コブラン(マツバラン網ハナヤスリ科、絶滅危惧I類)、ランと付きますがマツバランなんかと同じシダの仲間です。日本では屋久島、種子島、琉球列島と、小笠原の父島、母島にのみ生息すると言われます。これら島々に共通するのは自然豊かな山や沢があり、島ならではの特異な動植物が多く、同時に「今守らなければ取り返しのつかない事になるギリギリの状態にある島々」と言う事です。
画像を見て「ん、何だこれ、ただのオオタニワタリじゃないか」と思った方、オオタニワタリの葉の間、画像の真ん中を見て下さい。そこにオオタニワタリの葉より細く束になって垂れているのがコブランです。平縮れ麺見たいな葉と、今回の画像では写っていないと思いますが栄養葉の途中から胞子葉がニョキっと出るのが特徴です。
コブランが生きて行くには普通の植物と同じで主に葉の光合成から作られる栄養と、根の部分からは落ち葉とかが菌によって分解発酵された時に出来る養分で生きています。だったら落ち葉が溜まったフカフカの地面に良く育つのか?と思ったらそうではなく、沖縄とかだとオオタニワタリの中心に溜まった落ち葉等の腐食層を利用して生きています。オオタニワタリは他の木の幹に着いている事が多く、場所と落ち葉、葉や幹に付いている菌類なども頂いてるとは思います(もしかしたらオイラが知らないだけで、他にも何か頂いてるかも知れませんし、逆に何かあげているかも知れません)。
オオタニワタリの葉の中心を見ると、落ち葉が沢山溜まっています。これが雨水と菌類等で分解発酵され栄養となります。ですから宿主からは場所は借りていますが栄養は頂いていません。ちなみにガジュマルなど絞め殺しの木と呼ばれる仲間も栄養は奪っていませんよ。
折れたヒカゲヘゴの断面です。中心部はもう無くなっています。この糸が絡まったような部分が細根です。水分もある程度溜めるし、菌類もいるでしょう。この部分を板状にしたのがヘゴ板と言う奴です。最近では生きたヘゴを使うのはあんまり良くないだろう、と言う事で人工のヘゴ板が販売されていますね。
小笠原ではヘゴの細根の部分に根付いて生息しているようですが、あんまり栄養があるような場所に見えないですよね。でも同じマツバラン網のマツバラン(マツバラン科、絶滅危惧種)がヘゴに着いて育っている姿は石垣島でも良く見られます。と言うかウチの庭の鉢植えでも見られますが(笑)。
ヘゴではありませんが、一本の木にオオタニワタリが幾つか着生していました。ハブカズラ、地衣類、コケ等他にも色々付いているでしょう。オオタニワタリの腐食層には他のシダも生えています。温帯地域以上に一本の木に色んな動植物が共生しているのが、亜熱帯・熱帯地域の特徴です。ジャングル感満載でしょ!
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