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冗談抜きに男はつらいよ

 この間、しょうへい君がまじめな顔をしてやって来た。黄色いふちのメガネをしたばっかりに、 笑福亭笑瓶から命名されてしまった、しょうへい君です。「あれ、本当ですか?男は要らなくなっちゃうのですか?」『お父さん、がんばってね』を読んだらしい。女性の自立が進むと少数の男性しか必要でなくなるという話です。最近男児の出生率もさがっているらしいし、とうとう歴史が動き始めたのかと御心配のようです。

 「でも男、いなくなると困りますよね。生まれつき男のほうが得意なことって沢山あるし」しょうへい君、そんなすがるような目で見ないでください。でも話はもっと複雑、いやもっと単純と言ってもいいかな。長老の知恵を授けましょう。

 ハエとかカナブンとか、昆虫は生まれてすぐ飛んだり、餌をとったりできます。もともと本能だけで、学習無しに生きていくことが出来るのです。最初から高度な本能を持って生まれてくる。工学的に言うと、ハード・ワイヤード・ロジックですね。ほんの少しの神経細胞で生きていけるのだけれど、重大な欠点もあります。環境が変わったら対応できないのです。

 下等動物から高等動物になるに従って、もって生まれてくる本能の量が減ります。高等動物では、その分、学習して記憶する機能が発達しています。工学的に言うと高等動物はソフト・ロジック。機能がソフトウエアで変更できるのです。そして最初に書き込まれているプログラムは最小で、全て環境合わせて機能を作り変えていくのです。環境変化への適合力が高いのが高等動物といえます。

  人間の赤ちゃんは、あんよの仕方も知らないで生まれてきます。はいはいのやり方だってプログラムされていないのに、男女の性差などプログラムされているはずが無いともいえます。実際、生まれつきの性差は小さく、現在見られる性差は後天的に作られる部分が大きく、教育、文化、環境で作られるという説も出てきています。

 「やっぱり男は要らなくなっちゃうんですか?女に捨てられちゃうんですか?」ははは、大丈夫ですよ。しょうへい君、役に立たないからって可愛いスコッチテリアのバーニーちゃんを捨てたりしますか?しないでしょう、大丈夫です。でも、もうちょっと可愛いしぐさを覚えたら、もっと幸せになれるかもしれませんね。高等な動物ほど変われるらしいのですよ、勿論あなたもだいじょうぶ、きっと変われますから。

REF: 記憶の大脳生理学 千葉康則 講談社

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