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日高町原谷、自然散策公園のササユリがシカの害で壊滅的 〈2016年6月2日〉

2016年06月02日 08時30分00秒 | 記事

被害があった現地で数少ない
新芽が育つササユリ


 日高町原谷の熊野古道沿い自然散策公園で以前のササユリ群生地を取り戻そうと取り組み進めているが、新芽を食べられるシカの獣害があり、壊滅的な打撃を受けていることがわかった。球根植栽には町内の子どもや一般ら多くのボランティアが関わっていただけに関係者はショックを受けている。球根は残り少なくなったが、新芽が出てきているものもあり、活動する熊野古道ささゆり愛好会は12日にイベント「ささゆりまつり」を開いて、再出発したい考えだ。

 広川町から鹿ケ瀬峠を越えて降りてきた石畳がある付近の自然散策公園「熊野古道公園」で、以前のササユリ群生地を復活させようと、昨年から取り組みを始めた。これまで町内児童や生徒による球根を植える体験会を開いて1000個を70区画(1区画2メートル×2メートル)に植栽するなど多くのボランティアが参加。獣害対策を施したり、看板を設置してPRしたりした。
 ササユリの生長を見守るため、定期的に現地の見回りもしており、5月中旬には新芽が出始めて育ちも順調だったことから関係者も喜んでいた。その矢先、5月下旬に現地を見に行くと、新芽がついばまれているものや球根がなくなってしまっているものが多数見つかり、調べたところ、70区画中、10区画しか残っていない状態に。
 球根に近寄れないようにワイヤーメッシュを設けており、球根を掘り起こされた形跡などがない状況からイノシシではなく、原谷区でシカの10数匹の群れが地域住民の報告からも、シカが首を伸ばして食べた獣害と見られている。残っている区画に高さ1メートル、直径50センチの円柱型の金網で、シカが上から新芽を食べられないように囲った。
 もともと、日高町語り部の会が県地域・ひと・まちづくり補助事業を受け、地元原谷区の協力や多数のボランティアや「ささゆり募金」に支えられて進めてこられた取り組みで、主体的に活動してきたメンバーらで熊野古道ささゆり愛好会も結成したばかり。
 生長が順調で復活への思いは強まっていたが、杉村代表世話人は「ワイヤーメッシュを広く設置し、イノシシは防げていたが、シカに対応しきれていなかった。残念で仕方ない。ボランティアが参加しているだけでなく、多くの募金も集まっていた。開花を期待する子どもたちの声もあり、申し訳ない気持ちでいっぱい」と話している。
 愛好会が12日午前10時から、現地でイベント「ささゆりまつり」を計画。天音太鼓保存会員による和太鼓演奏、短歌コンテスト、福引き抽選、有料の野点などを行う。開花時期に合わせた催しだったが、開花は少ない状況かもしれないという。メンバーの落胆も大きいが、ささやかならがもイベントを開催することで再出発につなげたい考え。杉村代表世話人は「ささゆりまつりは多くの応援団の皆様へ、プロジェクト到達点の報告会でもあります。ぜひ現地にお越しください」。
 愛好会がササユリ復活、再生へ取り組むが、今後は専門家の協力を求めながら、獣害対策を考えて補植することや、活動資金は少ないため、1区画スポンサーなども検討する。杉村代表世話人は「復活へは何年も長い取り組みとなる。将来、ササユリを咲かせたいと思ってくれる人が出てきてつないでいけるよう、この活動は続けたい」と話している。


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