報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサの『食事』前」

2020-12-10 19:52:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月29日07:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 いつも7時に目が覚めるリサ。
 これは研究所にいた頃の名残である。
 今回は変な夢を見る事はなかった。

 リサ:「今日はサイトーとコジマが来る」
 愛原:「分かってるよ」

 リサは起きて自室を出ると、リビングにいる愛原に言った。

 愛原:「俺達は事務所に行くから。早く顔洗って着替えてこい」
 リサ:「はーい」

 リサは洗面所に行った。
 顔を洗って歯を磨く間、第一形態になってみる。
 心なしか、爪がいつもより長く鋭くなったような気がする。
 昨日、愛原の血中の老廃物と血液を少量摂取したことで、BOWとしての力が強化されたのかもしれない。
 『1番』は本当に人間を捕食することで強くなっているようだが、リサの場合は人間を殺さずして強化しているのだ。

 リサ:「フム……」

 第0形態に戻れば、爪は短くなって丸くなる。
 見た目は人間と何ら変わらない。
 新型BOWエブリンは人間を捕食することはなく、体を維持する特殊な薬剤のみ必要とする。
 必要あるわけではないが、普通の人間の食事を摂取することも可能。
 新型の方がより人間に近づいたことで、より脅威さが増していると言える。

 愛原:「着替え終わった?」
 リサ:「うん」

 白いTシャツと黒いスパッツから、グレーのパーカーにデニムのショートパンツに穿き替えている。
 冬場だとタイツやレギンスを穿くだろうに、リサは生足のままである。
 家にいる時はいいが、外に出る時は、本人は平気でも、周りの目があるので、もう1つ下に穿くよう言われている。

 高橋:「できましたよー」

 高橋はベーコンエッグを作って来た。

 リサ:「おー!美味しそう!」
 愛原:「典型的な朝食だよな」

 今朝はトーストにカップのコンソメスープと、洋定食である。

 リサ:「お昼はどうする?」
 愛原:「そうだなぁ……。事務作業の内容によっては、午後まで掛かるかもしれない。一応、自分で用意できるようにしといてくれる?」
 リサ:「分かった」
 愛原:「約束の小遣いチャージするから、昼食代はそれでな?」
 リサ:「了解」

[同日08:30.天候:晴 同地区内 東京都営地下鉄新宿線 菊川駅]

 リサは事務所に向かう愛原に付いて行った。
 高橋は先に事務所に向かい、愛原は駅まで向かった。

〔ピピッ♪ チャージが完了しました〕

 愛原:「これでよし」

 リサは自動券売機でPasmoにチャージしてもらった。

 リサ:「沢山ありがとう!」
 愛原:「霧生市でも頑張ってくれたから、その分も上乗せしといたよ」

 平日なら朝ラッシュ真っ只中で、多くの通勤・通学客の靴音が響く駅構内だが、日曜日の今日は半分以下の人出だ。

 愛原:「じゃあ俺は事務所に行くから。お前も遊び過ぎるなよ」
 リサ:「うん。最初は皆で宿題やってからにする」
 愛原:「そうか。まあ、それなら……」

 駅のエスカレーターは途中まで。
 そこから地上へは階段を登る。
 リサはホイホイと先に昇るが、愛原は後から付いてくる。

 斉藤絵恋:「あら?リサさん」

 地上に出ると、ちょうど斉藤絵恋と遭遇した。

 リサ:「サイトー、どうした?まだ約束の9時じゃない」
 斉藤:「リサさんこそ、どちらに?……あ、愛原先生、おはようございます」
 愛原:「おはよう。斉藤さん、早いね」
 斉藤:「リサさんと早く会いたくて……。文明の利器(という名のGPS)でリサさんを追ったら、ここだったのでぇ……」
 リサ:「おい、犯罪者!ストーカー!」
 斉藤:「も、萌えぇぇぇっ!もっと褒めてぇぇぇっ!」

 斉藤、リサの言葉攻めに悶絶する。

 愛原:「おいおい。駅前で何やってるんだ?」
 斉藤:「それでリサさん達はどうして駅に?」
 リサ:「先生からお小遣いもらってた」

 リサは自分のPasmoを斉藤に見せた。

 斉藤:「そうなの!奇遇ねぇ。私もお父さんから、お小遣いもらった所よ?」

 斉藤はJCBギフトカードを見せた。
 娘への小遣いに商品券送る親。

 愛原:「それじゃリサ、俺は事務所へ行くから」
 リサ:「行ってらっしゃい。じゃあサイトー、行こう」
 斉藤:「はーい!地獄の果ての果てまでも一緒に行きまーす!」
 リサ:「そんなとこ行かないし、来なくていい」
 斉藤:「ええーっ!」

[同日09:00.天候:晴 同地区内 愛原のマンション]

 ちょうど約束の時間にインターホンが鳴る。

 小島:「おはようございます!」

 それは小島だった。

 リサ:「おはよう、コジマ。入って」
 小島:「お邪魔しまーす」
 斉藤:「おはよう。体の具合はいいみたいね?」
 小島:「リサさんのおかげでね。でもまた最近、お腹の調子が悪いの。また少し血が混じったりして……」

 小島は潰瘍性大腸炎の持病を持っている。
 緩解することなく、下痢や下血、そしてそれに伴う体重減少や貧血症に悩まされていた。
 ガリガリに痩せていることで、イジメの対象にもなったことがある。
 しかしリサが『捕食』したことで症状は治まり、あの愛原リサが目を付けたということで、イジメグループも自然に遠ざかっている。
 リサに悪い意味で目を付けられると、後で怖い目を見るという噂はしっかり流れているようだ。
 そしてその噂は真実である。

 リサ:「そうか。でも、まだダメ。先に宿題やってから」
 斉藤:「さすがリサさんね。お楽しみは後に取っておくタイプ?」
 リサ:「そうかも」

 リサ達はダイニングテーブルに座ると、そこに宿題で必要な物を並べた。

 リサ:「でも、たまにその楽しみを横取りするヤツがいる」
 小島:「その時はどう対処するの?」

 リサは第一形態になり、口元から牙を覗かせて言った。

 リサ:「食い殺す……!」
 斉藤:「でも実際は?」
 リサ:「半殺し」
 斉藤:「先週、リサさんにケンカ売った秋葉さん達、数日間下痢で苦しんだらしいけど、多分それリサさんの技ね」
 リサ:「私のウィルスに感染させた後、ウィルスを大腸で暴れさせた。それだけ」
 小島:「怖っ!も、もしかして、私達も感染してるの?」
 リサ:「うん。でも、安心して。私が意識しなきゃ、ずっと眠ったままだから」
 斉藤:「つまりリサさんを怒らせたりすると……」
 リサ:「しばらく下痢を楽しんでもらう。それとも、嘔吐の方がいい?」
 小島:「お、お手柔らかに……」

 因みに小島の症状が落ち着いているのは、やはりリサのウィルスの作用による。
 3人は宿題に取り掛かった。
 しかしその間、リサは2人の友人を食材を見るような目を向けていた。
 表向きは進捗状況を見るフリをしながら。
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“私立探偵 愛原学” 「愛原の休息」 2

2020-12-10 15:13:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月28日18:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は高橋が私の快気祝いをしてくれることになった。

 高橋:「できましたよ」

 高橋が作った夕食のメインディッシュは、300gの分厚いステーキ。

 愛原:「お、お前、マジか!?」
 高橋:「病院じゃ、味の薄い給食ばかりだったでしょう?俺がいた少刑もそうです。ネンショーは案外そうでもなかったんスけどね。とにかく、退院したら美味いモン食べたいじゃないですか」
 愛原:「それもそうだ。特にビールなw」
 高橋:「御用意してあります」
 リサ:「ふーっ!ふーっ!(私も食べたい!)」( °﹃° *)

 リサ、第一形態に変化して、私のステーキを虎視眈々と狙っている。
 牙を隠す為、おしぼりを口に当てている。

 愛原:「!? ダメだ、リサ!人を食べちゃいけない!」
 リサ:「むーー!!(ちっがーう!!)」

 目の色は赤く光っている。

 高橋:「リサ、お前のも焼いてるよ」

 高橋はリサにもステーキを焼いて持って来た。

 高橋:「先生はミディアムで、リサはレアな」
 愛原:「ありがとう。少し噛み応えがあって、尚且つ肉汁が残っているくらいがいいんだ」

 ミディアムレアだと、ちょっと柔らか過ぎるものでね。
 ま、作者はレア派らしいが。
 私も歳を取ったら、ミディアムレア派になるのだろうか。

 リサ:「おー!」

 赤みがだいぶ残っており、いわゆる『血のしたたるステーキ』と言えばこれ。

 高橋:「人食いなんか絶対すんじゃねぇぞ!」
 リサ:「分かった!」
 高橋:「先生、ビールを!」
 愛原:「おっ、すまんな」

 私が久しぶりのビールを嗜む間、リサはパクパクとステーキを食べ始める。
 ナイフとフォークは使うが、大きく切った肉を牙で裂きながら食べる。
 うう……!
 他のリサ・トレヴァー達は、ああやって人間の肉を食べていたのか……。
 それにしても、どうしてこっちのリサは人食いをしなくて済んだのだろう?
 けして、食欲が無いわけではないようだが……。
 研究所に唯一取り残された個体だからということになっているが、私達が研究所に来た時、既にリサは暴走状態だったはず。
 研究員の殆どがゾンビ化したり、それらに食い殺されたりしていた惨劇の舞台だったのだから、リサもそこで人食いをしようとすればできたはずだ。
 しかし、本人の証言もそうだし、私達が来た時点でリサは人食いの痕跡を残していなかった。
 彼女らに証拠隠滅という発想は無い。
 あったら、『1番』のことは尚更迷宮入りしていただろう。

 リサ:「! お兄ちゃん、私の肉と先生の肉、ちょっと違くない?」
 高橋:「バレたか。先生のは国産牛だが、俺達のはアメリカ産だよ。今回は先生の快気祝いなんだからな」
 愛原:「しかしステーキとは、また変わった発想だな」
 高橋:「サーセン。本当は鍋にしようかとも思ったんですが、コロナ禍の中、鍋はどうだろうと思いまして」
 愛原:「それは店での話だろう?俺達、内々でやる分には……どうだろう?」
 リサ:「私のウィルスに感染すれば、コロナなんてへっちゃらだよ」
 愛原:「そうか。それじゃよろしく頼む……わけないだろ!」
 高橋:「なにしれっと先生をトラップに掛けようとしてんだ!」
 リサ:「バレたかw」

 さすがに新型コロナウィルスすら無効化するとはいえ、ゾンビウィルスには感染したくないなぁ……。
 さしもの製薬会社も、旧アンブレラのウィルスを材料にワクチンを作る気はさらさら無いようだ。
 当たり前である。
 新型コロナウィルスは撃退できても、その代わり化け物になるなんてなぁ……。

 リサ:「明日、サイトー達が遊びに来る」
 愛原:「達?斉藤さんだけじゃないの?」
 リサ:「コジマも一緒」

 確か斉藤さんと一緒に『捕食』されたコか。
 もしや、またここで『捕食』する気だろうか。

 高橋:「俺達は事務所ですね?」
 愛原:「ああ。事務作業だな」
 高橋:「分かりました」

[同日20:00.天候:晴 引き続き愛原のマンション]

 私は自室に入り、PCでメールのチェックをしていた。
 このくらいなら自宅でもできる。
 それでも明日事務所に行くのは、紙の書類の処理があるからである。
 やっぱり契約書とか報告書とかは紙だからね。
 で、ボスからのメールと斉藤社長からのメールが多い。
 善場主任は私の状況を一番理解してくれているので、わざわざメールで確認はしてこない。
 私はそれらメールに返信をしていた。

 愛原:「『……というわけですので、今後とも何卒よろしくお願い致します』と……。送信」

 私は斉藤社長に返信した。
 大口顧客に御心配をお掛けしてしまった。
 こりゃ御用聞きついでに、ちょっと御挨拶に向かった方がいいかな?
 私がそんなことを考えていると、部屋のドアがノックされた。

 愛原:「はい?」

 私が手を伸ばして、小さくドアを開けると、そこからリサが入って来た。

 リサ:「先生。コーヒーが入ったよ」
 愛原:「おっ、ありがたい」
 リサ:「『リサ・トレヴァーのJCカフェ』でーす」
 愛原:「もはや何でもアリだな。風呂は21時によろしくな」
 リサ:「『リサ・トレヴァーのJCソープランド』?」
 愛原:「やめなさい!どこでそんなこと覚えてくるんだ!?俺のパソコンにはさすがにそんな動画入ってなかったはずだぞ!?」
 リサ:「学校。男子達が話してるの、聞いたことある」
 愛原:「ったく!最近の中坊と来たら……。まあ、俺達の頃よりはしっかりしてると思うけどな」
 リサ:「先生、私はいつでもいいからね?」

 リサは妖艶な笑みを浮かべて部屋から出て行った。
 いろんな意味で、私はリサから捕食対象とされている。
 と、そこへ善場主任からメールが来た。
 早速開いてみると、東京拘置所での面会のことだ。
 なるべく朝一の8時半に受付できるように行った方が良いとのこと。
 まあ、明後日の話だ。
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