報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「正証寺の支部登山」 前泊編

2019-10-03 19:15:11 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 ※去る9月20日、日蓮正宗先代御法主の第67世・日顕上人猊下が御遷化されましたが、この話はそれ以前に作ったものです。従いまして、作中にそのような描写は一切入っておりません。予めご了承ください。

[9月28日16:15.天候:曇 静岡県富士宮市 日蓮正宗総本山大石寺三門前→境内]

 

 鈴木:「バス停から少し遠いですね」
 稲生:「仕方無いよ。バス停の名前が『大石寺入口』だもん」
 鈴木:「真夏じゃなくて良かった」
 稲生:「そうだねぇ……」

 昼間はまだ暑さが残るものの、朝晩は涼しい。
 日も夏場と比べれば明らかに短くなったことと、雲が出て来て夕日を隠してしまったこともあり、気温は下がりつつあった。

 鈴木:「宿泊するのはどこの坊でしたっけ?」
 稲生:「報恩坊だよ」
 鈴木:「何だか恣意的ですねぇ……」
 稲生:「そういうこと言わないw」

 稲生達は境内に入り、大石寺に数多ある宿坊の1つ、報恩坊に向かう。

 特盛:「あれー?鈴木だぁー」
 沢尻エリ:「本当ね」
 鈴木:「おおっ、特盛!……と、エリちゃん!久しぶりだなぁ!」
 特盛:「鈴木も元気になったなぁ!」
 鈴木:「特盛、お前は更にデッカくなりやがって!」
 稲生:(ポテンヒットさん作、“ガンバレ!特盛くん”の人達……)
 特盛:「鈴木も六壺の勤行に行くのぉ?」

 特盛は明らかに体重3桁あるであろう、大きな体を揺すった。

 鈴木:「いや、俺達は支部総登山だ。今日から前泊入りで来たんだよ。だから俺達は宿坊の勤行に参加させて頂くことになる」
 特盛:「そうなんだー」
 鈴木:「エリちゃん、子供できたか?」
 エリ:「いや、まだ。こいつ男性不妊じゃねーのと思うくらい」
 特盛:「そんなぁ!エリちゃん、ヒドいよー!」
 鈴木:「まあ、御本尊様に物すっごく頼むことだな。(顕正会の時、支隊長の松本と付き合ってた頃、エリは松本とヤってたはずだ。この2人のことだから、ロクに避妊もしないでヤってたはずだが、それでもデキなかったみたいだな。ということは……)」
 エリ:「特盛、そろそろ勤行の始まる時間だ」
 特盛:「いっけない!早く行かなきゃ!」
 エリ:「じゃあな、鈴木」
 鈴木:「ああ。お幸せに」
 エリ:「オマエも早く彼女作れよ」
 鈴木:「大きなお世話だ」
 稲生:「好きな人ならいるのにね」
 鈴木:「だから先輩、同じ魔法使いでしょ?何とかエレーナの落とし方を教えてもらえませんか?」
 稲生:「僕よりもマリアさんの方が同じ魔女だし、後でマリアさんに聞いておくよ」

 そうは言ったものの、稲生はマリアが哀れみを多分に含んだ顔で諦めるよう言って来るだけだと今から予知してしまった。

[同日16:30.天候:曇 大石寺東裏塔中・報恩坊]

 

 稲生:「はい、到着ー」
 鈴木:「三門から遠い……」
 稲生:「早速中に入ろう。夕勤行始まるよ」
 鈴木:「六壺の方はもうすぐ始まるでしょうけど、俺達は報恩坊さんの勤行では?だとしたら、もう少し後……」

 中に入る。

 藤谷秋彦:「やあ、キミ達、よく来てくれたねぇ」
 稲生:「登山部長、お疲れさまです!稲生と鈴木、到着しました!」
 秋彦:「今夕の弁当代と明日の朝の弁当代、それと御開扉料まとめて徴収するんでよろしく」
 稲生:「はい。後で額が合わなくなり、藤谷班長の競馬の勝ち分で補填したなんてことにならないようお願いしますよ」
 秋彦:「はっはっはー。さて、何の事かな?」
 鈴木:「改めて凄い所に所属したもんだ……」
 稲生:「藤谷班長はどちらへ?」
 秋彦:「あいつも自分の眷属が来るんだから、ここで待ってりゃいいものを……。おい、田部井君。うちのバカ息子、どこ行った?」
 田部井信徒:「藤谷さんならさっき、『ボイラー直してくる』って、裏手に行きましたよ?」
 秋彦:「ボイラー?何のこっちゃ?」
 田部井:「洗面所のお湯が出ないんで、藤谷さんが見に行ったんですよ」
 秋彦:「あのバカタレ、なに他支部の寺院の設備勝手にイジってんだよ……」

 チュドーン!

 稲生:「わあっ!?」
 田部井:「何だ、爆弾!?」
 鈴木:「ついに顕正会が大石寺に爆弾テロ!?」

 裏手に行くと、ギャグマンガのように煤だらけになった藤谷と巻き添えになった信徒数人が転がっていた。

 藤谷春人:「あ、あれ?何でまた爆発したんだろ?」
 稲生:「班長、何やってるんですか!」
 秋彦:「春人!とんでもないことしてくれたな!大バカ者ーっ!!」
 鈴木:「正証寺にアポ無し法論してきた顕正会員と、出て来た顕正会員の数が合わない理由ってこれ!?」

[同日20:00.天候:雨 同市内 JR富士宮駅前・富士宮富士急ホテル]

 エレーナ:「あー、飲んだ食った!飲んだ食った!」
 マリア:「おえ……。飲み過ぎた……」

 夕食を終えてホテルに戻って来た魔女2人。

 エレーナ:「しっかし、せっかくの旅行なのに雨とは……サイアクだぜ。鈴木の罰当たりめ」
 マリア:「どうせ夜だし、富士山なんかもう見えないよ」

 傘は持っていないが、魔道士のローブを着ていたので、ローブの下は全く濡れていない。

 フロント係:「お帰りなさいませ」
 エレーナ:「イケメンのフロントマンのお兄さん!酒売ってる自販機ある?」
 フロント係:「はい。各客室フロアに自販機コーナーがございますので、そちらで取り扱ってございます」
 エレーナ:「あざーっす!」
 マリア:「この酔っ払いめ……っク!」

 マリア自身も酒が回って、白い肌が赤く染まっていた。

 マリア:「てか、まだ飲むのかよ」
 エレーナ:「おつまみは!?」
 フロント係:「自販機で販売してますよ」
 エレーナ:「あざざーっす!」

 2人はエレベーターに乗り込んだ。

 マリア:「どうせ自販機のおつまみなんて、ピーナッツとかだろ?」
 エレーナ:「十分だぜ」
 マリア:「勇太は敬虔な信仰をしているだろうに、何か私達は申し訳無いな」
 エレーナ:「それが魔女ってもんだ。仏教はそれでも火あぶりにしてこないだけマシだぜ」
 マリア:「まあね」

 エレベーターを降りた魔女2人は自販機コーナーでビールやチューハイ、そしておつまみを購入して部屋に戻った。
 そして、部屋の中で二次会を始めたのだった。

[同日21:30.天候:雨 富士宮市上条 大石寺・報恩坊]

 藤谷秋彦:「報恩坊さんのボイラー設置工事が終わるまで寝れると思うな!」
 藤谷春人:「カンベンしてくれよ、オヤジぃ!」
 稲生:「何で僕達まで……」
 鈴木:「班長!何でその場にいなかった俺達まで工事手伝わされるんですか!?」
 春人:「それが『異体同心』ってもんだ」
 田部井:「いや、絶対に違うと思う……」

 敬虔な信仰を実践中の稲生達であった。
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“大魔道師の弟子” 「蓬莱伝説」

2019-10-03 15:57:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月28日14:51.天候:晴 静岡県富士宮市 JR富士宮駅→富士宮富士急ホテル]

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく富士宮、富士宮です。お出口は、右側です」〕

 稲生達を乗せた2両編成のローカル電車は、乗客を増やして身延線で最も賑わう中間駅に差し掛かった。
 20世紀後半まではもっと賑わっていただろうが、1991年を境に乗客数を減らしている。

 稲生:「電車に乗るのはここまでだ」
 鈴木:「富士宮の3文字を聞くと、やっと着いたなぁって気がしますね」
 稲生:「またまだ。大石寺は富士宮市の郊外にあるんだから、まだまだ油断禁物だよ」
 鈴木:「それもそうですね」

 電車がホームに到着し、ドアが開くと多くの乗客がホームへと降りて行く。
 車内に残留している乗客は数えるほど。
 これでは区間運転が多いのも頷ける。

 稲生:「この駅の1番線は団体専用ホーム。もちろんその団体というのは、創価学会のことだよ」

 稲生はそう言った。
 1番線だけは可動式のフェンスで仕切られており、その外側はもう駅前ロータリーの車寄せである。
 かつて専用列車でやってきた学会員達はこのホームで降りると、開放されたゲートから駅の外に出て、そこに横付けされた登山バス(大富士観光バス)で直に大石寺に向かったという。
 そして、学会員達を乗せてやってきた専用列車は、その為に設けられた広大な引き上げ線へと回送されていった。

 鈴木:「1番線、埃被ってますなぁ……」
 稲生:「今はなかなか列車で登山してくる支部が無いからね。で、あれが引き上げ線の跡。確かに広いけど、大宮駅操車場跡よりはマシかな」
 鈴木:「なるほど」
 稲生:「そしてあれが操車場跡」
 鈴木:「おおっ!」

 鈴木はカメラを構えて写真を撮りまくる。
 尚、ウィキペディアに載っているのは10年以上前の画像である為、こちらに転載はできない。
 現況、富士宮駅構内がどうなっているのかは、直接その目で確認して頂きたい。

 鈴木:「『学会の 夢の跡見て 草生える 操車場にも 草生えまくる』ってか」
 稲生:「変な短歌。取りあえず僕が知っている、『駅中に SG達が 夢の跡』はこれだけだよ」
 鈴木:「ありがとうございます。後でフォトショップします」
 稲生:「加工し過ぎた画像を、さも当然のようにアップしたら大変なことになるからね?」

 改札口を出て駅の外に出る。

 エレーナ:「それで稲生氏、私達が泊まるホテルはどこだ?」
 稲生:「もう見えてるよ。あれ」

 稲生は駅前に建つホテルを指さした。

 エレーナ:「おおっ。それでホテル代は奢りだって?」
 稲生:「一応ね。大部分を出してくれるのは鈴木君だから」
 鈴木:「フフン♪金銭面は俺にお任せを」
 エレーナ:「私のホテルより豪華そうだが、本当に大丈夫なのか?」
 鈴木:「大丈夫大丈夫」
 マリア:「エレーナのホテルより貧相にしたら、それはドミトリーと言うんだ」

 駅前ロータリーの反対側にホテルの入口はあった。
 リニューアルしたばかりらしく、中に入ると木目調がよく目立つ内装が目に飛び込んで来た。

 フロント係:「いらっしゃいませ」
 鈴木:「東京から来た鈴木で予約を取っている者ですが?」
 フロント係:「はい、鈴木様ですね」

 鈴木はエレーナのホテルによく泊まっているということもあってか、慣れた様子でチェックインの手続きを行っている。
 エレーナは同業ということもあってか、このホテルの内部を気にしているようだ。

 エレーナ:「自動チェックイン機か。うちにも欲しいぜ」
 マリア:「そしたらアンタの仕事無くなるよ」
 鈴木:「エレーナ。ここから先はエレーナの直筆でよろしく」
 エレーナ:「ラジャ」

 その意味をエレーナは理解しているので、わざわざ説明しなくても良い。
 金を出すのは鈴木だが、実際に宿泊するのはマリアとエレーナである為、宿泊者カードへの記入はエレーナが行うことになる。
 マリアが書かないのは、マリアは日本語が書けない為(多少読むことはできる)。

 フロント係:「ありがとうございます。それでは7階のデラックスツインを御用意させて頂きましたので……」

 因みに料金は前払いだが、そこはチェックイン機を通す。

 マリア:「高そうな名前の部屋だけど、師匠より高い部屋に泊まって大丈夫なのか?」
 エレーナ:「いや、実際の料金は私のホテルより少し高いだけで済んでる。けして、大都会の高級ホテルではないから大丈夫だ」

 マリアとエレーナ、2人の時の会話は英語になる。

 鈴木:「それじゃ、俺ができるのはここまでだから」
 エレーナ:「ああ。部屋には私とマリアンナだけで行くぜ。ここまでありがとう」
 稲生:「あとはゆっくりしていてください。僕達はバスで大石寺に向かいます。また明日、市内で合流しましょう」
 マリア:「ああ、分かった」

 稲生と鈴木、マリアとエレーナはホテル内で別れた。

 エレーナ:「よし。それじゃ、私達は部屋に行って荷物置いて来るか」
 マリア:「そうだな」

 2人の魔女はエレベーターで客室上階に上がった。

 マリア:「料金いくらだ?」
 エレーナ:「鈴木の払うところを見ていたが、一人頭1万円も行ってないぜ。先生達よりは安いから大丈夫だ」
 マリア:「日本のホテルは、たまに分からないからなぁ……」
 エレーナ:「カネに関してだけは、取りあえず鈴木という男は信用していいことは分かった。それ以外はキモい」
 マリア:「それは言えてる」

 エレベーターを降りて、廊下を進む。

 マリア:「ん?ここか?」
 エレーナ:「そうだな」

 部屋に入るとカーテンが閉められていた。
 照明を点けてカーテンを開ける。

 エレーナ:「おおっ!富士山が見える!」
 マリア:「後で写真に撮って、ルーシーに送ってあげよう」
 エレーナ:「魔界富士より、こっちのモノホンの方が清々しいぜ」
 マリア:「そりゃそうだろ」

 魔界富士とは、魔界にそびえる巨大な火山のことである。
 正式名称は『スーパーグレート火山』というのだが、この世界に迷い込んでしまった日本人達が『魔界富士』と呼ぶようになった。
 休火山であるが、火山のもたらすエネルギーが王国の光熱を担っている(魔界高速電鉄電気事業本部が地熱発電と水力発電を行っている)。

 マリア:「ベッドも広いし、ソファもある。これでエレーナのホテルより少し高いだけというのが凄いな」
 エレーナ:「但し、温泉は無いし、夕飯も無い。朝飯は下のレストランでやってるみたいだけどな」
 マリア:「ディナーが無い?どうする?勇太達は寺で食べるんだろ?」

 支部総登山における前泊者の食事は支部によって違うが、正証寺の場合は弁当が出る。

 マリア:「私達だけで何とかしろってことだな」
 エレーナ:「しょうがない。後でフロントに店でも紹介してもらうさ」
 マリア:「さすがはホテルスタッフ」
 エレーナ:「私が仕事の時も、お客から『この辺、どこかいい店無い?』とかよく聞かれるもんだ。このホテルも同じようなもんだろ」
 マリア:「なるほど。……てか、パンフレットあった」
 エレーナ:「オマエ、日本語読めねーだろ」
 マリア:「いや、英語版もある」
 エレーナ:「さすがは観光地だぜ」
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2019-10-03 15:43:19 | このブログについて
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 ですが一定数の閲覧者の方々に御覧頂けるようになり、コメント欄開放だけでなく、専用のメールがあればという声をお応えし、この度開設と相成りました。
 まだ試験運用ですので、本格的導入になるかは今後の状況次第です。

 よろしくお願い致します。
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