「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「槿は乙女か」

2006-07-20 10:40:51 | 和歌

 薄紫の槿が二つ並んで咲いていた。

 先程まで降っていた雨が小降になって、空が急に明るくなった。コウモリを携えて散歩に出たら程なく雨が止んだ。雫を湛えた槿に、パッと陽ざしが射しこんで、誠に爽やかであった。

 日本画であれ洋画であれ、絵画の嗜みのある方ならば、花の色に対する優れた感性と、色を表現する適切な色名をご存知で、適切な表現ができるのだろうが、その辺りに疎い虚庵居士は、何時ものことながらシドロモドロになる。色の濃淡や明るさや、それに「紺桔梗」でも触れたが、光線の加減によって色調は随分と変るので、花の色合いを言葉で表現するのは素人には難題である。加えて、写真に写す技量も拙いとあっては、救いようがない。残されたのは、「美しい」と感じる心だけだから、誠にファジーな感覚だけで、何とも頼りない。

 間もなく梅雨が明ければ、日本列島は猛暑に包まれて、花々も避暑のシーズンを迎える。
精一杯咲いて儚く散り行く槿と蝉時雨を朋に、暫らくは暑さを耐えねばなるまい。






             降る雨を厭いもせずに浴びて咲く

             槿は乙女か語らひ止まずも
   


             嬉々としてきらめく雫の槿かも
   
             並び咲く花 雨後の陽ざしに



             この後は槿の花と蝉時雨を
   
             朋に忍ばむ猛暑の夏は