[9月29日17:25.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅八重洲中央口→日本交通タクシー車内]
鈴木:「俺はエレーナと一緒にタクシーで帰りますんで」
東京駅に到着した鈴木とエレーナは、八重洲中央口改札を出ると、稲生とマリアと別れた。
鈴木との身体的接触を避けるエレーナであるが、行動を共にすること自体は吝かではないらしい。
八重洲南口の高速バス乗り場の北隣にタクシー乗り場はある。
尚、日本橋口でもタクシーが発着している光景が見受けられるが、本来正式な乗降場所にはなっていないことに注意である。
本来は高速バスの到着専用ターミナルであり、他の車が勝手に入って来ているという扱いである。
その為か、正式な乗り場である八重洲側には係員が乗客誘導をしている(24時間ではない)。
稲生:「さあ、乗って乗って」
エレーナ:「おー、料金の支払い、よろしくだぜ」
稲生:「任しとけー!」
先頭に並んでいるタクシーに乗り込んだ。
鈴木:「江東区森下のワンスターホテルまでお願いします」
運転手:「江東区森下ですね?」
運転手はピッピッと運転席横のナビを操作する。
すると、ワンスターホテルが登録されていた。
個人営業の小さなホテルでも、カーナビのホテル一覧の中には入れているらしい。
運転手:「それではナビの通りに走りますんで、希望のルートがあったら教えてください」
鈴木:「分かりました」
タクシーが走り出す。
八重洲口もまた高速バスと一緒に大通りに出る。
エレーナ:「ん?鈴木は私を送ってくれるだけだろう?」
鈴木:「女の子を1人で帰すわけにはいかないからね」
エレーナ:「こう見えても私は元ストリートチルドレンだ。日本の治安レベルなら、1人で帰っても大丈夫だぜ。タクシー代だけくれれば」
鈴木:「そうは行くか。『協力者』の本分、とくと発揮させてもらうぞ?」
エレーナ:「それはよろしくだぜ」
エレーナは小さく溜め息をついて、リアシートの背もたれに体を預けた。
[同日17:45.天候:雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
ホテルに着く頃、雨が降り出して来た。
エレーナ:「雨が降って来たか?」
鈴木:「秋雨前線が活発化してきているらしいな。あと、南太平洋で台風が……」
エレーナ:「なるほど。ま、本格的に降り出す前に着いて良かったぜ」
タクシーがホテルの前に止まる。
運転手:「ありがとうございます。それでは料金が……」
鈴木:「Suicaで払います」
運転手:「かしこまりました」
料金の支払いが終わると、エレーナは先に降りてホテルの中に入った。
エレーナ:「ただいまですー」
オーナー:「エレーナ、お帰り」
フロントには50代くらいのオーナーがいた。
丸いレンズの眼鏡を押し上げてエレーナを見る。
エレーナ:「これ、お土産です。奥様と御一緒に食べてください」
オーナー:「おっ、ありがたい。『後でスタッフが美味しく頂』くよ」
鈴木:「こちゃーっす!」
東京駅から乗って来たタクシーが走り去ったと思いきや、鈴木もホテルに入って来た。
エレーナ:「鈴木、送ってくれたのはありがたいが、もう十分だぜ。雨が本降りになる前に帰るんだぜ」
鈴木:「え?なに言ってんの?」
エレーナ:「あ?」
鈴木:「予約していた鈴木です」
オーナー:「いつもありがとうございます。月並みですが、こちらのシートにご記入を……」
ズッコケるエレーナ。
エレーナ:「いつの間に予約してたんだぜ!?」
鈴木:「フフフ……。ネットユーザー、ナメんな。いやー、このホテルもネットで予約できるようになったんですね」
オーナー:「そうなんですよ。鈴木さんが、うちの公式サイトの大幅リニューアルを手掛けてくれましたでしょう?やはりそこまで行ったら、うちもネット予約の受付もしないとと思いまして」
鈴木:「英断です」
オーナー:「エレーナは?静岡のホテルに泊まった時、色々と参考になったものはあったかい?」
エレーナ:「ええ、まあ、色々と……」
オーナー:「後で、エレーナなりのアイディアを聞こうじゃないか」
鈴木:「あ、支払いはいつもの通り、カードでお願いします」
オーナー:「はい、ありがとうございます」
エレーナ:「まさか部屋が空いているとは……」
鈴木:「こういうホテルは、翌日平日の休日が1番空くんでしょ?だからホテルによっては、今日みたいな日が料金も安くなってる」
エレーナ:「まあ、それはそうだが……」
オーナー:「それじゃ、これが鍵です。今日は3階の313号室です」
鈴木:「313。どこかで聞いた数字だなぁ……。あ、東海道線と身延線で乗った電車か」
JR東海313系。
鈴木達が乗ったのはロングシート、非ワンマン仕様の2500番台である。
オーナー:「あ、そうそう。因みにお得な長期滞在プランもありますので、もしよろしければ……」
鈴木:「可及的速やか且つ前向きに検討させて頂きます」
エレーナ:「オーナー、余計なことを……!」
オーナー:「ん?何か言ったかい?」
エレーナ:「なな、何でもないです!」
オーナー:「常連さんにお得なプランを紹介することは、客商売のホテルとして当然だと思うがね?」
エレーナ:「は、はい!その通りでございますぅ……!」
鈴木:「それではまたお世話なります」
オーナー:「ごゆっくりどうぞ。……ほら、エレーナも早く荷物置いて来い。明日から、また仕事してもらうぞ」
エレーナ:「わ、分かってますよ」
オーナー:「それにしても、わざわざ鈴木さんを待ってあげるとは、エレーナも律儀になったな」
鈴木:「何ですと?」
エレーナ:「お、オーナー、違います!冗談はやめてください!」
と、そこへエレベーターのドアが開く。
リリアンヌ:「エレーナ先輩、お帰りなさい!ムッシュ鈴木、ボンソワール!」
エレーナ:「ああ、ただいま。リリィにもお土産あるぜ」
リリアンヌ:「ムッシュ鈴木!げ、ゲーム!まだ、クリアできない所ある!」
鈴木:「よし、俺に任せろ」
エレーナ:「あんたは自分の部屋に行け!」
鈴木:「リリィちゃんに御指名されたとあらばなぁ……」
エレーナ:「何が御指名だ、この野郎!ホストか!」
鈴木:「御指名ありがとうございます。ヒロです」
エレーナ:「オマエぶっころ!」
鈴木:「まあまあ」
3人賑やかにエレベーターに乗り込む姿を、オーナーはホッコリした顔で見ていた。
鈴木:「俺はエレーナと一緒にタクシーで帰りますんで」
東京駅に到着した鈴木とエレーナは、八重洲中央口改札を出ると、稲生とマリアと別れた。
鈴木との身体的接触を避けるエレーナであるが、行動を共にすること自体は吝かではないらしい。
八重洲南口の高速バス乗り場の北隣にタクシー乗り場はある。
尚、日本橋口でもタクシーが発着している光景が見受けられるが、本来正式な乗降場所にはなっていないことに注意である。
本来は高速バスの到着専用ターミナルであり、他の車が勝手に入って来ているという扱いである。
その為か、正式な乗り場である八重洲側には係員が乗客誘導をしている(24時間ではない)。
稲生:「さあ、乗って乗って」
エレーナ:「おー、料金の支払い、よろしくだぜ」
稲生:「任しとけー!」
先頭に並んでいるタクシーに乗り込んだ。
鈴木:「江東区森下のワンスターホテルまでお願いします」
運転手:「江東区森下ですね?」
運転手はピッピッと運転席横のナビを操作する。
すると、ワンスターホテルが登録されていた。
個人営業の小さなホテルでも、カーナビのホテル一覧の中には入れているらしい。
運転手:「それではナビの通りに走りますんで、希望のルートがあったら教えてください」
鈴木:「分かりました」
タクシーが走り出す。
八重洲口もまた高速バスと一緒に大通りに出る。
エレーナ:「ん?鈴木は私を送ってくれるだけだろう?」
鈴木:「女の子を1人で帰すわけにはいかないからね」
エレーナ:「こう見えても私は元ストリートチルドレンだ。日本の治安レベルなら、1人で帰っても大丈夫だぜ。タクシー代だけくれれば」
鈴木:「そうは行くか。『協力者』の本分、とくと発揮させてもらうぞ?」
エレーナ:「それはよろしくだぜ」
エレーナは小さく溜め息をついて、リアシートの背もたれに体を預けた。
[同日17:45.天候:雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
ホテルに着く頃、雨が降り出して来た。
エレーナ:「雨が降って来たか?」
鈴木:「秋雨前線が活発化してきているらしいな。あと、南太平洋で台風が……」
エレーナ:「なるほど。ま、本格的に降り出す前に着いて良かったぜ」
タクシーがホテルの前に止まる。
運転手:「ありがとうございます。それでは料金が……」
鈴木:「Suicaで払います」
運転手:「かしこまりました」
料金の支払いが終わると、エレーナは先に降りてホテルの中に入った。
エレーナ:「ただいまですー」
オーナー:「エレーナ、お帰り」
フロントには50代くらいのオーナーがいた。
丸いレンズの眼鏡を押し上げてエレーナを見る。
エレーナ:「これ、お土産です。奥様と御一緒に食べてください」
オーナー:「おっ、ありがたい。『後でスタッフが美味しく頂』くよ」
鈴木:「こちゃーっす!」
東京駅から乗って来たタクシーが走り去ったと思いきや、鈴木もホテルに入って来た。
エレーナ:「鈴木、送ってくれたのはありがたいが、もう十分だぜ。雨が本降りになる前に帰るんだぜ」
鈴木:「え?なに言ってんの?」
エレーナ:「あ?」
鈴木:「予約していた鈴木です」
オーナー:「いつもありがとうございます。月並みですが、こちらのシートにご記入を……」
ズッコケるエレーナ。
エレーナ:「いつの間に予約してたんだぜ!?」
鈴木:「フフフ……。ネットユーザー、ナメんな。いやー、このホテルもネットで予約できるようになったんですね」
オーナー:「そうなんですよ。鈴木さんが、うちの公式サイトの大幅リニューアルを手掛けてくれましたでしょう?やはりそこまで行ったら、うちもネット予約の受付もしないとと思いまして」
鈴木:「英断です」
オーナー:「エレーナは?静岡のホテルに泊まった時、色々と参考になったものはあったかい?」
エレーナ:「ええ、まあ、色々と……」
オーナー:「後で、エレーナなりのアイディアを聞こうじゃないか」
鈴木:「あ、支払いはいつもの通り、カードでお願いします」
オーナー:「はい、ありがとうございます」
エレーナ:「まさか部屋が空いているとは……」
鈴木:「こういうホテルは、翌日平日の休日が1番空くんでしょ?だからホテルによっては、今日みたいな日が料金も安くなってる」
エレーナ:「まあ、それはそうだが……」
オーナー:「それじゃ、これが鍵です。今日は3階の313号室です」
鈴木:「313。どこかで聞いた数字だなぁ……。あ、東海道線と身延線で乗った電車か」
JR東海313系。
鈴木達が乗ったのはロングシート、非ワンマン仕様の2500番台である。
オーナー:「あ、そうそう。因みにお得な長期滞在プランもありますので、もしよろしければ……」
鈴木:「可及的速やか且つ前向きに検討させて頂きます」
エレーナ:「オーナー、余計なことを……!」
オーナー:「ん?何か言ったかい?」
エレーナ:「なな、何でもないです!」
オーナー:「常連さんにお得なプランを紹介することは、客商売のホテルとして当然だと思うがね?」
エレーナ:「は、はい!その通りでございますぅ……!」
鈴木:「それではまたお世話なります」
オーナー:「ごゆっくりどうぞ。……ほら、エレーナも早く荷物置いて来い。明日から、また仕事してもらうぞ」
エレーナ:「わ、分かってますよ」
オーナー:「それにしても、わざわざ鈴木さんを待ってあげるとは、エレーナも律儀になったな」
鈴木:「何ですと?」
エレーナ:「お、オーナー、違います!冗談はやめてください!」
と、そこへエレベーターのドアが開く。
リリアンヌ:「エレーナ先輩、お帰りなさい!ムッシュ鈴木、ボンソワール!」
エレーナ:「ああ、ただいま。リリィにもお土産あるぜ」
リリアンヌ:「ムッシュ鈴木!げ、ゲーム!まだ、クリアできない所ある!」
鈴木:「よし、俺に任せろ」
エレーナ:「あんたは自分の部屋に行け!」
鈴木:「リリィちゃんに御指名されたとあらばなぁ……」
エレーナ:「何が御指名だ、この野郎!ホストか!」
鈴木:「御指名ありがとうございます。ヒロです」
エレーナ:「オマエぶっころ!」
鈴木:「まあまあ」
3人賑やかにエレベーターに乗り込む姿を、オーナーはホッコリした顔で見ていた。