飛騨の自然と巨木に親しむブログ

飛騨をうろうろぐるぐる歩き、飛騨高山の自然と巨木をご紹介します。あと、宮笠、登山、トレランのネタなども登場します。

「環境教育ミーティング中部2008」に参加してきました。

2009-03-09 03:25:53 | 環境教育
 雪解けがどんどん進んで、家の周りの雪もかなり溶けてきました。庭には、スズメノカタビラなどの雑草たちが、そろそろと葉を伸ばし始めています。スイセンの葉っぱも、気がつけば10cmほどに伸びてきました。

 7日・8日の2日間、白川村で開催された「環境教育ミーティング中部2008」に参加してきました。いろいろな人たちと出会い、たくさんの元気をもらってきました。近年関心が高まってきている「生物多様性」について、私の仕事での取り組みを紹介する機会も頂き、うれしい限りでした。
 内容などについて、またご紹介していきますのでしばしお待ちを。

『みんなで防ごうサル被害』

2009-03-06 00:15:28 | できごと
 今日は、まあまあ寒い一日でした。今は冷たい雨が降っているようです。

 今日は、高山市が主催する鳥獣被害対策講演会『みんなで防ごうサル被害』に参加して来ました。
 これは去る2月17日に行なわれた『みんなで防ごうイノシシ被害』の第2弾で、サル被害が多い高山市朝日町で開催されました。

 講師は、近畿中国四国農業研究センターの井上雅央(いのうえまさてる)氏でした(ちょっと親近感のわく名前ですねー)



 最初から、「あんまり堅くならずにやりましょう。タバコやトイレなど我慢せずに行っていいですよ。」という感じの雰囲気で始まりました。
前回の江口氏のときも面白い話でしたが、今回の井上氏は江口氏の上司に当たる方とのこともあってか、関西弁でおもしろおかしく話を展開されました。

 いくつか引用に残ったフレーズを記すと・・・
 「こういう講演があると、最初の来賓挨拶とかで、サルやイノシシの被害の原因として「地球温暖化」「スギヒノキの植林」「高齢化過疎化」「ハンターの高齢化」を原因としてあげることがありますが、みんなうそです。ちょっと素直に考えて見てください。地球温暖化が原因というけど、日本でサル被害が初めに問題化したのは、北国の青森県下北半島です。「スギヒノキの植林」「過疎化による農地荒廃」については、それによってサルのえさが減ってサルが減るはずでしょう?「ハンターの高齢化」にいたっては、高齢化が進んでハンターの数は減っているのにサルの捕獲数は伸びていますよ。」

 「被害が出る理由を机上で学者が考えていろいろいうけど、本当の理由は「集落で、意識しないまま餌付け・人馴れをしたからサルが来るようになった。」だけ。被害をなくしたいなら、頭のスイッチを切り替えて、「餌付け、人馴れ」を止めるようにすればいいだけ。

 一時間半余の講演もあっという間で、面白かったです。こういう講演会が、もっと何回か開かれ、みんなの考え方が変わっていけばいいのでしょうね。

宮笠の製作技術 その3

2009-03-05 00:03:35 | 宮笠の製作
 3日午後からの雪は、4日朝方まで降りましたが、地温が上がっているためか、降っては溶け降っては溶けして、結局ほとんど積もりませんでした。


 さて、宮笠製作工程の3回目。編み目は下の写真のように、3枚飛ばしで網代に編んでいくのが基本です。3枚飛ばしを、1,3,5と変えることで、菱形の模様が現れます。


 さて、編み進んでいって、十分な大きさになったら、「ほん」と呼ばれる木の定規でコンパスのように円を描きます。「ほん」は、笠の寸法によっていろいろな長さのものがありますが、長年使われているため、黒光りして歴史を感じさせます。



 描いた円に、「ふち竹」を編みつけるのですが、竹は一之宮町周辺では成長が悪いので、少し南の下呂市(旧益田郡萩原町)の竹を使います。削った竹を輪にするのにも笠ヒデを使うんです!
 

 ふちの竹を固定したら、いよいよ余分なところを切り落とします。せっかく編んだのに、なんかもったいないような気がしてしまいます・・・。


 余分なところを切り落とすと、かなり笠っぽくなってきました。 (つづく)

宮笠製作技術 その2

2009-03-02 23:11:28 | 宮笠の製作
 今日は、夕べの雪がうっすら積もり、気温も低めで、冬に逆戻りの一日でした。


 宮笠製作工程撮影2日目。仕事を休んで、撮影に同行しました。今日は、セミ笠と呼ばれる飾りのついた笠の製作を撮影しました。

 ご紹介するのは、セミ笠ではなく、紅白と呼ばれる笠の写真です。




 まず、「イカダ」と呼ばれる編み方で、作業台に笠ヒデを並べて、縦横に組んでいきます。立の白っぽい笠ヒデはヒノキ、横の赤茶色のがイチイの笠ヒデです。編むときの基本は、3枚飛ばし(3枚くぐって3枚飛んでを繰り返す)で編むことです。編み目の模様のところは、1枚、3枚、5枚の順で飛ばす編み目の数を変えていきます。問坂さんは指先に目がついているかのように、目にも留まらぬ速さで編んでいかれます。




 次に、「辻つくり」。平面だったイカダのヒデを立体になるように編んでいきます。笠ヒデを引いていくと、見る見る立体になっていくのが不思議な感じです。




 これで辻が完成!ヒノキとイチイの材の色の違いで、もう模様ができています。編んだ笠ヒデに隙間があかないように、頻繁に締めながら編んでいきます。そしてさらに、「中作り」「すそ作り」でヒデを足して大きく編んでいきます。 (つづく)

宮笠のバリエーション

2009-03-01 03:06:54 | 宮笠の製作
 今日は、気温は低めでしたが、気持ちよく晴れた一日でした。

 今日は、町内で古民具を収集・動態保存されているAさんをお訪ねし、さまざまな宮笠を見せていただき、玄関先で撮影させていただきました。



 左から順に紹介すると、左端は現存する宮笠の中でも最古級のもので、大正か昭和初期のものとのことです。材料はイチイ。幅2~3mmの細いヒデで、編み目のひし形が渦巻状になっています。昔の作者が、腕試しのような感じで作ったものではないかとのことでした。

 その横の一番大きいものは直径三尺(約90cm!)あり、迫力があります。材料はヒノキのようで、中心のツジにはセミ笠の飾りがありますが、今のものよりちょっと簡略化されたものです(これが原型かも?)。母屋から蔵へ行くときなど、ちょっとした用事に使ったものではないかとのことでした。

 その横は、30年ほど前のもので、Aさんが村内の作者に依頼して作ってもらったものとのことでした。材料はイチイ。これも細いヒデで編んであります。

 次いで、イチイのセミ笠。これも細いヒデで編んであります。今のものよりちょっと大きめのようです。

 最後はイチイ笠。編み方は現在のものと基本的には同じようですが、細いヒデを使っているため、菱目の数が多くなっています(写真ではそこまではわかりませんが・・・)。

 宮笠は、もともと生活道具で、使って破れたりすれば捨てられる(きっと焚き付けに使うなど、無駄に捨てることはなかったと思いますが)運命のものなので、古い宮笠で残っているものは、装飾用など限られた用途のものだけになってしまいがちです。それだけに、宮笠の歴史をたどる試みは、謎解きのようで面白さがあるといえるかもしれませんね。

 あさっても撮影予定で、セミ笠の製作工程とヒデ工場を撮影する予定です。ヒデ工場は、味のある渋い機械や道具が並んでいます。お楽しみに!