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熊本熊的日常

日常生活についての雑記

休日の昼食

2011年07月16日 | Weblog
子供と東京国立近代美術館で開催中のパウル・クレー展を観た後、食事をしに日本橋へ出た。たまにデパートの食堂というのも面白いかと思い、三越に入った。午後1時をまわった頃だったのだが、新館のほうの食堂は10階の「筑紫楼」も「代官山ASO」も満席。子供は好き嫌いがあって和食だと厳しいので「なだ万」は席があるようだったがパス。9階の「満点星」は、店先で1組の順番待ちがあったのと、先月会ったときの食事が洋食屋だったこともあり、やはりパス。5階の「ランドマーク」には長蛇の列。本館へ渡り、7階の「日本橋」へ行くが、ここも20分待ちとのこと。世間では景気が悪いと喧伝されているようだが、少なくともここの食堂はどこも繁盛しているようだ。仕方がないので三越を出て通りを渡り、コレド室町に入ってみる。このビルを訪れるのは今日が3回目。前の2回はいずれも落語会で、最初は杮落とし公演の「志の輔らくご」、次が昇太の独演会で、飲食での利用は今回が初めてだ。まず4階まで上がり、ぐるっと見回したら、子供が寿司が食べたいというので、「鰤門」に入る。カウンター席に余裕があったが、私たちが入って程なくして、この店も満席になった。間一髪で昼食難民状態を回避することができた。

私は料理については門外漢なので、食事の中身については語ることができない。あくまで、自分の言葉で語ることのできることだけ、ひとつふたつ書きたいと思う。まず、店に入ったときの印象が良い。このビルの開業が昨年11月なので、店そのものが新しいという所為が多分にあるだろうが、白木の引き戸、白木のカウンター、というのが気持ち良い。木は檜だろう。香りが良い。そのカウンターの席に案内された。頭を丸めた板さんが3人、カウンターのなかにいる。着衣も手先も清潔感がある。人の口に入るものを商売として扱うのだから、それが当たり前だとは思うのだが、当たり前が当たり前な状態でそこにあることを目の当たりにすると、やはり気分が良いものだ。はじめての店なので、「おまかせ」をお願いする。嫌いなネタについて尋ねられるが、子供のほうがいろいろあって、親としては恐縮してしまう。幸い、今の旬ネタにかかわるようなものはなく、少しほっとする。

寿司屋に限らず、私は飲食店のカウンター席が好きだ。調理人の動きは美しい。動作もさることながら、材料に対する慈しみのようなものを感じて、感心することがある。寿司などはその最たるものだろう。材料を大切に扱うということは客を大切に思うということでもある。器も良かった。カウンターは白木なので、寿司を盛るのにどうするのだろうと見ていたら、子供と私のほうとで色違いの陶器の角皿を出してきた。「皿」というよりも陶板という風だ。席に置かれている銅製の醤油注も、一見すると何の変哲もないように見えるのだが、注ぎ口が細長く、作る側からすれば難易度の高いものだ。そういう細かいところにまでこだわりが感じられると、寿司が出てくる前から嬉しくなってしまう。勿論、そういうふうに気がついたところは、子供に説明する。子供のほうも面白がって聞いているようだが、以前に話をした内容だったりすると「それは前に聞いた」と遠慮会釈なく駄目出しを食らうので、そういうことも楽しかったりする。

結局、午後1時25分頃に店に入り、デザートを頂いて一服して、勘定を払ったのが午後3時頃だった。店の人は「お待たせして申し訳ありません」と頭を下げていたが、休日の昼食はこれくらいゆっくりと楽しむものだろう。満席だった所為で本当に作るのが遅くなったということもあるかもしれないが、私たち親子を担当していた板さんが、私たちの会話の調子に合わせて握ってくれた結果として、この時間になったということもあるのかもしれない。家庭での手料理にしても、飲食店での食事にしても、作り手と食べる側との息が合うと幸せな気分に浸るものだ。特に、子供と食事を共にするのは月に一度のことなので、そういう時間を大切にしたいと思っている。今日も良い店に巡り合えてよかった。

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