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御坊市新庁舎懇話会「現在地」「移転」の両論併記へ 〈2017年12月2日〉

2017年12月02日 08時30分00秒 | 記事

浸水予想高3・5メートルは議会棟下(写真右側)の
天井部分とほぼ同じ


 御坊市新庁舎建設市民懇話会(会長・塩路泰弘御坊商工会議所専務理事)は30日、市役所で3回目の会議を開いた。焦点の建設場所については前回の委員会で「現在地での建て替え」を前提に議論を進める意思統一を図ったが、この日は浸水区域外や高台への移転を強く求める意見が出されたため、前提は崩れ、意見は交錯状態。懇話会は意志決定する場ではないため、柏木市長に提出する報告書は「現在地」と「移転」の両論併記の方向となった。

 前回の委員会で複数の委員から「建設場所を決めないと議論が進まない」との意見が出され、市当局が提示した「現在地での建て替え」以外に、有力な候補地がないことから現在地を前提に「どのような防災対策が必要か、最低限必要な庁舎機能は何か」などを議論することで意思統一を図ったが、この日は南海トラフ巨大地震の津波浸水区域外や高台への移転を強く求める意見が出され、議論は振り出しに戻った格好。
 南海トラフ巨大地震の浸水予想高は3・5メートルと予想されており、現在地で建て替え時は3・5メートル以上の地盤かさ上げやピロティ形式などの津波対策が必要になるため、複数の委員から「がれきによる津波火災の心配はないのか」「現在地で安全が担保されるのか。市民にきちんと説明できるようにしないといけない」と安全性に疑問の声が出され、津波浸水区域外のJR御坊駅周辺、あるいは北塩屋地区の高台にある青踏女子短期大学跡地を候補地に移転すべきと主張した。
 大津波警報時の防災対策拠点は湯川中学校を想定し、浸水区域外の北吉田住宅団地用地に市消防本部の通信指令機能やヘリポートなどを備えた非常時の代替え施設を建設する計画があることから現在地派の委員から「庁舎は避難拠点にしたらいい。市民の命をいかに守るかが大事」「現在地に庁舎があれば助かったのにということにならないかが一番怖い」との意見に、移転派の委員から「庁舎を移転させ、現在地に避難タワーを建設すればいい」「防災機能を備えた庁舎がベストだ」との反論があった。
 また、東海・東南海・南海3連動地震では浸水しない想定を念頭に「過去に旧御坊町内が津波で大きな被害を受けた記録はない」。市役所周辺には福祉センター、御坊商工会館、中央公民館(図書館)市民文化会館、商店街などがあり「平常時の利便性を重視すべき」との意見に対しては「東日本大震災を教訓にすべき。万が一のことを考えるのが行政の役割だ」と主張。建設場所をひとつに集約するのは困難で、報告書は「現在地」「移転」の両論を併記する方向となった。
 かさ上げについて執行部は「3・5メートル程度なら工法的に可能」と報告。津波火災では専門家から「階段状にかさ上げし、がれき対策を行えば防げる」との意見があったほか、現在地に建て替える際は「庁舎周辺には電柱を建てないようにすべき」「熊本地震では同じ震度でも地盤の状況によって揺れが異なった。最新の知識、技術を取り入れた対策を講じてほしい」との要望もあった。次回は新庁舎に求める機能や設備を中心に議論を行う。


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