このブログでは、聖徳太子はいなかった説やトンデモ説を批判してきました。そうしたデタラメ説のうち、国家主義的な主張が目立つ主張を紹介して批判するために、「国家主義的な日本礼賛者による強引な聖徳太子論」というコーナーを新設したのですが、戦前を思わせる国家主義的な主張を強く打ち出さないものの、あるいは自分では自覚していないものの、中身は似たような議論をしている例が目立つようになってきたため、コーナー名を、
史実を無視した日本の伝統・国体(国柄)礼賛者による聖徳太子論
と変更することにしました。
「国柄」という補足を入れたのは、戦前・戦中に猛威を振るった「国体」の語の言い換えにすぎない「国柄」の語を用いたり、用いていなくても、史実と異なることを古代以来の日本の伝統だと主張し、実質上、そうした議論をしている本や論文を含むようにするためです。
「太子礼賛派による虚構説批判の問題点」コーナーでとりあげた論文は、今回新設したコーナーに入るべきものでですが、このコーナーは残しておきます。
誤解されないように書いておきますが、私は日本の文学・芸能に関する論文を多数書いていることが示すように、日本の文化は大好きですし、自然な形で保たれてきた本当の伝統は尊重しています。ただ、史実を無視した形で「日本の伝統」なるものを声高に語り、誇る傾向は、自分では善意のつもりでも、危険な働きをする可能性がありますので、このコーナーで警告することにした次第です。