報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「マルチタイプ新造計画始動?」

2016-12-01 21:28:24 | アンドロイドマスターシリーズ
[11月24日08:00.天候:雪 東京都江東区豊洲 豊洲アルカディアビル18階・敷島エージェンシー]

 敷島:「やっぱりバスも遅延しまくりだったな……」
 シンディ:「まあ、無事に着いたことですし、いいんじゃないですか?」
 敷島:「まあな」

 ピンポーン♪
〔18階です〕

 敷島とシンディは会社の入口がある18階のエレベーターホールに降りた。

 一海:「あ、社長、シンディさん。おはようございます」
 敷島:「おはよう」
 シンディ:「他に誰か出勤してきた?」
 一海:「マネージャーの吉井さんとプロデューサーの井辺さんだけです。今のところは」
 敷島:「吉井君は家が同じ江東区だからいいようなものの、井辺君はよく錦糸町から来れたな」
 一海:「バスが大幅に遅れていることを見越し、自転車で来たそうです」
 敷島:「チャリで来たの!?こんな大雪の中!?」
 井辺:「あ、社長。おはようございます」
 敷島:「井辺君、キミ、こんな雪ん中、自転車って……」
 井辺:「大丈夫です。ちゃんと防災センターに行って駐輪の許可は取っていますので、後でビル側から無断駐輪のクレームが来る心配は……」
 敷島:「いや、そういう問題じゃない!」
 シンディ:(さすがはKR団と張り合っただけのことはあるわ、このプロデューサー……)

 敷島達は社長室に入った。

 シンディ:「やっぱり一部のマネージャーさん達は、出勤が9時過ぎになっちゃうみたいですね」
 敷島:「まあ、しょうがない。この雪じゃな……。皆が皆、吉井君みたいに会社の近くに住んでいたり、井辺君みたいなエクストリームスポーツを平気でこなせる人達ばかりじゃないんだし……無理はさせられんよ。それよりも……」

 敷島は社長室内にある複合機を見て、頭を抱えた。

 敷島:「どうやらあの爺さん、本気らしいぞ」
 シンディ:「……ですね」

 シンディのカメラ(目)には、ファックス用紙が束になって印刷されてる光景が映った。
 敷島が現実逃避し掛かっているので、シンディが代わりにファックスを取る。

 シンディ:「……私にそっくりな設計図が載ってまして、事細かく指示が出ています。……ので、最高顧問のマルチタイプ新造命令は本当のようです」
 敷島:「くそ……。やっぱり、桃太郎ランド並みの値段にしとくんだった!」

 尚、“桃太郎電鉄”シリーズにおける桃太郎ランドの値段は、シリーズによって異なる。
 最新のものだと既に10兆円の値が付いているという。
 敷島の世代的には、まだ200億円くらいだったのだろう。
 実はマルチタイプ1機の値段が50億円というのは、桃太郎ランドが初めて登場した時の値段である。
 それが今や10兆円……orz

 シンディ:「あのー、よろしいのでしょうか?」
 敷島:「あの爺さんのことだから、絶対に必要書類からカネやら全部揃えてるんだろ?こっちの文句が付けようないくらい」
 シンディ:「はい、そのようです」

 その時、敷島の机の電話が鳴った。
 シンディが取る。

 シンディ:「はい?」
 一海:「一海です。四季ホールディングスの敷島孝之亟最高顧問より、社長宛にお電話です」
 シンディ:「……了解。社長、噂をすれば何とやら……みたいですよ?どうします?」
 敷島:「ああ……。今出る」

 敷島はシンディから電話の受話器を受け取った。

 敷島:「……おはようございます」
 孝之亟:「よお。ダメじゃないか。朝から経営者たるもの、シケたツラしていては……」
 敷島:「はあ……すいません。(誰のせいだと思ってんだっ、この!)」
 孝之亟:「ワシはR85世代じゃが、まだまだ元気じゃぞい!……ところで、ファックスは見てくれたかな?」
 敷島:「ええ。とても、力の入った注文書で……」
 孝之亟:「書類だけではアレじゃから、やはり注文者のワシが直接詳しい話をしに行く必要があると思うが、どうかね?」
 敷島:「販売委託はDCJさんにしておりますので、そちらへお願いします。DCJさんの本社は大手町にありますから……」

 奇しくも、敷島が所属していた電機メーカーを吸収した外資系企業である。

 孝之亟:「その前にワシの注文したいロボットの完成品を見に行きたいのじゃが、今から良いかね?」
 敷島:「あ、あの、すいませんが、10時から会議がありますので……」
 孝之亟:「何……だと?ワシを誰だと思っておる?」
 敷島:「……失礼ですが、『最高顧問とは何の権力も持たぬ名誉職。特に肩肘張る必要は無い』と、仰っていたはずですが……?まさか、この期に及んでどこかの河童さんみたいに、『怨嫉謗法はいかん!』とか仰らないでくださいよ?」
 孝之亟:「フン!ワシをあの河童やメタボと一緒にするでない!……これは出しゃばったマネを済まなかった。最高顧問とは名ばかりの名誉職であったな」
 敷島:「御理解が早く、助かります」

 敷島は電話を切った。

 敷島:「ふーっ!あの爺さんにも困ったもんだ」
 シンディ:「社長、このファックス、どうします?」
 敷島:「シュレッダーに掛けて、無かったことにするか?あ?」
 シンディ:「……どうなっても知りませんよ」
 敷島:「そうだ!バージョン4.0が突然乱入してきて、焼却していったことにすればいい!」
 シンディ:「私が知っている限り、バージョン4.0にこのファックスだけきれいに焼却するほどの頭は持ち合わせていないと思います」
 敷島:「くそ……!まあいい。取りあえず、時間稼ぎはできたわけだからな。いっそのこと、10時の会議の後で、お前のオーバーホールを入れてしまおう。さすがに整備中とあれば、諦めるだろう」
 シンディ:「オーバーホールを受けさせてくれるのはありがたいですけど、敷島家のケンカのネタには使わないでくださいね」

[同日09:00.天候:雪 敷島エージェンシー]

 敷島:「おおっ!皆、就業時間前に出勤してくれたか!さすが、日本人は勤勉だ!さっそく朝礼を始めよう。皆にこの感動を伝えたい」

 敷島は社長室を出て事務室に向かおうとした。

 シンディ:「社長、また電話です」
 敷島:「最高顧問の爺さんからだったら、適当に何か言って切っといてくれ」
 シンディ:「いえ、それが今度は四季ホールディングスの敷島峰雄会長からです」
 敷島:「な、何だってー!!」(“MMR マガジンミステリー調査班”風にw)

 敷島は急いで電話の受話器を取った。

 敷島:「も、もしもし!お電話代わりました。敷島エージェンシーの孝夫です!」

 そこで敷島が会長から言われたこととは何か?
 次回へ続く!
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