「うつろ庵」の印度浜木綿と姉妹の、「クリナム・パウエリィー」がピンクの花を咲かせていた。
道端に咲いているのに、手入れをする人は誰も居ないらしい。枯れ葉や花後の始末もせずに放置されて、いささかむさ苦しい状態であった。盛りを過ぎて萎れたり、枯れた花が、莟や咲いて間もない花に絡みついて、カメラに収めることすら躊躇した。
気を取り直して探したら、咲き始めの初々しい二つの花を見出した。沢山の株から独り離れて咲く一つ。いま一つは、萎れて枯れかけた花々が絡んだ中に、先程開いたばかりの花を見つけた。枯れかけた花後を取り除いたら、滴るばかりの美女が現れた。
紅の細くて長い花芯は雌蕊であろか、ヒョウキンな雄蕊と対になって、乙女はアッケラカンに笑っていた。
陽に透けるうす紅とその奥に
萌黄残りてクリナムうるわし
花芯より伸びきて上に立ち上がる
めしべ雄蕊はおどけものかな
口あけてあっけらかんと笑ふかな
クリナムにみゆ 乙女の風情を