大沢 在昌 著 「罪深き海辺」を読みました。
財政破綻寸前の港町に全財産を寄付し、亡くなった大地主。
六年後、遺産相続人の干場という青年が突如現れた。
激化する暴力団の抗争、露見する進出企業の陰謀、そして相次ぐ不審死…。
干場の登場により街に隠れていた毒虫たちが動き出す。
本当の悪は誰か?
定年間際の刑事・安河内が命をかけて真相に挑む。
久々の大沢作品です。
舞台は首都圏から2時間程の半島にある仮想の田舎町という設定。
ヨットハーバーがある港町ですから、大体あそこら辺かな~なんて想像しながら読みました。
前半は少々スローペースでしたが、中盤以降にストーリーが一気に加速!
上下巻900ページ以上の長編ながら最後までワクワクさせる展開が素晴らしい!!
ハードボイルドを満喫しました!!
加藤 廣 著 「信長の棺」を読みました。
「惟任(光秀)ご謀反」―。
安土城で知らせを聞いた太田牛一は、生前の信長の密命に従うべく、5つの木箱とともに西へ向かう。
が、佐久間軍に捕えられ能登の小屋に幽閉されてしまう。
10カ月後、天下統一を目前に控えた秀吉から伝記執筆を条件に解放された牛一は、天満に小さな隠居所を構え、信長暗殺の謎を追うのだった・・・。
「本能寺の変」における織田信長の遺骸未発見の謎がメインテーマです。
信長の遺体はどこに葬られたのか?
毛利と和睦し、中国大返しが秀吉にできたのか?
なぜ光秀は本能寺を襲ったのか?
織田信長の伝記「信長公記」を著した太田牛一という実在した人物が信長の死の謎を追うというストーリー。
途中、若いしのびの女と老いた主人公の恋愛話も出てきて、堅苦しい歴史物を和らげています。
最後のオチは”成る程こう云う事だったのか!”と思わず納得の一冊でした。
矢月 秀作 著 「もぐら 乱」を読みました。
首都圏各地で喉を切り裂き頭骨を砕く残虐な殺人事件が相次いで発生。
警視庁は組織犯罪対策部犯罪追跡特務班、通称“モール”を新設し、超法規的に出獄した影野竜司が捜査に協力することとなった。
敵は中国の美しき暗殺団・三美神。
強靱な肉体と美貌を持ち、重火器による攻撃を仕掛ける冷酷な敵と、不死身の男が激突する!
「もぐら」のシリーズ第三弾です。
初回が面白かったので、このシリーズは続けて読もうと思っていたら、古本屋で第三弾を見つけて即購入!
第二弾目を飛ばしてを読む事にしました。
今回はモグラが中国の最強の暗殺集団と闘うストーリーです。
その暗殺団の三美神がまた凄い!
華麗にして、冷酷、非道・・・
そんな連中にモグラはどう立ち向かうのか!
息もつかせぬスピード感と圧倒的なヴァイオレンスに一気読みです。
さて、二弾目を読むか!
道尾 秀介 著 「水の柩」を読みました。
老舗旅館の長男、中学校二年生の逸夫は、自分が“普通”で退屈なことを嘆いていた。
同級生の敦子は両親が離婚、級友からいじめを受け、誰より“普通”を欲していた。
文化祭をきっかけに、二人は言葉を交わすようになる。
「タイムカプセルの手紙、いっしょに取り替えない?」
敦子の頼みが、逸夫の世界を急に色付け始める。
だが、少女には秘めた決意があった。
逸夫の家族が抱える、湖に沈んだ秘密とは。
大切な人たちの中で、少年には何ができるのか。
普通の少年が自分の回りにいる友人や家族の知らなかった過去に触れながら成長してゆく物語。
道尾さんはこういった子供を扱った話が上手いです。
絶望から希望へ…
主人公が少しずつ光に向かって前進して行こうとする姿に感動です。
影踏み」を読みました。
深夜の稲村家。
女は夫に火を放とうとしている。
忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた―。
直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。
だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。
思い過ごしだったのか?
母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った…。
7編からなる連作短篇集。
深夜寝静まった民家に忍び込み現金を盗み出す「ノビ師」の主人公が泥棒でありながらも探偵役をつとめます。
「双子の弟啓二と母親の関係」、「幼なじみの久子との関係」の二つを軸に、6つのエピソードが展開され、そして最後に大きな秘密が明らかにされる・・・。
謎解きやドラマがきちんと配されて、最後まで飽きさせない構成になっている作品でした。
大沢 在昌 著 「涙はふくな、凍るまで」を読みました。
日本一不運なサラリーマン、第二の事件!
出張で北海道を訪れたサラリーマン坂田は小樽港で屈強な男たちがロシア美女を追い掛け回す場面に遭遇。
手ひどく殴られ停泊していた船に閉じこめられてしまう。
救い出してくれたクラープと名乗るロシア人は、命を助けた礼に稚内まで届け物をしろと言い……。
「走らなあかん、夜明けまで 」シリーズ第二弾!
と云ってもHさん、一作目は読んでませんが・・・。
舞台は北海道。
主人公が小樽から稚内まで日本海側を北上して行きます。
実は、Hさんの生まれ故郷もその途中で出てきて、まるで里帰りした時のように情景が思い浮かびました。
著者はしっかりとした取材の元に物語を書いているなぁ~と感心させられました。
日本最北端の街・稚内でロシアマフィアの争いに巻き込まれる主人公ですが
ここでもロシアと北海道の関係が詳細に描かれます。
ストーリーもさる事ならが、通常の観光ガイドブックには載っていない北海道の知られざる情報を仕入れる事ができる一冊です。
矢月 秀作 著 「もぐら」を読みました。
かつて警視庁組織犯罪対策部に属していた影野竜司。
彼はある事件で相棒と愛する妻、娘を失い表社会から姿を消した―。
十年後、竜司は闇社会で“もぐら”と恐れられるようになる。
警察には相談できぬ事件を請け負い、暴力を厭わず、超法規的に過激な手段で解決するトラブルシューターとして。
この作家の作品を読むのは今回が初めてです。
なかなかスピード感があって読み易い文章です。
元刑事がトラブルシューターとなって渋谷のヤクザや麻薬の売人と戦うストーリー。
暴力と血煙と硝煙の中でランボー!?なみに強い主人公がバトルしまくる痛快なハードアクション!
突っ込み処は満載ですが、とにかくワイルドだぜ~!?
続編も楽しみです。
影法師」を読みました。
父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。
作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。
それから―
竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、その死の真相を追う。
おまえに何が起きた。
おまえは何をした。
おれに何ができたのか。
久々の
江戸時代の武士の階級制度や、藩政の立て直しにかかる様々な障害などを軸に、男と男、侍と侍の友情が描かれています。
時代小説ですが、文章も非常に読みやすく、ぐいぐいと物語に引き込まれました。
大望成就を目指す友の為に、自分を滅してまでも一生を捧げる・・・。
「影法師」というタイトルがラストに切なく心に響きます。
流石、 いい本、書くなぁ~!!
Hさん、今年これまでに読んだ本の中で一番の佳作でした!!
どなたにもオススメの一冊です!!
貴志 祐介 著 「悪の教典」を読みました。
晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしていた。
しかし彼は、邪魔者は躊躇いなく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。
蓮実聖司は問題解決のために裏で巧妙な細工と犯罪を重ねていた。
三人の生徒が蓮実の真の貌に気づくが時すでに遅く、学園祭の準備に集まったクラスを襲う、血塗られた恐怖の一夜。
蓮実による狂気の殺戮が始まった!
文春ミステリーベストワン!、このミステリーがすごいのランキングもベストワン!
”こりゃ~、かなり面白そうだ!” と云う事で読み始めました。
学園もののサスペンスホラーです。
ストーリー自体は単純で、スピード感があり、あっという間に読了しました。
しかし、一気に読めても、残念ながら後には何も余韻が残らなかった・・・。
しかも読後感がすこぶる悪い・・・。
そりゃあそうだ! ただサイコ教師が次々に生徒を殺してゆくだけだもの・・・。
こんな作品が映画化されるとはねぇ~。
一見「バトル・ロワイアル」風だけど、殺し合いのストーリーならば、あっちの方がまだましだった・・・。
辻村 深月 著 「ツナグ」を読みました。
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。
突然死したアイドルが心の支えだったOL、
年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、
親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、
失踪した婚約者を待ち続ける会社員……
ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。
それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。
ツナグに依頼する4人それぞれのあの世に逝ってしまった人との4つの物語
そしてツナグである歩美自身の物語で構成されています。
死者と生者の一晩だけの出会いで、それぞれの登場人物がどう変わるのか
また誰と会いたいか考え抜く事でどの様な結論が導きだせたのか・・・。
最後の章で全部の話をリンクさせる「使者」本人の話があります。
このオチがなかなか秀逸!