イリオモテランのポリネター探しの続きです。まずはこの画像を見て下さい。黄色っぽい2つの丸いのが見えますか?これが花粉の塊です。誘引物質によって集まって来た生き物が蜜などを目当てに花の奥に入って行くと、この花粉塊が体について別のランに運んで貰える、と言う仕組みです。簡単な仕組みですがポリネターの大きさなどが丁度良くないと上手く花粉塊が付かず蜜だけ持って行かれるなどの問題が生じるので、花達はあらゆる仕組み施して自分にとって丁度良い花粉の運び屋さんにだけ運送代を払えるように進化?しているのです。
代表的な誘引物質は蜜の甘い匂いと、性的フェロモン、肉が腐ったような匂いでしょうか。運び屋さんは昆虫、鳥、コウモリ、風、雨、珍しい所ではサルやトカゲなんかも運び屋さんになっているようです。
ある植物では始めは殆ど蜜が出ていないんですが、奥をペロペロ舐めると徐々に蜜が出て来ると言う仕組みの物があります。これは花粉がしっかりとポリネターの体に付くように長くいて貰う為の戦略だと考えられます。だけどこのポリネター、どうやって舐めると蜜が出て来ると言う事を知ったんでしょう?偶然? 疑問に思ったNさんは知り合いの昆虫学者に相談して見ました。すると「そのポリネター(昆虫)の交尾の仕方を調べて見たら?」。と言う事でオスメス揃えて観察していると、「この昆虫が交尾する時、メスの背中をペロペロ舐める事によってメスがその気になり交尾に至る」と言う事が分かったんです! つまり蜜(ご褒美、運送代)が目当てでやって来たと思っていたら性的フェロモンによってもやって来た可能性が出て来た訳です。何年も掛かってようやく蜜によってやって来ると言う研究結果が出たと思ったらまた新たな課題が(>_<)。
その後もかなりの時間がかかったんですが、結果的にこの昆虫の性的フェロモンの匂いが何か?と言う事の判明しました。この事からこの花は甘い蜜と性的フェロモンと言う二刀流でポリネターを誘引していた、と言う事が分かったんです。この他にも面白い話は沢山聞けたんですが、キリが無いので今回はこの辺で。
このような実験・調査はただ植物のポリネターを調べて終わり、じゃないんですよ。そのポリネターが誘引されている物質は何なのか?と言う所まで突き止め、例えば野菜や果物の害虫を誘引し駆除したり、逆に忌避成分を突き止めて寄せ付けない、と言うふうに役立てているんです。特にサトウキビの害虫駆除研究では「サトウキビを加害する土壌害虫の生態とその防除法」など、その分野での第一人者がN博士なんです。
#ポリネーター #サトウキビ #性フェロモン #花粉塊
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