昨年の暮れの話です。
Hさんの事務所にいる若手社員のN君。
N君のこれまでは仕事は直属上司の下でその補佐をする、いわゆるアシスタント的な仕事ばかりでした。
12月に入り、その上司が急遽他の仕事の応援に行く事になり、N君が後の仕事を引き継ぐ事となりました。
しかし、これまで直接御客先と仕事の打ち合わせなどした事のないN君、いきなりはやはり経験不足です。
そんな事でHさんが補佐役としてN君の面倒を見る事になりました。
若手と云っても、もう30歳を過ぎていますから、会社の為にも、本人の為にも早く一本立ちして貰いたい!
根が真面目な性格のN君です。
教えられた事は一生懸命にやります。
しかし、如何せん、何事にも細かすぎる性格が玉に傷です。
御客先とのメールのやり取りでも、敬語を何度も重複して使おうとします。
”こんなに敬語を何度も入れると文章がくどくなって、逆に失礼に当たるよ。もっと簡潔に書かなきゃ~。”
なんてメールの添削もしてあげたりして、その内、徐々に仕事にも慣れてきて、ある程度は御客先との打ち合わせも任せられるようになってきました。
そんな、ある日の事。
師走の事ですから、皆それぞれに担当の御客先の処へ1年間お世話になりましたとカレンダーを持って挨拶周りに出かけて行きます。
そんな他の社員の動きを見ていたのでしょう。
N君が私の席へやってきて・・・
”Hさん、私は御客先にお礼参りに行かなくてもよろしいのでしょうか?”と一言・・・。
”お礼参り”かよ!!
お前は凄いな~!!
御客先で、”今日はお礼参りに来ました。”なんて言うんじゃないよ!!とHさん。
まだ、まだ、目が離せないN君でした・・・。