一昨日、掲載した「突抜忍冬」と併せて、「原種クレマチスです」と誇らしげにご紹介下さった花である。普段見かけるクレマチスと違って、すっかり開ききらない「半鐘」型の花で、地味で落ち着いた良さの中にも、斑入りの花弁が気になった。
原種てふもん字の持てる魔力かな
人々酔ふて誇りに思ふは
ご紹介下さった奥様も「原種」に拘っておられたが、「原種」という文字は、「大元のもの」「特別なもの」というニュアンスがあるので、人を酔わせる魔力があるようだ。最近はそこに目をつけて、「原種○○」と謳った品種が、花卉市場ではかなり持て囃されているようだ。クレマチスの元を辿れば、日本の「風車」や「半鐘蔓」、或いは中国の「鉄線」が原種の筈で、各種の交配プロセスの産物を「原種○○」と銘打って、商売にしたものと思われる。人の心理を見抜いた巧みさには恐れ入る。素人の憎まれ口は可愛げが無いので、この程度にしよう。
このお宅の「原種クレマチス」は、気の毒にもうどん粉病が発生していた。奥様のプライドを傷つけぬよう、症状の軽微な部分を選んで写して来た。
梅雨時に彩り添える蔓花の
クレマチスかな髭種子も見ゆ
外つ国へ嫁ぎてのちの物語り
秘めて華麗に出戻る花かも