日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

21世紀COEプログラムのことで

2007-08-14 00:16:57 | 学問・教育・研究
8月9日のエントリー、21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」傍目八目、で、このプログラムの中核をなす「フィールド・ステーションを活用した臨地教育研究体制の推進」に私は異を唱えた。東南アジア・アフリカ諸国に、臨地教育の拠点として『現地事務所』を設けるやりかたに『押しつけがましさ』を感じたからである。そして《何事もすべて相手国の要請があって、それに応えるというのが基本姿勢でなければならない》と私の考えを述べた。しかしその一文を書いているうちに、なにか真面目に言挙げしている自分にちょっと気恥ずかしさを覚えてほどほどに切り上げてしまった。

「ちょっと気恥ずかしさを覚えて」というのは、上記のエントリーの最後の方の「浮世風呂の外でCOEプログラムは『虚構』とかなんとか、段平を大上段に振りかぶっているようなブロガー(私?)が野暮に見えてくるところが面白い」の部分を受けての言い換えである。京都大学がCOEプログラムの『虚構』をとっくに承知でやっているのに、何を真面目な顔をして、との天の声が聞こえて来たように思ったのである。そこで段平を収めることにした。

ところがこの二三日、「21世紀COEプログラム世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」のGoogle検索で800件ほど出て来るなかで、私のこのエントリーが公のサイトに続いて第5位に顔を出しているのである(8月13日現在)。これにはちょっと驚いた。さらに次のようなことがあった。

芥川賞受賞作品の載っている文藝春秋9月号に、江上剛氏が「日本大好きインドネシアの凋落 アジアでもっとも親日的な資源大国が抱える弱点」を寄稿していた。インドネシアは石油、石炭、ガス、ゴム、パーム油、コーヒーなど地下資源から食料品にいたるまで採れないものはない資源大国で、最近は中国がODAを使って積極的な資源外交を展開しているというのだ。そしてこのように述べられている。

《日本も同じだ。資源の安定供給面からこの国を無視するわけにはいかない。
 しかしインドネシア=資源では戦前の軍部の発想とまったく同じではなかろうか。これでは再びインドネシアを侵略するようなものだ。一方的に収奪するのではなく、日本もインドネシアに提供するものがなければ、安定的な関係は続かない。》(強調は私)

私も特に強調の部分はまったく同感である。江上氏はインドネシアに日本が提供できるものとして、日本が誇るもの作りの技術しかない、と主張しておられる。私はそれを少し拡大して、インドネシアの人たちが日本から何か学び取りたいと考えているのなら、実現化の手段の一つとして日本への留学制度を拡充を図るべきだと思った。日本から押しかけ的にフィールド・ステーション(FS)などを設営する代わりに、である。ところが・・・

今日(8月13日)の日経夕刊「アジア留学生事情」に《「アジアの優秀な頭脳を呼び込め」―。日本の大学が中国などアジア地域から優秀な留学生を獲得しようと躍起になっている》との記事が出ていた。《世界的に名声のある京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)と京都大学東南アジア研究所(CSEAS)であるなら、該当諸国から多数の留学生が押し寄せて来るであろう》なんて8月9日のエントリーに記したが、私のこの認識はもはや時代遅れなのかも知れない。とするとFSは留学生誘致の現地事務所として活用できるかも、と思ったりもする。