報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原の休息」

2020-12-08 21:03:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月28日17:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日、やっとこさ帰宅し、今はリサからマッサージを受けている。
 もっとも、リサにとっては私に対する『捕食行為』の1つに過ぎない。

 愛原:「うッ、いててて……」
 リサ:「ここ、ゴリゴリしてるー」

 今はリサから足つぼマッサージを受けている。
 長旅で足が疲れているのは事実だが、溜まった疲れ、つまり老廃物は血肉の捕食が禁止されたリサにとっては、貴重な代用食なのだ。
 リサは指先から無数の針のように細い触手を出し、そこから私の足に突き刺した。
 髪の毛よりも細い触手は、私の足に刺さっても、全く痛みを感じさせなかった。
 いや、というよりは、凝り固まった部分をグリグリ押される痛みの方が勝っているというべきか。

 リサ:「あっ、ここも!」

 ゴリゴリ……。

 愛原:「ううっ!」

 リサ:「ここも!」

 ゴリリ……!

 愛原:「あうっ!」
 リサ:「いただきまーす!」

 リサは自分の触手から、私の血中に溜まった老廃物を吸い出し始めた。
 でもこれきっと……ドサグサに紛れて、少し血も吸ってるんだろうなぁ……。

 リサ:「ふう……。お腹いっぱい……」
 愛原:「これから夕食だってのに、『おやつ』たらふく食いやがってw」
 リサ:「甘い物は別腹だよぉ~。はい、起きて。足に付いたオイルを拭きまーす」
 愛原:「ああ」

 私はリサのベッドから起き上がると、あまりの気持ちの良さに頭がボーッとする感じだった。
 リサは丁寧に私の足を拭いてくれる。
 因みに触手があまりにも細いので、それを抜いても血が出ることはない。
 蚊などの吸血虫に刺されても、血が出ることは無いだろう?
 それと同じだ。
 もっとも、ヒルなどは血が出るらしいがな。

 愛原:「リサ、少しは血を吸っただろ?」
 リサ:「ど、どうしても老廃物を吸い出す時に、一緒に触手に入ってきてしまうの。戻してもいいんだけど……ほら、私の体に一度入った物を戻すと、先生が感染しちゃうから……」
 愛原:「そういうことか」
 リサ:「感染してもいいなら、そうするよ?」

 リサはニヤッと笑った。

 リサ:「もし私が人間に戻れなかったら、先生にBOWになってもらうね?そしたら私達、ずっと一緒にいられるでしょ?」
 愛原:「その代わり立場が逆転して、今度は俺がお前の下僕になるんだろ。分かってるよー」
 リサ:「バレたかw」

 下級クリーチャーだと、そういうことはない。
 例えばゾンビに噛まれてゾンビ化した者が、噛んだゾンビの下僕になるのかというと、そんなことはない。
 だが、上級BOWはそれができるのだ。
 リサがタイラントを手なずけられるのも、この能力によるものだ。

 リサ:「最後に肩もみしまーす」
 愛原:「ん、そうか?」

 リサは私の後ろに回り、肩を揉み始めた。

 愛原:「ああ、いいねぇ……」
 リサ:「BOWにマッサージしてもらえる人間、きっと先生だけだろうね」
 愛原:「そうだな」
 リサ:「先生は幸せ者だよ?」
 愛原:「そうだな」

 そしてリサは最後にポンと私の肩を叩く。

 リサ:「はいっ。『リサ・トレヴァーのJCリフレ』、これにて閉店でーす」
 愛原:「ああ、ありがとう。後でお小遣いあげるよ」
 リサ:「おー!」

 最近リサに渡す小遣いは現金ではなくて、電子マネーであることが多い。
 それは、この辺のコンビニやらファーストフードやら、JCが行きそうな店は大抵が電子マネーに対応しているからだ。
 学校でも自販機などは、それに対応しているという(中学校で自販機が設置されているのも珍しいだろうが、そこは私立だからである)。
 但し、購買部では基本的に現金払いだ。
 比較的裕福な子弟の集まる東京中央学園において、子供にお金の計算をさせるという名目で電子決済化には至っていないとのこと。

 愛原:「明日、駅でお前のPasmo、チャージしてあげよう」
 リサ:「ほんとに!?」
 愛原:「ああ」
 リサ:「おー!先生の老廃物も食べられて、お小遣いももらえて一石二鳥~!」
 愛原:「因みに学校で今、必要な物は無いか?」
 リサ:「必要なもの?無いねぇ」
 愛原:「そうか」
 リサ:「どうせ、もうすぐ卒業だし」
 愛原:「ああ、そうか」

 中等部を卒業して、高等部に進学する。
 そこで栗原蓮華の後輩になるわけか。
 しかし、リサの体操服を見て気になったことがある。
 確かにリサは今風のショートパンツを穿いている。
 かつてはブルマだったことは、アラフォー世代なら皆知っている。
 ところが、リサの学校の校則では、正式にブルマが廃止された旨が書かれていないのだ。
 『ショートパンツも認める』という記載があるだけ。
 それ以降、こぞって女子生徒達はブルマからショートパンツに切り替えたのだろう。
 そしてリサが入学する頃には、それが当たり前で、さも当然のようにショートパンツを購入した経緯がある。
 だが、校則で正式に廃止した旨が謳われていないということは、だ。

 愛原:「リサ。リサの学校に、購買部があるだろ?」
 リサ:「あるよ」
 愛原:「そこで体操服も売ってるよな?」
 リサ:「あるね」
 愛原:「ブルマは売ってるか?」
 リサ:「ぶるま?……ああ!先生のPCに保存されてるエロ動画に、そんなのあったね!」
 愛原:「シッ、バカ!声がデカい!」
 リサ:「パンツと同じ形をしたヤツでしょ?」
 愛原:「そうだ」
 リサ:「売ってるよ」
 愛原:「なにっ!?」
 リサ:「チアリーディング部の人達が、スカートの下に穿くんだって」
 愛原:「それか!その需要か!」

 てか、中学校にチアリーディング部なんてあるのか。
 さすがは私立。
 男子応援部もあって、それと同時活動することもあるという。
 もしかして、チアリーディング部の為に廃止しなかったのか?

 リサ:「ん?もしかして先生、私に穿いてほしいの?」

 リサはニヤリと笑った。
 その時、少し鋭くなった牙が覗いた。

 愛原:「い、いや……」
 リサ:「お金くれたら、買ってくるよ?」
 愛原:「いや、その……」
 リサ:「確か先生のエロ動画、わざと女優さんがサイズの小さいブルマ穿いて、そこからパンツがはみ出るなんてシーンもあったよね?私が再現してあげようか?私、先生の命令なら何でも聞くよ。でもね、さすがにそこまで来ると、ちょーっと老廃物だけじゃ足りないな?」
 愛原:「な、何が条件だ?」
 リサ:「そうねぇ……。先生の血、200mlくらいちょうだい!そしたら私、あのエロ動画の女優さんの物真似してあげる!」
 愛原:「な、なん……だと……!?」
 リサ:「『リサ・トレヴァーのJCコスプレ風俗』、近日オープンしますw」

 リサが妖艶な笑みを浮かべる。

 高橋:「くぉらーっ!」

 その時、手に調理中の包丁を持った高橋が飛び込んで来た。

 高橋:「なに先生をハニトラ掛けようとしてんだ、コラ!先生もいい加減に気づいてください!」
 愛原:「そ、そうだった!すまん!」
 リサ:「ちっ!もうちょっとで合法的に血が吸えるところだったのに」
 高橋:「血肉を食らうなって言われただろ!?」
 リサ:「襲って食うなって言われたの!つまり、襲わなければOKってことでしょ!?」
 高橋:「アホか!」

 いつもはボケ役の高橋が、今回は珍しくツッコミ役に回った日であった。
コメント
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