのは、かつての学校の面影すら残さず、それこそ建て直す勢いで大改築・大改装したものだと思っていた。
 しかし実際来てみればどうだ?
 殆ど初期の面影を残したままではないか。
 研究所として使うには学校としての施設そのままでは、何かと不都合だろう。
 買い取った後は都合の良いように改装するだろうに、それを申し訳程度にしかやっていないのだ。
 現に廊下など、未だに木の板のままである。
 資料では、『東京中央学園が買い取った後、更に改築・改装した』とある。
 だが、合宿所としての用途に造られているのは東京中央学園の手によってであって、日本アンブレラが手を加えた所がどこかも分からないのだ。

 高橋:「先生、ここの便所って使えるんスかね?」

 高橋は途中にあった男子トイレを覗いてみた。
 東京中央学園墨田中学校も歴史ある校舎なので、トイレの設備などに老朽化が見られるものの、ここまで古くは無い。
 何というか……。
 昭和時代の木造校舎って、水洗トイレだったのかな?
 私は木造校舎の学校に通ったことなど無いので、さっぱり分からない。
 それを一応、水洗トイレに改装したという程度なのだ。
 天井を見れば、電球式の照明が4つしか付いていない。
 教室だった宿泊施設は蛍光灯だが。

 愛原:「分からん」
 リサ:「さっきの管理人さんに聞けば分かるかもよ?」
 愛原:「それもそうだが、俺達は別にトイレの探索に来たんじゃない」

 因みに一応女子トイレも覗いて見るが、基本的な古さと改築具合は変わらなかった。

 リサ:「私がこの仮面を着けて、奥から2番目の個室に潜んでたら、みんな驚くかな?」

 リサは白い仮面をバッグから取り出して言った。

 愛原:「新たな学校の怪談の誕生だな」

 リサは霧生市の研究所では、『トイレの花子さん』に扮していたのだ。

 愛原:「それにしても、どうして『トイレの花子さん』だったんだ?」
 リサ:「あの時はまだ先生達がどんな人達なのか知らなかったし、リサ・トレヴァーとしていきなり現れるのもどうかと思ったから。タイラント君がよく働いてくれたから、私は脅かすだけでいいだろうって思った」
 愛原:「そうだったのか。で、どうして『トイレの花子さん』?」
 リサ:「たまたま読んでた本が、学校の怪談のヤツだったから」
 愛原:「それかよ」
 リサ:「『花子さんは女子トイレの奥から2番目の個室にいるが、時たま別の個室に潜んでいることもある。セーラー服におかっぱ頭、白い仮面を着けている』ってね」
 愛原:「まんまリサのことだな」
 高橋:「でも何だか、本物の『花子さん』が潜んでそうな勢いですね」
 愛原:「その時は、こっちの『花子さん』に対応してもらうよ」

 『トイレの花子さん』の正体はトイレ関係の妖怪であるとされることもあるが、多くは幽霊であるという。
 ホラーゲーム“学校であった怖い話”では、イジメ被害を苦に自殺した女子生徒の幽霊であるとされる。

 愛原:「……リサ、幽霊相手に戦えるか?」
 リサ:「幽霊ってなに?」
 愛原:「実体の無い、こう……何て言うんだ?」
 リサ:「私の爪や牙が効かないと無理だよ?」
 愛原:「だよなぁ……」

 そんなことを話しているうちに、校舎反対側に到着する。
 そこにはもう1つ階段があって、しかも地下に下りる階段もあった。
 しかし今はバリケードがされていて、行けないようになっている。

 高橋:「この程度じゃ、クソガキはバリケードを退かして入っちゃいますよ」
 愛原:「だろうな」

 私達もそうする。
 もちろん、私達の場合はちゃんと許可を得ている。
 一応、階段の照明スイッチを点けると、下の方も照明が点いた。
 よし、まだ懐中電灯は要らないな。
 私達は階段を下りた。

 愛原:「あれ?」
 高橋:「どうしました、先生?」
 愛原:‘「この階段だけコンクリート製だぞ?」
 高橋:「本当ですね」

 因みに上に行く方は、相変わらずの木の板である。

 高橋:「先生。確か仙台の時も、こんな感じじゃなかったでしたか?」
 愛原:「! そうだ!そうだよ!」

 仙台市郊外にも廃校になった木造校舎があった。
 しかしその地下は日本アンブレラの秘密研究所になっていて、そこに『2番』であるリサと、暴走して完全に巨大な化け物と化し、最終的にはBSAAに倒された『4番』がいたのだ。

 愛原:「するとやっぱり、ここの地下にも日本アンブレラの秘密研究所があるのかもしれないな」

 私達は慎重に階段を下りた。

 愛原:「そういえば、どうしてリサは仙台の地下秘密研究所にいたんだ?霧生市で別れてから、政府機関に保護されてただろ?」
 リサ:「もう嫌だったの。私のこと、研究所に閉じ込めて研究されるの。だから逃げた。逃げたんだけど捕まって、あの研究所に閉じ込められたの」
 愛原:「それが五十嵐元社長か!」

 これでようやく繋がったな。
 すっきりしたところで、地下1階に到着する。
 仙台の時と同じ、鉄扉があった。
 鉄扉には『倉庫』と書いてある。
 だが、そんなものはカムフラージュだ。
 私は管理人から預かった鍵を使ってドアを開けた。
 そこにあったのは……?

 1:やっぱり倉庫で、物が雑多に置かれていた。
 2:既に研究施設になっており、大きなカプセルや水槽などが放置されていた。
 3:死体置き場になっていて、白骨死体が何体も放置されていた。
 4:何やら強い薬品の臭いが襲って来た。
 5:何も無かった。
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“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園栃木合宿所」

2021-01-05 14:53:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日09:23.天候:曇 栃木県日光市相生町 JR日光駅→東京中央学園栃木合宿所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で日光までやってきた。
 場所柄、そして乗っている列車が観光仕様とはいえ、けして観光に来たのではない。

〔「まもなく日光、日光、終点です。1番線に入ります。お出口は、左側です。お降りの際、車内にお忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。今日もJR日光線をご利用頂きまして、ありがとうございました。お帰りの際も、是非JR日光線のご利用をよろしくお願い申し上げます」〕

 PRしとる、PRしとるw
 明らかに並行する東武日光線を意識している。
 東武日光線が複線で開けた場所を走るのに対し、JR日光線は単線で鬱蒼とした森の中を走る。
 現在の観光客輸送は東武鉄道側に軍配が上がっているが、皇族の貴賓輸送にはJRが使われる為、貴賓室が設けられているのはJR日光駅側である。
 何より、JRが使われるということで、“四季島”やお召列車のE655系が入線できるようになっていたりする(が、今ではJRと東武の特急が相互乗り入れしているということもあり、E655系も東武側へ入れるようになっているというのは公然の秘密)。

 リサ:「うわ、冷える~」

 電車がホームに到着し、ドアが開く。
 リサが先に降りると、マスクから漏れる息が白かった。
 確かに宇都宮駅より明らかに気温が低い。

 高橋:「寒いっスね」
 愛原:「ああ」

 しかし普通は『寒い』のに、リサは『冷える』なんだよな。
 この微妙な違い。
 今の日光線はSuicaのエリア内なので、Pasmoでも十分改札口を通過することができる。

 リサ:「でも、もう残額が少ない……」
 愛原:「先にチャージしておこう」

 改札口を出ると、私はリサの分もチャージしてあげた。

 リサ:「ありがとう!」
 高橋:「無駄遣いすんじゃねーぞ」
 リサ:「分かってるよ」

 駅構内はレトロ調の内装となっている。
 それは駅舎も同じ。
 大正時代……というよりは、明治時代のそれをイメージしたものとなっている。
 この日光線の開通も明治時代と、随分古いのである。
 尚、東武日光線は昭和一桁の開通なので、結構遅い。
 駅舎を出ると、ここで一旦トイレ休憩を挟む(JR日光駅は駅舎内にトイレが無い)。
 それからタクシーに乗って、合宿所に向かった。

 歩いて30分の距離だというが、車で行けば10分くらいで到着する。
 確かに正門と思しき場所から中を除けば、まるで学校のそれのようだ。
 元々は学校として建てられ、それが日本アンブレラの手に渡り、そして東京中央学園の合宿所として現在に至る。
 しかし正門は固く閉じられていた。

 高橋:「先生、閉まってますよ?」
 愛原:「中に誰かいないのか?」
 リサ:「こじ開ける?」
 愛原:「いや、待て。何か書いてあるぞ?」

 なになに……?
 『ここは学校法人東京中央学園が管理する私有地です。部外者の方の無断立入を固く禁止します。御用のある方は通用口より、管理人にお尋ねください』とある。

 愛原:「通用口に来いだって」
 高橋:「通用口?どこっスか?」
 愛原:「まあ、周りを歩けばブチ当たるだろう」
 高橋:「おい、リサ。オマエ、学校関係者だろ?分かんねーのか?」
 リサ:「私、来たこと無いもん」

 この合宿所は、主に高等部が使うことが多いらしい。
 だったら、栗原蓮華さんの方が知ってたかもな。
 とにかく、私達は合宿所の周りを歩いてみた。
 すると、途中に小さな門を見つけた。

 愛原:「ん?ここか?」
 高橋:「きっとそうですよ」
 リサ:「! 誰か来る」

 すると駐車場の方から、60代前半くらいの小柄な男性がやってきた。

 管理人:「愛原さんですか?」
 愛原:「あ、はい。愛原と申します。PTA会長さんから連絡が……」
 管理人:「ああ、来てます来てます。何でも建物の調査をされるとか……」
 愛原:「ええ。そうなんですよ。ちょっとこの建物の地下室を見させて頂きたいのです」
 管理人:「地下室ですか?地下は倉庫になってるだけですよ?」
 愛原:「ええ。構いません」
 高橋:「PTA会長?」
 愛原:「斉藤社長は東京中央学園墨田中学校のPTA会長でもあるんだ」
 高橋:「マジっスか!」
 管理人:「ここは中等部はあまり使わない所なんですが、一体何で気にされたんですかねぇ……?そりゃ、古い建物ですけど……」
 愛原:「ま、ちょこっと調査して、何も無ければそれで良しですよ。あとは上手いように私が会長に説明しておきますから」
 管理人:「そうですか。まあ、どうぞ」

 管理人は持っていた鍵束で、まずは通用門の鍵を開けた。
 そこから合宿所敷地内に入り、今度は裏口の鍵を開ける。

 高橋:「これがホントの裏口入学っスね」
 愛原:「こら」

 中に入ると木造校舎らしく、木の匂いが鼻を突いた。

 リサ:「……ックシュ!」

 リサのヤツ、鼻が利くものだから、くしゃみを何回かした。

 高橋:「犬かよ?w」
 リサ:「BOWだよ!……ックシュ!」

 先に入った管理人は、近くにある管理人室の鍵も開けた。
 元々は職員室……?いや、それにしては狭いな。
 恐らく学校事務員の事務室か、或いは用務員室か何かの部屋だったのだろう。

 管理人:「愛原さん方は地下室を見られるんでしたね?」
 愛原:「そうです」
 管理人:「それでは……」

 管理人は鍵束の中から、地下室関係の鍵を何本か外した。

 愛原:「これを持って行ってください。私はここで待ってますから」

 管理人、そう言って室内のストーブを点けた。

 愛原:「勝手に見ていいんですか?」
 管理人:「ええ、どうぞ」

 何だか甘いセキュリティだ。
 まあ、別にいいけど。

 愛原:「地下に下りる階段はどこですか?そこの階段では無さそうですけど……」

 裏口に程近い階段からは、上にしか行けなかった。

 管理人:「向こうの昇降口近くの階段ですよ」

 とのこと。
 管理人、室内にあるやかんに水を溜めるのに夢中になっている。
 これを石油ストーブの上に置いて温めるつもりだろう。

 愛原:「では行ってきます」

 私達は管理人室を出ると、冷気のこもる薄暗い廊下に出た。
 冷気は霊気。
 しかも外が曇り空で陽が差していないせいか、それで薄暗く感じる。
 木造校舎は温かみがある反面、こういう冷たさもある。
 あなたはどっちのイメージ?
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