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日高町 比井集落道計画変更し着手へ 天路山城跡発掘調査終え説明会 〈2019年12月14日〉 

2019年12月14日 08時30分00秒 | 記事

調査地の曲輪の説明を聞いたり、現場を見まわる参加者


  日高町教育委員会は12日、比井地内の集落道整備事業に伴い実施してきた天路山城跡発掘調査の初の現地説明会を開き、県下から約50人が参加。同事業は保護違反から、同跡の周知の埋蔵文化財包蔵地外の当初計画分で工事を進めているが、今回の調査で重要な遺物が発見されなかったことも含め、保存資料が収集された後、町は認可を得て、路線など計画を変更する。(以上リード)

 天路山城跡では、比井地内の避難場所や集落道の造成で、元職員が周知の埋蔵文化財包蔵地内ではないと判断、事前の発掘調査がなされないまま工事が進められ、城郭遺構の一部を崩し、県が保護違反と指摘。これを受け、県が試掘した後、県埋蔵文化財センターが委託を受け10月28日から本格的な発掘調査を始め、11月29日で終了。文化財の保護や活用を考えてもらおうと、一般公開し、現地説明会を開いた。
 県埋蔵文化財センター技師の浜崎範子氏が遺構や出土遺物を説明。天路山城跡は空堀や土塁が残る中世の山城とされ、戦国時代に紀中地域を支配した湯河氏によって築城されたと言われ、別名「比井城」とも呼ばれる。調査した部分は工事に大きく関係する包蔵地内360平方メートルで、調査地周辺が曲輪だと過去に作成された縄張り図で指摘されていた場所で、岩盤地形を人工的に削りだしているなどから、今回ではっきりと確認。天路山城が機能していた時期には、平時は山麓から主郭までの通路や物資輸送の中継地点として、戦時に見張り場、防御に使用された曲輪という。
 比井漁港集落道改良工事の当初計画は、概算総事業費11億5500万円を見込み、地域の山の上に車が通れるよう幅員5メートルで延長1019メートルの避難道路のほか、海抜25メートルの位置に1550平方メートル、海抜32メートルに1110平方メートルの避難場所2カ所を整備。途中の集落から避難場所近くの避難道路へ上がれるよう幅員2メートルで延長273・6メートルと98・4メートルの避難路も設ける。
 昨年の保護違反以降、包蔵地が含まれる避難道等整備をストップして、包蔵地に関係しない西方の避難広場整備計画地近くから東方に向けた避難道の工事を進め対応。今回の調査を受けて町は当初、曲輪部分に作る予定だった避難広場を少し西方の谷を埋め立てた地にずらし、路線は主郭を触らず曲輪の一部を使う放線に変える考え。工事は以前から、国の交付金事業を活用しており、予算が付いた分ずつ順次進めていた関係から、包蔵地と判明してからの一連の計画変更で工期に支障はないものの、予算総額で約1000万円の増額を見込んでいるという。
 東日本大震災を受け、同町でも沿岸部に集落が位置する同区で高台避難の必要性から、平成25年度に着手した事業で町は「近く起こるとされている南海トラフ巨大地震が、いつ起こるかは、わからない。町民の安心、安全の確保のために必要な道路であり、認可が得られれば、工事を着々と進めたい」としている。


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