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御坊市がNHK厚生文化事業団「認知症にやさしいまち大賞」受賞 〈2018年1月24日〉

2018年01月24日 08時30分00秒 | 記事

取り組みのきっかけとなった西山さん夫妻

認知症当事者がスターチスを収穫


 認知症支援で全国先進地の評価を受けている御坊市の「ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト、西山さんから始まった地域づくり」が、NHK厚生文化事業団の「認知症にやさしいまち大賞」に選ばれた。認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくり、誰もが活躍できるまちづくりの取り組みが高い評価を受けた。この表彰は今年度初実施され、本賞に御坊市を含めて5団体、特別賞に2団体が受賞。2月18日に東京で表彰式が行われる。

 全国から53件の応募があり、御坊市は国の地方創生交付金事業を活用した「ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト、西山さんから始まった地域づくり」の取り組みを応募。「認知症の人でも活躍できることは必ずある」をモットーに、これまでの行政主導から認知症当事者を主役に据え、行政や事業者、地域が一体となり、当事者やその家族を支援する取り組みで「今後の活動継続と周辺地域への波及効果を大いに期待したい」と評価を受けた。
 取り組みのきっかけとなったのが、当事者の西山昭二郎さん(90)=藤田町藤井=と、昭二郎さんを支える妻のアサヱさん(86)。昭二郎さんは2年前に認知症と診断され、今後の支援について話し合う中でアサヱさんの「一人じゃ夫の介護は無理。地域の人に夫が認知症であることを知ってもらいたい」との思いにどう応えるか、ここから地域ぐるみでのさまざまな取り組みが始まった。
 市、居宅介護支援事業所中紀が地域に働きかけ、畑やみかんの収穫を手助けしたり、地域住民主体のアクションミーティングを開いて地域の現状や課題を話し合う中で、長らく途絶えていた地域住民が月1回集まり、交流する「むつみ会」を復活させ、地域のつながりを再構築した。今も毎月1回開き、西山さん夫婦も元気に通っている。この取り組みが北吉田に広がり、地域住民が「ごぼう軽井沢の会」を結成し、当事者や障害者、1人暮らしの高齢者ら40人が集まり、皆がやりたいことをやりながら地域の絆を深めている。
 総活躍プロジェクトでは社会福祉法人博愛会が中心となり、名田幼稚園、名田小・中学校、和高専、JA紀州青年部などと連携したさまざまな取り組みを実践し、今は塩屋地区に広がっている。全国一の生産量を誇るスターチスの花言葉が「途絶えぬ記憶」「永久不変」であることからスターチスを認知症支援のシンボルにした取り組みも展開。生産農家から出荷の終わったスターチスの提供を受け、事業所の認知症患者らサービス利用者が収穫し、スターチスのノベルティ(記念品)や花束を手づくりして国際アルツハイマー病協会国際会議をはじめ国内の各種研修会、市内外のイベントでPRしている。
 取り組みの中心となった居宅介護支援事業所中紀介護支援専門員の志水建一氏は「地域づくりのハードルは決して高くない。今回の取り組みを通して地域にはたくさんのつながりがあることを実感できた」、老人保健施設リバティ博愛介護係長の湯川光永さんは「職場、地域、事業者、行政が連携すれば大きな力になる。受賞を励みに、今後も誰もがやさしいまちづくりに努めたい」。
 市介護福祉課副主任の谷口泰之氏は「自分たちの取り組みを振り返る意味から応募したが、有名な全国先進地と一緒に受賞できたことはすごくうれしい。今後も地域の人たちと一緒になって誰もが活躍できる地域づくりに努めたい」、市企画課主事の狩谷晃司氏は「地方創生の取り組みから始まったが、取り組んでいく中で形になり、それが広がり、つながりを持たせられたのは本当にありがたい」と話した。


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