飛騨の自然と巨木に親しむブログ

飛騨をうろうろぐるぐる歩き、飛騨高山の自然と巨木をご紹介します。あと、宮笠、登山、トレランのネタなども登場します。

遭難者の捜索のお手伝いに行ってきました。

2015-10-15 23:35:13 | 登山
本日はお休みをとり、遭難した釣り人の救助のお手伝いをしてきました。

御嶽のふもとの谷で、もうだいぶたっていますが、ご家族の要望で実施されてものです。

結果は・・・見つからず。ご家族のかたの心労を思うと、いたたまれません。

帰りに、御嶽、乗鞍が見え、心が洗われるようでした。





今後も少しでも、遭難救助・対策のお手伝いができたら、と思います。

奥穂高岳南陵~前穂に行ってきました。 2015.7.11

2015-07-26 23:00:20 | 登山
 2015年7月11日、いつかは行ってみたい!と思っていた、奥穂高岳南陵に行ってきました。

 このコースは、2年くらい前の雑誌『岳人』の特集で紹介されていたバリエーションルートで、北アルプスを世に知らしめたウォルター・ウェストンと上条嘉門次が初めて登った事や、途中にトリコニー(もともとは、登山靴の底に取り付けたすべり止めの鋲のこと)と呼ばれる3つの岩峰があることなどを見て、行ってみたい気持ちがふくらんでいたのです。その後山岳会の先輩や仲間が行ったことを聞き、自分も、と思っていたところでした。
 梅雨の合間で仕事の都合もなんとかなりそうな一日、急きょ思い立って行くことにした次第です。こんなことは、飛騨に住んでいないとなかなかできませんね。

 ウェストンらも日帰りしたということで、私も一番のバスで上高地に入り、日帰りを目指すことに(一応防寒着とツェルトは持ちましたが)。

 朝、5:30、平湯バスターミナルから上高地行きバスに乗ります。ちょっと寝不足が気になりますが、気分が高揚してバスの中で寝ることができませんでした。
 上高地バスターミナルで登山届を出し、6:00出発。




 ちょっと朝もやのかかった上高地ですが、すでに多くの方が歩いていました。河童橋を渡り、湿原を右に見ながら木道を進み、岳沢方面の登山道に入ります。
 このあたりになると人は少なくなり、朝のひんやりした空気の中、ぼちぼちと登っていきます。
 途中、左に西穂~奥穂の稜線が見えるところがあり、そろそろまたあのルートも行きたいなーなどと思っていました。
 7:30。ほどほどに疲れたころ、岳沢ヒュッテが見えてきました。その上方にはトリコニーと奥穂高(山頂は見えていないかも?)。




 有料トイレにお金を入れ、小休止ののちいよいよ南陵に向かいます。
 まずはトリコニーをめざし、雪渓を登ります。雪渓を登るのはいいのですが、結構表面が氷化していてキックステップがなかなか効きません。もうちょっとザクザクしてると思い、アイゼンもピッケルも持って来ませんでした。ダケカンバの枝をストック代わりに、スプーンカットの窪みを拾って丁寧に歩きました。




 やがて陽射しが谷にも届くようになりました。滝沢大滝らしい岩盤が右に見えてきます。水は流れていませんが、岩肌に迫力があります。
 ここからは、もっぱら山仲間やネットから仕入れた情報を頭に置きながら、尾根の間のルンゼ(谷)を目指して進みます。雪渓と岩場の隙間が広く難儀をしたネット記事が多く出ていましたが、今回はほとんど隙間がなく、岩場に容易に取り付くことができました。
 ストック代わりのダケカンバとはここでお別れです。 




 取り付いたところには、雪解け直後ということで不安定な浮き石がけっこうあります。一歩一歩、一手一手落とさないように慎重に進みます。
 最初の岩場ですが、ホールドはまあまああり、何とか抜けます。




 その後も、ずっとこのルンゼを詰めていきます。岩場と草地が交互にあらわれ、岩や草をつかんで登ります。
 このあたりから、ぶよの大群がまとわりついてきました。沢登りでもないのに、こんな大群は初めてで、ちょっと立ち止まるとまとわりついてきます。それどころか、口で息を吸うと入ってくるほどとなり、多少息苦しくなりますがタオルで顔を覆って防ぐことに。それでも目のあたりだけは防げないので、休憩のときは顔を草むらやハイマツに突っ込んで(さすがにそこまでは飛んでこれない)休んでいました。
 やがてこのコースでは難所(直登するとですが)の一つとされるスラブ帯に。ここは右寄りから入って正面を左に斜上しようかな、と思って進みましたが、斜上するところで行き詰まり、結局左端の岩とハイマツの境目を登りました。




 ハイマツの藪漕ぎは体力を消耗します。枝が下向きに伸びているので、それを掴みつつかき分けつつ行きます。根元をよく観察すると、ふみあと(?けものみち?)らしき痕跡があるので、そこを探り当てながら進むと多少効率が良いようでした。この辺りは登山でも山仕事でも、コツは一緒ですね。




 ハイマツ帯を抜けると、草地の先にトリコニー一峰が見えてきました。とがった岩が見えるので、とリあえずそれを目指してぐいぐい登ります。




 なるべくとがったあたりをめざし、一峰に何とか到着。10:00。
 下を見ると、上高地からこちらが一望できます。風がでてきて、ハイマツの中でもがいてかいた汗を吹き飛ばしてくれます。ついでにぶよも吹き飛ばしてくれ、この先は悩まされずに済みました。




 二峰に向けて、慎重に、じっくりと進みます。
 振り返ると、一峰があまり尖がった感じなく見えていました。
 



 そこから前方に目をやると、ちょっとした岩の砦のような二峰が見えます。




 二峰は右から巻く感じであっさり登頂。左にはトリコニー三峰が見えますが、稜線からちょっと離れているためパスして、奥穂高岳山頂を目指します。
 しばらくして、トリコニー一~三峰を振り返ります。




 その先、岩場と不安定なザレが続きますが、何とか順調に進みます。一か所、忠実に稜線を行くと切れ落ちたところがありましたが、慎重にクライムダウンして最後2mはジャンプして通過。補助ロープは結局使わずに済みました。
 11:23、前穂から奥穂に向かう一般登山者の姿が近くなったと思ったら、南陵の頭に到着。
 奥穂はもう目の前です。




 11:35、奥穂高岳山頂に到着。数名の登山者がいるだけでしたが、その後続々と奥穂山荘方面から団体さんが登ってくるようでした。
 奥穂は、去年登山靴を新調し馴らしに白出から往復して以来ですが、やはり眺めは最高でした。

 西から北方の眺め。(笠ヶ岳、槍ヶ岳)



 東方の眺め。(前穂)



 南方の眺め。(ジャンダルム、焼岳)




 帰りは、吊尾根経由重太郎新道を通ります。思えばこんな岩場につけた道、鎖やはしごでサポートされているとはいえ、奥穂南陵とそんなに変わらない厳しさですよね…。下りでは、重太郎新道から登ってくる多くの登山者とすれ違いました。




 13:11。10年ぶりに前穂の山頂も一応踏み、記念写真も撮りました。今度は北尾根からここに来れるかな・・・。




 下りは、ちょっと水分・栄養不足(荷物を絞ったので、特に水分がギリギリでした)になりながら、岳沢ヒュッテに着けば!と、疲れが出始めた足で下ります。ザレ場が階段になっていたので、味気ない思いもありつつ、ありがたかったです。
 下りながら、南陵のルートを目で追って反芻しながら焼き付けました。
 


 
 岳沢ヒュッテで、水分、糖分、炭酸を注入。生き返りました。




 帰りのバスの時間を16時に予定していましたが、下りの足が元気なく、間に合うか?という感じに。まあ、最終までには余裕があるので、ぼちぼち行こう、と下りました。
 最終的には、16時3分過ぎにバスターミナルに着いたのですが、ほぼ満席で出発に手間取っていたため滑り込みで乗車でき、平湯まで戻れました。

 ウェストンと嘉門次一行は、荒天の中、上高地から奥穂南陵を10時間40分で日帰りしたとのことです。天気が良く、途中の道も整備されていた今回の山行の約10時間、やはり昔の方、特にガイド役の嘉門次さんはすごいなぁと思いました。
 今も昔も、山仕事で甲斐性のある方はすごいものです。
 そんな人を目指しつつ、次は前穂北尾根かなー。


冬山登山の足慣らしに行ってきましたー西穂・独標

2015-01-13 00:47:40 | 登山
 今年初投稿です。今年もよろしくお願いします。

 一昨年あたりから、膝やら肩やらちょっとした故障が続き、治ったころにまた山に行き悪化、という悪循環が・・・。

 そんなこんなで、最近は山やランニングを抑えてきましたが、体がなまってしまわないように、ということで、西穂高岳の手前にある独標に足慣らし兼雪山登山の練習に行ってきました。

 折しも雪が降り、玄関のあたりで20㎝程度積もっていました。これは道中苦労するかな、と思ったら案の定、新穂高に向かう国道で圧雪・ザクザクの雪があり、2WDのエッセではちょっと厳しいか?という場面もありました。

 何とか新穂高にたどり着きましたが、鍋平駅に上がる坂道では途中でやはりスタックし、新穂高口に回らざるを得ませんでした。

 そんなこんなで、予定より1時間遅れの10:15の便で西穂高口に到着。2mほどの雪に覆われていますが、園地の歩道は一応除雪してあります。吹き溜まりがあるので、一応かんじきを装着して出発。(実際その先は、踏み跡がしっかりしており不要でした・・・)



 園地のはずれにある小屋、ここからは登山者の領域です。去年(だったかな?)から冬季この先に行く登山者には、登山届の提出が義務付けられました。屋根には1mを超える積雪です。



 風はありませんが、時折雪がちらついています。視界はあまりよくありませんでしたが、途中で今日行く独標などの山々が見えるときもありました。



 久しぶりの冬靴ということで、足が上がらず、1時間ちょっとかかって西穂山荘に11:40到着。コーヒーと行動食を手早くとって、アイゼンを装着。いよいよ稜線歩きが始まります。



 稜線に出ると、一気に風が強くなります。雪は飛ばされ、カリカリの氷雪の斜面を、アイゼンを効かせながら、一歩一歩登っていきました。



 思うように足が動かず、喘ぎ喘ぎ登っていきます。ひざは何とかもってくれています。ふくらはぎがつりそうになりましたが、小休止でつらずに済みました。

 これまでこのコースで、風雪が強くて、サングラスではつらかったため、登山用のゴーグルを新調して臨みました。はじめのうちは曇りもなくよかったのですが、呼吸が荒くなると次第に曇りが出て凍り付き視界が悪くなりました。結論、使えない!知人から聞いた、ファン付きのゴーグルじゃないとだめなのだろうか…

 西穂山荘から先では誰一人見かけず、黙々と一人で登っていきます。視界が悪く、ルート選択に迷うところもありましたが、踏み跡などを探してたどります。視界が悪いと、登りはまだいいのですが、帰れなくなるかも・・・とちょっと心配しながらの登りでした。

 やがて前方に、見慣れた独標の急斜面が!刺すような風雪は相変わらずですが、一瞬日が射したりしてちょっとうれしい独標の登頂でした。13:00.



 頂上には1分くらいしかいませんでした。早く風のないところに行きたい、の一心で、下ります。
 視界の悪いところもありましたが、やはり踏み跡を探してたどり、何とかコースを外さず下れました。

 14:25、ロープウェイ駅に到着。ぺットボトルの水が半分凍っていました。





 発車までに時間があったので、展望台に行ってみましたが、視界なし。ただ、観光客向けに記念写真のサービスがあったので撮影していただきました。マイナス15度だったとのこと。



 今回は、いろいろ準備不足や雪道などバタバタしましたが、足慣らしの目的は十分果たせました。お風呂につかってひざのストレッチもやったので、痛みも出ていません。次はどこへ行こうorどこを走ろうかなー

北鎌尾根~槍ヶ岳、行ってきました。ー新穂高から1泊2日(その2)ー

2014-10-26 23:53:41 | 登山
(その1からの続き。→その1はこちら

 明けて12日。4時起床。10時間ほど眠ったおかげか、疲労はそれほど残っていない感じです(それほどはないけど、残ってはいるということで…)。外は静かで、薄いツェルト越しに月が明るく中を照らしてくれていました。

 お湯を沸かし、コーヒーとラーメンの簡単な朝食をとっていると、外で人の声が。他のパーティも動き出しているようです。

 5:00、ちょっとだけ空が白み始めたところ、ヘッドライトをつけて出発。北鎌沢を遡上します。

 始めのうちは水がなく、積み重なった岩を乗り越え乗り越え登っていきます。やがて水が現れ、まあまあの水量になってきました。

 30分ほど登ると、左股と右股の分岐に到着。このころには周りもある程度明るくなり、上部の目指すべきコルが見えていました。
 右俣は、全然水がなく、暗闇やガスっているときには見落としてしまうかもしれないな、と思いました。(実際、分岐を見落として左股に入り、遭難するケースも多いとか)ハイドレーションに水(後でよく見たら小さな水生昆虫が泳いでいた…)を補給し、右股へ出発。


(分岐。ちょっとわかりにくかったです。)

 しばらく登ると、5,6人のパーティに追いつきました。ガイドさんとお客さん、という感じの一行でした。

 さらに登っていくと、岩だらけの谷から、草付きの渓になってきます。このあたりでふと気づくと、左に並行して谷がありました。もしかして、そっちがルート?と、藪と突っ切って念のため確認に行きました。でも、たぶん元のほうが踏み跡がはっきりしていると判断し、元に戻って登り再開。
 やがて進行方向のコルに、V字樹形のダケカンバが見えてきました。どなたかのブログで、これを目印にするといい、と書いてあったので、目指して登っていきました。
 最後に二手に分かれていたところも、ダケカンバを目指し左に。

(実は、最後は右だったかも・・・)

 7:00、コル到着。でも、事前に調べていたコルの雰囲気と違い、ずいぶん狭い。最後の分岐で右に行くと、広いころだったのかもしれません。まあ、気にせず休憩し、先に進みます。なんといっても、これからが北鎌尾根!ですから。


 バリエーションルートとはいえ、人気の北鎌尾根。踏み跡はまあまあはっきりしています。多少迷う場面はありましたが、何とかなりました。
 たぶん、「天狗の腰掛」とか呼ばれるところをふくめ、いくつかの小ピークをすぎると、やがて「独標」が見えてきました。
 今回の山行で気がかりなことが二つあり、一つが独標のトラバース。どこで上を目指すかが判断できるかどうか、ちょっと心配でした。さて、自分の判断を試す時が迫ってきました。


 8:30、独標の基部に到着。有名なギャップがありました。足元がすっぱり切れ落ち、スリル満点です。岩にフィックスロープが張ってあり、普段なら使わずに行きたい、といいたいところでしたが、足元がザレていてやばそうだったので、フィックスにスリングを掛けてそれを持ちながら渡りました。これ以上ザレていったら、渡るのが難しくなりそうでした。 


 そこを越えた先は、しっかりした踏み跡があり、独標の基部をトラバースしながら進みます。とはいえ、いつ落石が起きてもおかしくない場所ですので、足早に進みます。

 いくつか、独標に登れそうなルンゼがありましたが、結構急でやばそうでした。やがて、前方に小リッジが見えてきました。ここからなら登れそうかもしれません。と、その時、これも有名な飛び出した岩のところがありました。したをくぐるように通過します。
 その先に、さっき目星をつけたリッジがあり、いけそうだ、と判断し独標のピークを目指しました。

 ところどころに踏み跡があり、ちょっとほっとしながら登ります。浮石があることを除けば、私のクライミング技術でもなんとか行けるところでした。逆に、大きな岩でもぐらぐらするものがあり、手足の置き所を慎重に吟味しながら、一歩一歩進みました。

 8:55、独標のピークに到着。トラバースしすぎるとピークも通り過ぎると聞いていたので心配でしたが、ピークに立つことができました。そこからは、これから目指す槍ヶ岳が、ドーンと見えていました。


 そこからは、何度も登ったり下ったりを繰り返します。なるべく巻き道は使わないようにして、直登・直下降を心がけました。やばそうなところは巻きましたが・・・
 途中、男女3人組の山慣れたパーティーに追いつき、また追い越されました。巻き道を行く3人を、稜線をたどって追い越すとき、巻き道で落石の音がしてちょっと心配しましたが、無事だったようでした。

 大好きな岩稜ですが、そろそろ飽きて(?)来たころ、前方に北鎌平と思われる平地が見えてきました。このあたりからの槍ヶ岳は、岩のカタマリ感がすごく、迫力を感じました。


 ここからは、槍ヶ岳への最後の登りが始まります。岩が折り重なる尾根も傾斜が増し、足元では時々岩どうしがぶつかる「ゴッ」という音が響きます。
 今回で二つ目に気がかりだったことは、クライミングに行き詰った時、どう下るか、でした。それ用に補助ロープも用意しましたが、何とかお世話にならずに、ところどころひやひやするクライミングで登っていき、事前に情報収集したルンゼや、木の杭(だいぶ左手に見えていましたが…)などを通過しました。

 11:30、山頂到着。先行した3人パーティが記念写真を撮っている祠のわきに出ました。
 念願の北鎌尾根、ようやく(途中からですが)登ることができました。
 山頂からの景色は、快晴だった9月23日の時とほぼ同じですが、季節が進み紅葉も終わりかけているようでした。


 12:00、槍ヶ岳山荘。御嶽の噴煙はまだ出続けています。


 槍ヶ岳山荘からは、飛騨沢を下ります。
 ガレ場についた道を、ガンガン下っていましたが、やがて足の痛みが・・・まだ相性があっていないのか、右の小指と左のくるぶしが痛みます。ひもを締めなおしたり、緩めたりしながら、痛くないように下りました。紅葉がきれいでしたが、痛みであまり鑑賞するゆとりがなくなっていました・・・。

 15:00、滝谷通過。奥の滝には、まだ雪渓が残っていました。


 17:05、夕暮れの新穂高に到着。でも、まだこれから駐車場までの登りが…。薄暮時は特にクマが出やすいので、ひやひやしながら鈴を振り回して、疲れた体を鍋平園地無料駐車場まで引き上げ(標高差150mほどあった…)ました。
 車にたどり着いたのはすっかり暗くなった6時。あー疲れたー。よく頑張った、自分。

 長年の課題であった北鎌尾根を登り、次は奥穂南陵、前穂北尾根あたりを狙いたいところです。今年はもう雪が降るので、来年ですね。(冬は冬山の楽しみもあるし。)

北鎌尾根~槍ヶ岳、行ってきました。ー新穂高から1泊2日(その1)ー

2014-10-19 23:52:33 | 登山
 子供時代に山を走り回って遊んでいたことを除き、そもそも「山登り」を始めたきっかけは、花・植物の写真を撮ることでした。
 その後、山に登ること自体が目的(冬山など厳しさを求める登山)となったり、子供時代に戻ったように山を走ることが目的(トレランなど)となったり、仲間と飲むために登ったりと、私にとって山に求めるものは様々です。
 
 今回挑戦した北鎌尾根は、山に登ることを目的とした登山のうち、「こんなところを行けるようになりたいなぁ」とあこがれていたルートの一つで、地元の山岳会に入った理由も、そのための技術を磨きたいと思ったことでした。山岳会の先輩や仲間の話を聞くうちに、あこがれの部分はそれほどなくなってきてしまいましたが、自分の登山の技術などを確かめるのに適したルートとして、ようやく挑戦する日を迎えました。

 行程は、10月11日に新穂高温泉から入山し、槍平、槍ヶ岳山荘を経由し東鎌尾根に入り、水俣乗越から登山道を外れて天上沢を下り一泊。
 12日に北鎌沢を遡上して北鎌尾根に取り付き、槍ヶ岳を越えて新穂高温泉に下る、というものです。
 天気のいい2日間を確保することが夏以降なかなかできなくて、今になってしまいました。しかも、13日には接近する台風の影響で雨が降り始めるとのことなので、なんとしてでも12日には下山したいところでした。

 11日、3連休の初日ということで新穂高の無料駐車場も混みそうな感じでしたが、ちょっと寝坊して6時ごろ到着。すると案の定、つい今しがた満車になったとのこと。日帰りなら有料駐車場も、と思いましたが2日間ということで、係員さんに無料のところを聞くと、車で10分くらいのところにある鍋平園地無料駐車場を紹介されました。そこに置くと、新穂高バスターミナルから行きで30分、帰りは40分くらい余分に歩かなければなりませんが、寝坊したむくいですね…。
 駐車場から30分ほど下って、新穂高バスターミナルにおよそ7時。登山届を提出し出発しました。快晴の空のもと、笠ヶ岳が光っていました。


 9時、滝谷出合。夏の豪雨で渡渉しようとした3名の方がなくなったところです。その日、職場の仲間と新穂高から雨と沢の増水に悩まされて双六小屋に向かい、小屋でその遭難の話を聞いたのですが、今日の滝谷は水量も少なク、穏やかな流れでした。


 槍平を過ぎ、登山道の傾斜が増していき、ダケカンバ林のジグザグ道を登ると視界が開けます。東鎌尾根・千丈乗越への道への分岐に到着しました。11:17。


 12時45分、槍ヶ岳山荘に到着。先日の槍ヶ岳~双六小屋周遊の時と比べ、荷物が多い割にややいいペースです。1時まで休憩。ここから一応ヘルメットを着用しました。他の登山者の方にもちらほらかぶった方がいました。


 実は、東鎌尾根も今回初めて。侮っていましたが、結構な岩場やはしご場があり、思った以上に苦戦しました。


 やがて水俣乗越到着。最近遭難した方があったとかで、関係者の方らしき10名ほどの団体さんが滞在していました。


 水俣乗越から北を見ると、天上沢。ここからは登山道を離れ、自己責任・自己判断の世界です。気を引き締めて、ざれざれの谷を下っていきました。14:30。


 結構厳しい下りでしたが、遅くまで残っていた雪渓のためか、まだウサギギクが一角だけ咲いていました。ちょっと心が和みました。


 だいぶ下ると、大きな丸岩がかさなる枯れ沢になります。ふと左を見上げると。槍ヶ岳のシルエットが。斜光が射す中の黒々とした槍ヶ岳はかっこよかったです。その後左から水のある沢が合流しますが、それも伏流し、岩だらけの川床を下っていきました。


 16時、北鎌沢出合に到着。他に4組10余名の登山者がいました。
 ツェルトを張り夕食の準備。でも水がありません。さっきの水があったあたりまで戻ろうか、とも思いましたが、けっこう遠い・・・。ふと思いつき、明日の朝のことも考え、北鎌沢の水の状況を調べに遡上してみました(一応プラティパスをもって) すると100mほど登ったところで水が出ていました。下っていくと他の登山者に水の様子を聞かれたので答えると、みんな水を汲みに行っていました。
 山の端にちょっと見える槍の穂先を見ながら、コーヒーを飲んでからアルファ米と麻婆ナス丼をビールで流し込み、6時前には就寝。けっこう疲れたのかぐっすり眠りました。背中のデコボコやちょっと寒いこともあり、夜中何度か目を覚ましたが、ツェルトの外がかなり明るく見えました。月のあかりです。見に起きようかな、とも思いましたが、疲れていたこともあり、まあいっか、と、4時の目覚ましまで再び就寝しました。


(その2に続く・・・)