報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“魔女エレーナの日常” 「クイズマジックアカデミー?」

2019-10-31 19:08:33 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[10月26日16:15.天候:曇 魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ北西部 アルカディア学園]

 エレーナは妹弟子のリリアンヌを連れて、師匠ポーリンと会談を行った。
 そしてその足で、リリアンヌが中等教育を受けているアルカディア学園に足を運んだ。
 ここは魔道士だけは全寮制の中高一貫校である。
 エレーナの知り合いが教員として何人か潜り込んでいるので、会いに向かったのだが……。

 エレーナ:「警備の為、行く途中途中に魔法の鍵が掛かっているとあいつは言っていたけども……」
 リリアンヌ:「フフフ……ただの鍵ではないです」
 エレーナ:「それくらいは想定内だ。『ガーゴイルにいくら渡せば開けてもらえるか計算せよ』的なものを想定していたんだけど、これは想定外だったな……」

 まず職員室に行く為のドアを開けるのに、クイズに答えなければならない。
 エレーナに出題されたのはこちら。

『デデン♪ ポテンヒットさん原作の“ケンショーレンジャー”シリーズ。ケンショーグリーンは横田理事、それでは現在のケンショーブルーこと、サトー様の現在の役職は?』

 エレーナ:「これ、出題相手間違えてねーか?隊長か何かだろ、どうせ?」

 ピンポンピンポーン♪
 ガチャ。

 リリアンヌ:「フフフ……正解したらチャイムが鳴って、自動でドアが開きます」
 エレーナ:「半開きかよ。まあ、自分で開け閉めすりゃいいだけの話だけどな」

 廊下が続く。

 リリアンヌ:「職員室はあの部屋です。その前にちょっとトイレ……」
 エレーナ:「おー、行ってこい。……いや、私も行こう」

 しかし、トイレのドアにも鍵が掛かっていて……。

『デデン♪ 「事の一念三千」について説明しなさい』

 エレーナ:「知るか!てかぜってー出題相手間違えてんだろ!!」
 リリアンヌ:「フフフ……きっとカントクも答えられません……」

 雲羽:「ギクッ!」( ゚Д゚)

 エレーナ:「パスだ、パス!……って、パスしたらペナルティとかは無いんだろうな?」
 リリアンヌ:「パスのペナルティはありませんが、間違ったらあります」
 エレーナ:「マジか」

『デデン♪ 大石寺境内に現存している創価学会寄進の建造物、総一坊・総ニ坊と大講堂、あと1つは?』

 エレーナ:「稲生氏への問題だろ、これは?!ちょっと待て!稲生氏に連絡してみる!」

 ブブーッ!
 ガコン!(天井に穴が開く)
 ガーン!(ブリキのタライが落ちて来て、エレーナの頭に直撃)

 エレーナ:「くっ……くかっ……!これ……なかなか答えられなくて、漏らすヤツとか出て来るだろ!」
 リリアンヌ:「そういう時は答えられる人を連れて来ます。……てか、先輩、早く答えてくれないと、私が漏れそうです……」
 エレーナ:「くそっ!ここはクイズマジックアカデミーか!別の意味で!」

『デデン♪ 雲羽三部作の中で、原作が1番古い作品は何でしょう?』

 エレーナ:「は?この作品じゃねーの?」

 ブブーッ!
 ブシューッ!(今度はガスが噴射し、エレーナとリリアンヌを包む)

 エレーナ:「ゲホッ、ゲホッ!何だこれ!?……あっ!」

 突然エレーナにやってくる強い尿意。

 エレーナ:「しまった!催尿ガス!」
 リリアンヌ:「ほ……本当に漏れそう……!」

 リリアンヌはスカートの上から股間を押さえてモジモジし始めた。

『デデン♪ 雲羽三部作の主人公達が一同に会した“最終電車”。舞台となったJR線は何?』

 エレーナ:「あー、これは簡単だぜ。稲生氏から聞いた。埼京線だ、埼京線」

 ピンポンピンポーン♪
 ガチャ。

 エレーナ:「開いた!行くぞ、リリィ!」
 リリアンヌ:「フヒッ!はいっ!」

 2人の魔女はようやくトイレに入ることに成功した。
 一瞬、まさか個室に入るのにもクイズを受けなければならないのだろうかと思ったが、さすがにそんなことはなかった。

 エレーナ:「危ねぇ、危ねぇ。私まで漏らすところだったぜ……。おーい、リリィ!間に合ったか?」
 リリアンヌ:「ちょ、ちょっとフライング……」
 エレーナ:「なに!?」
 リリアンヌ:「だ、大丈夫です。ナプキンが……」
 エレーナ:「そ、そうか。(そういやこいつ、『今日は少し多い』とか言ってたな……)それにしても、何ちゅう学校だ。まさか、寮の方もか?」
 リリアンヌ:「はい、そうです」
 エレーナ:「マジかよ……」

 トイレを済ませた後で職員室に行く。
 で、そのドアを開ける際にも開錠の出題があったのだが……。

『デデン♪ 雲羽三部作、唯一の受賞作品は?』

 エレーナ:「学内コンクール最優秀賞の“私立探偵 愛原学”だな」

 ピンポンピンポーン♪

 ハンソン:「やあやあ、よく来てくれたねぇ、エレーナ」
 エレーナ:「ここはクイズマジックアカデミーか!」
 ハンソン:「常に頭を回転させ、咄嗟の閃きを養う目的もあるのよ」
 エレーナ:「必要か、それ?」
 ハンソン:「この世界ではね。やっぱり戦士達から見れば、魔道士は頭の回転の早さも売りなのよ」
 エレーナ:「こっちの世界じゃ、カネの計算が上手けりゃだいたい上手く行く」
 ハンソン:「エレーナらしいわね」
 リリアンヌ:「ハンソン先生、こんにちは……」
 ハンソン:「リリィがエレーナを連れて来たのね?」
 エレーナ:「いや、魔界に連れて来たのは私の方だぜ。ポーリン先生に呼び出されたからな?」
 ハンソン:「またお説教?」
 エレーナ:「うっせ!」
 ハンソン:「ま、ちょっと応接室で話しましょう」
 エレーナ:「リリィの評価についても聞いておきたいな」
 ハンソン:「それは心配無いんだけどね」

 因みにその部屋から出る場合においては、クイズの出題は無い。
 また、教職員にあっては権限のある部屋に出入りする時、カードキーを使用するのでクイズに回答する必要は無い。

『デデン♪ 雲羽三部作の中で、1番古い作品を挙げよ』

 エレーナ:「これの解答が分からなかったんだが?」
 ハンソン:「これは“アンドロイドマスター”シリーズね。何でも作者が10代の時、テレ朝の“メタルヒーロー”シリーズやゲームの“ロックマン”シリーズに感化されて書いたものが始まりとか……」
 エレーナ:「マジかよ、全然似てねーぞ!」

 応接室に通される。

 ハンソン:「コーヒーでいい?」
 エレーナ:「魔王城じゃ紅茶出されたから、よろしくだぜ」

 師匠と説教込みの会談とは違い、こちらは終始和やかに会話が弾んだという。
 尚、アルカディア学園に勤務している魔道士達は、ダンテを囲む会には参加しないそうだ。
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“魔女エレーナの日常” 「アルカディアメトロ1号線」

2019-10-31 15:18:16 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[魔界時間10月26日15:00.天候:曇 魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ 魔王城新館3F応接室エリア]

 ポーリン:「良いな?商売にばかり精を出していないで、修行も怠ってはならぬぞ?」
 エレーナ:「はい」
 ポーリン:「本来なら、エレーナにもこちらの仕事を手伝ってもらいたいところなのだから」
 エレーナ:「人間界における監視役、精一杯頑張ります……」

 最後は殆ど説教で終わったポーリン組の師弟会談。

 エレーナ:「はーあ。やっと終わったぜ……」
 リリアンヌ:「ポーリン先生、怖いです……」
 エレーナ:「まあ、あれが本来の大魔道師だからな。あれじゃ確かに、ディズニーの世界じゃ悪役にされるのも当然……」

 ガチャと突然、応接室のドアが開く。

 ポーリン:「何か言ったか?」
 エレーナ:「ぴっ!?ななな、何でもありません!」
 ポーリン:「人間界で商売に精を出すのもいいが、その口の悪さは何とかしなよ?」
 エレーナ:「す、すいません!育ちが悪かったもんでぇ……。気をつけまーす」
 ポーリン:「なら良い」

 バタンと再びドアが閉まる。

 エレーナ:「危ねぇ、危ねぇ。いいか、リリィ?こうやって心臓に悪い現れ方をするのも、大魔道師の特徴だぜ。よく覚えておくんだぜ?」
 リリアンヌ:「は、はい!」

 エレーナはローブの中から加熱式タバコを取り出して、それを口に運んだ。

 ガチャ!

 ポーリン:「あとタバコもいい加減にせい」
 エレーナ:「プッ!」(←口にくわえたタバコを吹き出す)

[同日15:30.天候:曇 魔界高速電鉄(アルカディアメトロ)1番街駅・地下鉄ホーム]

 エレーナ:「本当に魔界にいる間は油断できねぇなぁ……」
 リリアンヌ:「……あ、あの、先輩」
 エレーナ:「何だ?」
 リリアンヌ:「ほ、ホテルに帰るんじゃないですか?」
 エレーナ:「せっかく来たんだぜ。ちょっとオマエの学校に寄らせてもらうぜ」

 2人の魔女は魔界高速電鉄が運営する地下鉄のホームで電車を待っていた。
 人間界の新しい地下鉄と違い、駅構内は薄暗く、あんまり良い雰囲気とは言えない。
 高架鉄道とは同じ鉄道会社なのだが、まるで違う鉄道会社が運営しているかのように、全く雰囲気が違うのである。

 リリアンヌ:「は、はい……」
 エレーナ:「それとも、上のトラムで行った方が良かったか?」
 リリアンヌ:「いえっ、地下世界こそ我がパラダーイス……フフフフフ……」

 そこへ何の接近放送も無く、トンネルの向こうから強風と轟音、そしてやかましい警笛の音が近づいて来た。
 入線してきた電車は、開業当時の地下鉄銀座線の1000形に酷似している。
 ホームドアも無く、電車が停車すると魔族の運転士が起立して乗降ドアを開け、乗務員室ドアも開ける。
 地下鉄銀座線時代との大きな違いは、運転室横に取り付けられたサイドミラーなど。
 地上の高架鉄道はツーマン運転だが、地下鉄は基本的にワンマン運転だからだ。
 だからワンマン対応の改造がされている。
 ホームに発車ブザー(旧・営団地下鉄のあれ)が鳴り響くと、運転士はホームの方を見もせず、横のドアスイッチを操作した。
 そして、乗務員室のドアを閉めると、そのままハンドル操作。
 安全最優先もヘッタクレも無い運行だが、外国の、それも旧ソ連系の地下鉄は大体みんなこんな感じ(平壌地下鉄ですら、駅員が一応監視しているというのに)。
 釣り掛け駆動のモーターを響かせて駅を発車した。
 車内は電球の明かりが灯っているが、現在の地下鉄電車から見れば薄暗い。

〔この電車は1号線、デビル・ピーターズ・バーグ行きです。次は33番街、33番街です。中央線各駅停車、軌道線3系統及び33系統はお乗り換えです〕

 この1号線は東京でいうところの丸ノ内線に相当し、33番街は御茶ノ水に相当するようだ。
 ワンマン仕様の為、放送も自動放送が導入され、乗降ドアの上にもLED式の案内表示器が後付けされている。
 電車は6両編成だが、電車の構造上、車内から隣の車両へは行けない。
 これは欧米の地下鉄ではむしろ当たり前なくらい。
 乗務員も魔族が多ければ、利用者も魔族が多い。
 人型のモンスターが多く乗っている。
 オークとかゴブリンとか……。
 運転士は子供のように見えるが、小鬼と呼ばれる、大人になっても小さい鬼である。
 でもちゃんと制服を着て制帽を浅く被っている。
 深く被ると角が引っ掛かるからである。
 電車は時折トンネルの中で警笛を鳴らす。
 これはトンネルの中をモンスターが歩いているからである。
 別に作業員というわけではなく、要はならず者のモンスターである。
 ファンタジー系RPGの洞窟ダンジョンのようなものだ。
 電車に襲い掛かる者は滅多にいないが、さすがにそのまま轢き殺すわけにもいかない。
 しかし、そいつらの為に減速してやる必要も無いということで、取りあえず警笛はよく鳴らすということだ。
 日本の鉄道の『線路内人立入り』の概念が無い鉄道である。

[同日16:00.天候:曇 アルカディアシティ内・アルカディア学園]

 リリアンヌが寮に入って学園生活をしている学校に着いた。
 別にここはホグワーツ魔法学校のような所ではなく、普通に勉強を教えるアカデミーである。
 何でこのようなものができたかというと、新規入門者がそれまでの人間としての生活が悲惨である者が多く、満足な教育を受けていない者が散見されるからである。
 元々あった学校に、ダンテ一門が自分達の門弟の教育を行わせたのが始まりである。
 リリアンヌも初等教育を終えたか否かといった程度だったので、今はここで中等部として教育を受けている。
 エレーナの場合は必要無い(使用している体のおかげ)。
 稲生は大学既卒、マリアも高卒相当なので、やはり必要無い。

 エレーナ:「ちわっ!エレーナっス」
 教員:「あら、エレーナ!?久しぶり〜!」

 尚、教員の一部にダンテ一門から派遣されている者もいる。
 教育能力に長けている者もいるので。
 で、その中にはこのようにエレーナとの知り合いもいると。

 リリアンヌ:(むしろエレーナ先輩のお知り合いの先生に会いに来ただけじゃ……?)
 教員:「ホウキで飛んで来なかったの?」
 エレーナ:「かったるくってー、あんな霧ん中飛べねーぜ。地下鉄で来たぜ。うちのリリィの担任に挨拶に来たんだけど、いるかい?」
 教員:「ハンソンね。多分今、職員室にいると思うわ」
 エレーナ:「リリィの姉弟子として、挨拶くらいしておこうと思ってな」
 リリアンヌ:「はい……」
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