[11月28日12:23.天候:晴 栃木県日光市 東武鉄道下今市駅]
リサ:「むー……」
列車のトイレに入っているリサ。
東武500系リバティのトイレは、全てウォシュレットとなっている。
当然、女性が使うビデ機能もあるわけだ。
リサも使用している。
で、使うと気持ち良くなって、つい癖になってしまうのだった。
事務所ではそれで高野に怒られたことがある。
〔♪♪♪♪。まもなく下今市、下今市です。……〕
リサ:「おっと!」
トイレの中にも響く自動放送。
それで我に返ったリサは急いで、後始末を始めた。
リサ:「急いで戻らなきゃ」
後始末を終えたリサは、急いでトイレを出た。
この時点でエブリンらしき者の姿は見られない。
この列車には独立した洗面所が無いのだが、それは関係あるのだろうか。
〔「下今市、下今市です。当駅で12分停車致します。発車は12時35分です。また、後ろに3両、1号車から3号車を連結致します。発車までしばらくお待ちください」〕
列車が下今市駅に到着する。
リサが自分の席に戻ると、愛原が話し掛けた。
愛原:「12分止まるそうだ。この隙に駅弁を買いに行けそうだな」
高橋:「先生は病み上がりですから、ゆっくりしててください。駅弁なら、俺とリサで買って来ますよ」
愛原:「そうか?悪いな」
高橋:「何がいいっスか?」
愛原:「そうだな……。肉系がいいかな」
高橋:「了解です!ちょっぱやで買ってきます!リサ、行くぞ!」
リサ:「了解!」
リサと高橋はホームに降りた。
高橋:「確か、このホームに駅弁屋があったはずだ」
リサ:「あそこだよ!」
高橋:「おおっ!」
お昼時ということもあって、売店はなかなかの賑わいである。
高橋:「明らかに、Gotoトラベル隊の連中ばっかだな」
駅弁を買った後、列車に戻る。
途中に待合室があるが、そこの前に駅員が数名いた。
駅員A:「これですよ、これ!この落書き!」
駅員B:「こんなに大きな落書き、誰も気づかなかったのか?」
どうやら待合室の窓に大きな落書きがされていたようである。
まだ消される前なので、リサ達はそれを見ることができた。
どうやらそれは地下道などでよく見られるグラフティではなく、何かのメッセージ。
血文字のような感じで書かれている。
『あなたは あいつのお友だち あいつも あなたのお友だち みんなで死のう たのしく死のう』
高橋:「何だこりゃ?」
リサ:「うっ……!」
突然リサに現れるフラッシュバック。
『1番』:「あなたは♪あいつのお友達♪あいつも♪あなたのお友達♪皆で死のう♪楽しく死のう♪来世には♪あれがあるのよ♪現世には♪それは無いけど♪」
高橋:「おい、リサ!大丈夫か!?」
リサ:「い……ち……ばん……」
高橋:「なに!?」
リサには『1番』のことは後ろ姿しか記憶に無かった。
しかしそれは残りの記憶が喪失していたからで、今また思い出した。
仮面を被った『1番』が、『2番』のリサの前で、今の不気味な歌詞の歌を歌っていたのだった。
リサ:「『1番』……もしかしたら、この近くにいるかも……」
高橋:「何だと!?」
高橋は周囲を見渡した。
だが、高橋のイメージにもある白い仮面にセーラー服姿のリサ・トレヴァーは見受けられなかった。
高橋:「おい、いねぇぞ!」
リサ:「戻ろう。善場さんに……言わないと……」
高橋:「……!」
2人は車内に戻った。
愛原:「おっ、ありがとう」
高橋:「先生。リサの話じゃ、この近くに『1番』がいるっぽいです」
善場:「えっ!?」
愛原:「何だと!?」
高橋はさっきの話をした。
善場:「エブリンが現れない代わりに、『1番』が現れたのですか」
リサ:「でも気配はしなかったの。普通は気配がするはずなのに……」
善場:「巧みに人間に化けていたとするなら、上手く誤魔化せるのかもしれませんね」
愛原:「どうします?この列車を降りますか?」
善場:「いえ。降りたところで、もしも『1番』に捕捉されているのなら同じことでしょう。私も元リサ・トレヴァーでしたから、『1番』が何を考えているのか、想像はできます」
愛原:「何ですか!?」
善場:「『私のことを忘れるな』でしょうね。リサ・トレヴァーって、自己顕示欲が強いんですよ」
愛原:「あ、そういえば……」
善場:「私達がエブリンのことばかりを話題にしているので、少し頭に来たのかもしれません」
愛原:「何だそりゃ」
高橋:「てことは、やっぱり『1番』はこの近くにいるってことか?」
善場:「列車が走り出したら、また車内を捜索しましょう。今度は6両編成ですから、ちょっと探すのが大変かもしれませんけど……」
愛原:「リサ、頼んでいいか?昼飯の前で申し訳無いが……」
リサ:「いいよ」
[同日12:35.天候:晴 東武日光線1128、1028列車]
〔♪♪♪♪。この列車は特急リバティ会津128号と、特急リバティけごん28号、浅草行きです。……〕
列車が走り出すと、リサと善場が検索することにした。
まずは先頭車に向かい、そこから後ろに向かって探すという作戦にした。
特急列車なので、基本的に乗客は進行方向に向かって座っているからである。
もちろん、途中にあるトイレも探した。
使用中のトイレにあっては……。
善場:「もしもーし!オカモトさーん!大丈夫ですかぁ~?」
善場がトイレのドアをノックする。
男性客:「え!?違うよ!」
わざとノックをし、適当な名前を呼んでみるのだった。
で、今みたいに明らかに男性の声がしたら違う。
そして一巡してみて分かったことがある。
善場:「いませんね」
リサ:「うん。『1番』は大勢の人間を食べてるんだよね?」
善場:「霧生市バイオハザード事件の最中、遭遇した人間を手当たり次第に襲って食べていたようですから」
その中にたまたま運悪く、栗原蓮華達もいたのだ。
リサ:「だったら、物凄く臭いはずなの。だけど、そんな臭いはしない」
善場:「人間に化ければ、ある程度臭いは誤魔化せます。それでも、同族の『2番』や元同族の私の鼻は誤魔化せませんね」
リサ:「だけど感じなかった」
善場:「ということは、この電車には乗っていないということでしょうか」
愛原:「どうも『1番』といい、エブリンとやらといい、考えが読めませんな」
善場:「いずれにせよ『1番』は、栗原蓮華さんの敵ですから、彼女に見つかれば、問答無用で斬られるでしょうね」
愛原:「いや、全くだ」
ほとんど研究所から出ることの無かった『2番』のリサは、彼女らの心境はよく分からないという。
それは裏を返せば、暴走状態と言えなくもない。
少なくとも、『2番』のように、誰かにきちんと制御されているというわけではないようだ。
リサ:「むー……」
列車のトイレに入っているリサ。
東武500系リバティのトイレは、全てウォシュレットとなっている。
当然、女性が使うビデ機能もあるわけだ。
リサも使用している。
で、使うと気持ち良くなって、つい癖になってしまうのだった。
事務所ではそれで高野に怒られたことがある。
〔♪♪♪♪。まもなく下今市、下今市です。……〕
リサ:「おっと!」
トイレの中にも響く自動放送。
それで我に返ったリサは急いで、後始末を始めた。
リサ:「急いで戻らなきゃ」
後始末を終えたリサは、急いでトイレを出た。
この時点でエブリンらしき者の姿は見られない。
この列車には独立した洗面所が無いのだが、それは関係あるのだろうか。
〔「下今市、下今市です。当駅で12分停車致します。発車は12時35分です。また、後ろに3両、1号車から3号車を連結致します。発車までしばらくお待ちください」〕
列車が下今市駅に到着する。
リサが自分の席に戻ると、愛原が話し掛けた。
愛原:「12分止まるそうだ。この隙に駅弁を買いに行けそうだな」
高橋:「先生は病み上がりですから、ゆっくりしててください。駅弁なら、俺とリサで買って来ますよ」
愛原:「そうか?悪いな」
高橋:「何がいいっスか?」
愛原:「そうだな……。肉系がいいかな」
高橋:「了解です!ちょっぱやで買ってきます!リサ、行くぞ!」
リサ:「了解!」
リサと高橋はホームに降りた。
高橋:「確か、このホームに駅弁屋があったはずだ」
リサ:「あそこだよ!」
高橋:「おおっ!」
お昼時ということもあって、売店はなかなかの賑わいである。
高橋:「明らかに、Gotoトラベル隊の連中ばっかだな」
駅弁を買った後、列車に戻る。
途中に待合室があるが、そこの前に駅員が数名いた。
駅員A:「これですよ、これ!この落書き!」
駅員B:「こんなに大きな落書き、誰も気づかなかったのか?」
どうやら待合室の窓に大きな落書きがされていたようである。
まだ消される前なので、リサ達はそれを見ることができた。
どうやらそれは地下道などでよく見られるグラフティではなく、何かのメッセージ。
血文字のような感じで書かれている。
『あなたは あいつのお友だち あいつも あなたのお友だち みんなで死のう たのしく死のう』
高橋:「何だこりゃ?」
リサ:「うっ……!」
突然リサに現れるフラッシュバック。
『1番』:「あなたは♪あいつのお友達♪あいつも♪あなたのお友達♪皆で死のう♪楽しく死のう♪来世には♪あれがあるのよ♪現世には♪それは無いけど♪」
高橋:「おい、リサ!大丈夫か!?」
リサ:「い……ち……ばん……」
高橋:「なに!?」
リサには『1番』のことは後ろ姿しか記憶に無かった。
しかしそれは残りの記憶が喪失していたからで、今また思い出した。
仮面を被った『1番』が、『2番』のリサの前で、今の不気味な歌詞の歌を歌っていたのだった。
リサ:「『1番』……もしかしたら、この近くにいるかも……」
高橋:「何だと!?」
高橋は周囲を見渡した。
だが、高橋のイメージにもある白い仮面にセーラー服姿のリサ・トレヴァーは見受けられなかった。
高橋:「おい、いねぇぞ!」
リサ:「戻ろう。善場さんに……言わないと……」
高橋:「……!」
2人は車内に戻った。
愛原:「おっ、ありがとう」
高橋:「先生。リサの話じゃ、この近くに『1番』がいるっぽいです」
善場:「えっ!?」
愛原:「何だと!?」
高橋はさっきの話をした。
善場:「エブリンが現れない代わりに、『1番』が現れたのですか」
リサ:「でも気配はしなかったの。普通は気配がするはずなのに……」
善場:「巧みに人間に化けていたとするなら、上手く誤魔化せるのかもしれませんね」
愛原:「どうします?この列車を降りますか?」
善場:「いえ。降りたところで、もしも『1番』に捕捉されているのなら同じことでしょう。私も元リサ・トレヴァーでしたから、『1番』が何を考えているのか、想像はできます」
愛原:「何ですか!?」
善場:「『私のことを忘れるな』でしょうね。リサ・トレヴァーって、自己顕示欲が強いんですよ」
愛原:「あ、そういえば……」
善場:「私達がエブリンのことばかりを話題にしているので、少し頭に来たのかもしれません」
愛原:「何だそりゃ」
高橋:「てことは、やっぱり『1番』はこの近くにいるってことか?」
善場:「列車が走り出したら、また車内を捜索しましょう。今度は6両編成ですから、ちょっと探すのが大変かもしれませんけど……」
愛原:「リサ、頼んでいいか?昼飯の前で申し訳無いが……」
リサ:「いいよ」
[同日12:35.天候:晴 東武日光線1128、1028列車]
〔♪♪♪♪。この列車は特急リバティ会津128号と、特急リバティけごん28号、浅草行きです。……〕
列車が走り出すと、リサと善場が検索することにした。
まずは先頭車に向かい、そこから後ろに向かって探すという作戦にした。
特急列車なので、基本的に乗客は進行方向に向かって座っているからである。
もちろん、途中にあるトイレも探した。
使用中のトイレにあっては……。
善場:「もしもーし!オカモトさーん!大丈夫ですかぁ~?」
善場がトイレのドアをノックする。
男性客:「え!?違うよ!」
わざとノックをし、適当な名前を呼んでみるのだった。
で、今みたいに明らかに男性の声がしたら違う。
そして一巡してみて分かったことがある。
善場:「いませんね」
リサ:「うん。『1番』は大勢の人間を食べてるんだよね?」
善場:「霧生市バイオハザード事件の最中、遭遇した人間を手当たり次第に襲って食べていたようですから」
その中にたまたま運悪く、栗原蓮華達もいたのだ。
リサ:「だったら、物凄く臭いはずなの。だけど、そんな臭いはしない」
善場:「人間に化ければ、ある程度臭いは誤魔化せます。それでも、同族の『2番』や元同族の私の鼻は誤魔化せませんね」
リサ:「だけど感じなかった」
善場:「ということは、この電車には乗っていないということでしょうか」
愛原:「どうも『1番』といい、エブリンとやらといい、考えが読めませんな」
善場:「いずれにせよ『1番』は、栗原蓮華さんの敵ですから、彼女に見つかれば、問答無用で斬られるでしょうね」
愛原:「いや、全くだ」
ほとんど研究所から出ることの無かった『2番』のリサは、彼女らの心境はよく分からないという。
それは裏を返せば、暴走状態と言えなくもない。
少なくとも、『2番』のように、誰かにきちんと制御されているというわけではないようだ。