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令和3年秋の叙勲、森尾正稔(印南町)栗林久一、酒本紀美子(御坊市)森美喜男(みなべ町)各氏 〈2021年11月5日〉

2021年11月05日 08時30分00秒 | 記事

 令和3年秋の叙勲が発表され、県内から46人が受章した。日高地方から旭日単光章に地域総合功労で印南町宮ノ前256、元町教育委員で元町消防団第5分団長の森尾正稔氏(81)。瑞宝単光章に消防功労で御坊市岩内250の1、元市消防団分団長の栗林久一氏(65)、社会福祉功労で同市島428、民生・児童委員の酒本紀美子さん(74)、郵政業務功労でみなべ町清川563の3、元郵政事務官の森美喜男氏(76)が選ばれた。コロナ感染予防で拝謁は行わない。県の伝達式は11月19日に県庁で行う。


消防団、教育長で活躍

旭日単光章 森尾正稔氏

 昭和46年1月に印南町消防団員となり、以来30年余りの長きにわたって消防の責務を認識し、町民生活を守るため、消防団の育成と強化に努めた。その間、婦人防火クラブの設立を呼びかけ、設立後は防火講習会には必ず出席し「自分の家は自分で守る」ということを基本に火災予防の高揚を図った。1月に実施する訓練初め式でポンプ操法を披露する場を取り入れ、8月にはポンプ放水大会を行うなど教育訓練を提唱、奨励し団員の消火活動能力を高めた。
 平成元年9月に町教育委員に就任。12年12月から8年間は教育長を務め、その間、真妻中と切目川中を統合、清流中を開校させたほか、山口小と印南小、樮川小と切目川小、稲原小と稲原西小の統合を実現し、4小・4中学校の現体制の礎を築いた。幼保一元化を視野に入れ、幼稚園と保育園の行政窓口を一本化し「いなみ幼児園構想」を作成、現在の幼保連携型認定こども園いなみこども園開設へと導いた。
 この他、平成28年6月から町社会福祉協議会長を務め、社会福祉の発展向上に取り組んでいるほか、農業に従事する中で県指導農業士として後継者の育成や地域一体としての農業経営、生活改善などにも取り組み、日本農業大賞を受賞。
 森尾氏の話 ここまで導いていただいた方、支えていただいたすべての皆さんのおかげであり、お礼と感謝を申し上げます。


消防力の向上に尽力

瑞宝単光章 栗林久一氏

 昭和51年4月に御坊市消防団野口分団員を拝命した。平成23年に分団長に就任し、退団するまで41年間にわたり、地域消防力向上に尽力した。分団長になってからは、団員の安全確保を気を配り、「団員に無理をしない、させない、気を抜かない」を常に心掛けた。
 消防人生を振り返り、分団長に就任した年の平成23年9月3日、県南部を中心に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害が忘れられないという。
 日高川の警戒水位を超えた午後11時40分ごろ、消防団に出動命令が出され、団員らは野口の防災センターに集合。栗林氏は団員に対し「状況を逐一報告せよ」と命じ、団員を3班に分け、日高川周辺の警戒に当たらせた。
 栗林氏はセンターで待機し、団員から雨や川の水量などの連絡を待った。翌4日午前4時ごろ、岩内の一部が地域まで水が迫っているとの情報を受け、住民らと協力しながら、浸水が予想される地域の眠っている住民を起こし、迅速に避難させた。
 また、平成22年11月16日の朝に御坊市熊野地内で発生した山林火災では、夜通し燃え続ける火災の最前線で、部下への指示や自身もホース延長を行うなど、懸命な消火活動を行い、鎮火に貢献した。
 栗林氏の話 素晴らしい仲間に出会い、共に活動できたことは財産です。家族や関係者のご協力のおかげと心から感謝しています。


福祉の増進に寄与

瑞宝単光章 酒本紀美子さん

 昭和60年9月から35年間の長きにわたり、御坊市民生委員児童委員として地域福祉の増進に寄与。常に地域の実情を把握し、住民のよき相談者、地域福祉のリーダーとして、献身的に尽力した。社会福祉活動、地域福祉活動において優れた統率力を発揮し、福祉の増進を率先。温厚誠実で実行力があり、社会奉仕の精神を高く持つ姿勢は、周囲から厚い信頼を集めた。
 御坊市民生児童委員連絡協議会の副会長、御坊市中地区民生児童委員協議会の会長として、組織運営にも積極的に参画。関係機関との連携に努め、御坊市の福祉向上のため中心的な役割を担った。
 民生委員としては、複合化した課題を抱える個人や世帯への支援を図り、地域住民による支え合いと公的支援が連動した包括的な支援体制づくりに貢献した。
 児童委員としては、子どもたちの見守り運動や児童の健全育成、児童虐待問題に積極的に関わりを持ち、「支えになれれば」と使命感を持って、困難を抱える子どもたちを支援。家庭訪問等で温かく寄り添い、子どもたちの心を癒やした。日頃から住民との交流や学校行事等への参加等に努めて、人とのつながりを重視。身近な人生の先輩、子育ての先輩として、地域住民と積極的に関わった。
 酒本氏の話 地域の皆さま、仲間、家族の支えがあってのこと。これからも皆さまとの絆を大切に福祉向上に努めて参りたい。

集配中心に36年

瑞宝単光章 森美喜男氏

 南部高校卒業後1年間家業の農業を経て、清川郵便局局長を務めた父・靜夫さんの影響で昭和39年4月に南部郵便局に就職。以来、平成12年3月の退職まで36年の長きにわたり集配業務を中心に地域郵政事業発展に貢献。貯金・保険業務も担当し晩年は総務主任などを務めた。
 一筋と言ってもいい集配業務は、単車で1日当たり400以上もの郵便物を地域住民宅や事業所などに配達。歳暮などで小包みが増える年末年始の繁忙期には、1日何回も出先と局を往復した。
 役所などからの重要書類や待ちわびている手紙など受け取る側にとって大切なものも多い郵便物。悪天候で風雨に打たれることも多いなか、誤配達や遅れが絶対にないよう常に細心の注意を払いながら地域を単車でめぐり1軒1軒届けた。「郵便局に入った頃は、ポストがある家は少なく〝郵便で~す〟とドアを開けて玄関に郵便物を置き、留守の場合は玄関のドアの隙間から落とし込んだものです。入って数年は南部駅までリヤカーを引いて列車で到着する郵便物を取りにいきました」と懐かしむ。総務主任になってからは配達係の現場のトップとして後輩職員を指導、チームワークを大切に円滑業務を図れるよう尽力した。
 森氏の話 誠に光栄です。まさか自分がと驚いています。地域や郵便局をはじめ多くの皆さまに支えていただいたおかげです。


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