元気な高齢者こそ使いたい電子機器

80歳を過ぎても、日々の生活を楽しく豊かにする電子機器を使いこなそう

iPhoneのロック解除で、米国政府とアップル社が対立している理由は、利用者の保護のためだ。

2016年02月22日 16時34分25秒 | 日記
 筆者も使っているiPhoneのロック解除問題で、アップル社と米政府の米連邦捜査局(FBI)との間でもめているという。

 米連邦捜査局はテロ事件の犯人が使っていたiPhoneのデータの中身を調査したいが、ロックがかかっていてFBIであっても調査できないため、中身がのぞける機能を要求して米政府とアップル社間で対立しているという事らしい。

 パソコンにしても、スマートフォンにしてもコンピュータ機器の安全性に関しては、長年にわたって続いている課題だ。

 パソコンのデータを盗み見るウイルスに対して防御するセキュリティーソフトは、OSを提供しているマイクロソフト社やアップル社だけではなく、数社の企業が提供している。

 たとえ政府の要請であっても、簡単にデータの中身が見れる特別のソフトは作れないというのが、アップル社の立場だ。

 確かに筆者も、Ipadで暗証番号を忘れて、大変苦労した経験があり、何でこんなにややこしいシステムになっているのかと、怒り狂ったことがあったが、確かに万一他者に盗まれたりした機器が、簡単に中身が見られるのであれば、危険で安心して使える端末ではないとなる。

 いくら政府の要請であっても、簡単に応じられないというアップルの立場は、筆者には信用のおける機器メーカーとして、当然のこととと思えてくるのだ。


(東洋経済オンラインより貼り付け)

iPhoneロック解除、どっちを支持しますか?
アップルと米政府の争点を整理してみた
ロイター
2016年02月22日

[17日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>は、銃乱射事件の容疑者が持っていたiPhone(アイフォーン)5cのロック解除に向けて米政府に協力するよう求める連邦裁判所の命令に抵抗している。

サイード・ファルーク容疑者は、カリフォルニア州サンバーナディーノで昨年12月、妻とともに14名を殺害した。米政府はこの事件をテロ攻撃と表現している。

ここで問題となっているテクノロジーとプライバシー問題を整理してみよう。

●なぜアップルの協力が必要なのか

Q:なぜ米政府はアップルの協力を必要としているのか。

A:米政府は、ファルーク容疑者のアイフォーンのロックを解除するためにアップルが技術的な支援を提供するよう求めている。アップルのモバイル基本ソフト(OS)はほぼすべてのデータを暗号化しており、パスコードを入力しなければ、科学捜査のエキスパートでも、電子メール、テキストメッセージ、写真その他のデータにアクセスすることができない。

 暗号化されたアイフォーンのデータを復号するには、デジタル式の「鍵」2つが必要だ。ユーザーが端末を使いたいときに入力するパスコードと、製造過程でハードウエアに仕込まれる端末固有の256ビットのAESキーである。後者のハードウエアキーを端末から取り除くことはできず、悪質なハッカーがアイフォーンの中身をコピーして、強力なコンピューターを使ってパスコード破りを試みることを防いでいる。

 アップルのモバイルOSである「iOS」には、パスコードの入力に10回失敗するとデータを全消去する自動削除機能がある。米政府は、ファルーク容疑者がこの機能をオンにしていたかどうか分からないが、データを失うリスクを犯したくないため、ロック解除を試みていないとしている。

Q:厳密には、米政府はアップルに何を求めているのか。

A:政府はアップルに対し、自動削除機能を無効にしたiOSの新バージョンを作るよう求めている。また、新たなOSではパスコード入力を9回間違えたときに最大1時間入力できなくなる機能を回避できるようにすることを要請している。何百万通りものパスワードを試みる「ブルートフォース(総当たり攻撃)」方式によるアイフォーンのロック解除を可能にするためだ。政府は、アップルにはファルーク容疑者が使っていた端末だけで機能するようなソフトウエアを作ることができると主張している。

●アップルはどのように反対しているのか

Q:アップルはどのように反対しているのか。

A:アップルは、そのようなツールは実質的に、米連邦捜査局(FBI)、あるいはそれ以外の者がどのアイフォーンにでも侵入できるような「バックドア」を作ることに等しいと主張している。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は顧客に宛てた書簡のなかで、特別に作られたソフトウエアが「悪者」の手に渡る可能性を指摘し、今回の一件に限って利用されるという考えを否定している。

 またクックCEOは、この動きは危険な前例を確立することになるだろうと述べている。「政府はこのようなプライバシー侵害を拡大し、アップルが監視ソフトウエアを開発して、皆さんのメッセージを盗聴し、治療歴や財務データにアクセスし、居場所を追跡し、皆さんが知らない間にアイフォーンのマイクやカメラにさえアクセスするように求めてくるでしょう」と彼は書いている。

Q:ではアップルの言い分が正しいのか。

A:なぜアップルが、特別に作られたソフトウエアが盗まれる、あるいは乱用されることを懸念するのか明確ではない。というのも、開発作業はアップルの研究室で行われ、恐らく、盗まれる可能性は他のアップル製ソフトウエアと変わらないだろう。そして、アップルのセキュリティー管理は強固なことで有名であり、アップルのソースコードや暗号鍵が盗まれたという事件は知られていない。

 さらに、同じテクニックはアイフォーン5cの後に発売された端末では使えない。「セキュア・エンクレーブ」と呼ばれるチップを装備しているからだ。このチップはパスコードと製造過程で決まる固有のユーザーIDの双方を使ってデータの暗号化を支援するが、後者のIDについてはアップルにも分からない。

 こうした点よりも重大なのが、「前例を作る」という懸念だ。アップルが政府の要請に応じれば、法執行機関からの命令に応じてソフトウエア企業が自社の製品に侵入するツールを作るという最初の例になる。テクノロジー企業とプライバシー擁護派は、米政府だけでなく、他国の政府からも、また民事訴訟における原告からも、似たような要請が際限なく続くのではないかと危惧している。技術者からすれば、セキュリティーを損なうソフトウエアが意図的に作られるという考え自体が恐ろしいことなのだ。

Q:この場合、なぜ現実的な妥協が不可能なのか。

A:アップルが「前例を作らない」ことを譲れない一線としているからだ。

Q:政府はどんな情報を探しているのか。

A:検察は、アイフォーン内のデータを手掛かりに、ファルーク容疑者と妻のタシュフィーン・マリク容疑者が乱射事件を計画する際に誰と連絡を取っていたのか、事件前後にどこに行っていたか、その他事件に関する詳細が見きわめられると考えている。

●政府が求めるデータが入っているのか

Q:政府が求めるデータがすべて端末に入っているのだろうか。

A:必ずしもそうとは限らない。テロの計画にその端末が使われたという政府の想定が正しいとしても、ファルーク容疑者は通信の証拠をすべて消去するような暗号化アプリを使っていた可能性がある。

 たとえば過激派組織「イスラム国」は、宣伝や参加者募集のために「テレグラム」と呼ばれるモバイル・メッセージング・サービスを使っている。このサービスを使えば、多数のフォロワーに対してメッセージを拡散した後で、プライベートモードに移行して一対一の暗号化されたメッセージを送受信することができる。科学捜査のエキスパートにも読み出せない可能性が高い。

Q:グーグルの携帯端末向けOS「アンドロイド」で動いているスマートフォンの場合も同じような問題はあるのか。

A:アンドロイド端末はさまざまな暗号化オプションを提供しており、メーカーや機種によって異なる。マンハッタン地区検事長による昨年11月の報告によれば、科学捜査を担当する技術者は、一部の端末でパスコードを「迂回(うかい)」することができるという。捜索令状が示され、法執行機関によるデータ抽出を支援するよう命令が出されれば、グーグルはパスコードを遠隔操作でリセットすることができるから、当局は端末の中身を閲覧することができる。

(翻訳:エァクレーレン)

(貼り付け終り)

下流中年や下流老人に陥る危険性を防ぐ政策が、追い付いていない現状。

2016年02月21日 14時34分17秒 | 日記
 かっての日本は1億層中流といわれるぐらいに、日本人の所得の格差は少ない時代が続いていたことがあった。

 それが最近では「下流社会」という言葉が普通に通用する時代になってしまっている。

 とくに問題になるのは、高齢者や中年の下流化だ。いわゆる下流老人や下流中年に陥る可能性が増えているという。

 若い人たちの間に増えている正規社員と非正規社員の格差社会の拡大も、近い将来の下流中年を生む可能性がある。
 
 その上に、高齢化の進展も、従来考えていた退職金や年金の金額では、足りなくなっている。

 政府の高齢化政策も、下流老人への転落を防ぐ防貧対策まで追いついていない。

 いろいろの下流中年、下流老人に陥る対策について、ザイに原因や対策が書かれている。 


(ダイヤモンド・ザイより貼り付け)

なぜ下流老人&下流中年になってしまうのか?
老後破綻に陥らないために知っておきたい
「下流社会へのワナ」5つを紹介!

2016年2月21日公開
ザイ編集部

 日本人の目の前に迫る1億総下流社会。なぜ、日本はこうした国になってしまったのか。まずは日本の構造的な問題を理解することが、国を当てにしない対策を考える第一歩だ。

●どうして日本人は「下流中年」や
「下流老人」になってしまうのか?

 自分が高齢者になるまで、具体的な老後のイメージを抱くのは難しい。ぼんやりと「退職金と貯金と年金でなんとかやっていける」と思っている人も多いかもしれない。しかし、現実の老後が穏やかなものとは限らない。NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典さんの著書『下流老人』に登場する実例は、我々にそのことを突き付ける。

「本で紹介したのは、実際に相談に来られた方の話です。親の介護で仕事を辞めたり、認知症を発症したり、うつ病で働けない子どもの面倒を見続けなければいけなかったり。1つか2つのきっかけで、普通の人が下流化していってしまうのです」

 また、本人が思っていた以上に長生きしている結果、貯えが底をついてしまい、後期高齢者以降になってから生活困窮の不安に見舞われるというケースもあるという。「下流老人」は、決して他人事ではない。

 しかも、「下流化は、高齢期になって初めて起こる問題ではありません」と藤田さん。今の日本の状況を見れば、30〜40代、さらには子ども世代でも、今後下流化していく可能性は非常に高いという。

「たとえば、非正規雇用者は所得が少なく、退職金もありませんが、これは将来の下流化に直結します。また、世帯人数の減少や未婚率の増加は、高齢者になっても頼る家族がいないということです」

●子どもにまで広がる下流化に陥る環境
このままでは「下流老人の拡大再生産」へ

 また、日本では教育費への援助が乏しく、十分な教育を受けられない子どもも多い。そうなると、低所得の仕事にしか就けず、将来下流老人になるだけでなく、その子どももまた下流化してしまうという「下流老人の拡大再生産」が続く恐れもある。

 「下流化」につながるさまざまな問題に対して、国の対策は後手に回っている。国には社会保障制度の改革や財源を確保するための税制の見直しなど、抜本的な対策を望みたい。しかし、国の対策を待っている間にも我々はどんどん年を取ってしまう。「下流老人」「下流中年」に足を踏み入れざるを得なくなる前に、今からできることには何があるのか、一人ひとりが真剣に考えていく必要があるだろう。

●[下流社会へのワナ1]
前からわかっていた長期高齢化に対しての準備と対策の遅れ

 日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超え、高齢期が長期化。90〜100歳まで生きる人も多数いるが、多くの人は75歳程度までの準備しかできていない。一方、公的な介護施設である特別養護老人ホームは絶対数が足りていない状態で、国の老後対策も後手に回っている。

●[下流社会へのワナ2]
正社員から不定期雇用への移行での所得の下落と不安定化

 ここ20年で雇用環境は大きく変わり、非正規雇用が大幅に増加。しかし、同一労働同一賃金は実現しておらず、低い所得に抑えられている。しかも、契約解除のリスクが常にあり、安定的に収入を得られる正社員に比べ老後への不安も大きい。

●[下流社会へのワナ3]
単身者や子なし夫婦など平均世帯人数が減りかつての家庭像が崩壊

 核家族化や少子化で1970年代から平均世帯人数は減り続け、現在では約2.5人。単身または夫婦2人世帯が主流で、夫婦+子ども2人や3世代同居といったかつての家庭の姿は崩壊している。しかし、いまだに政治も社会保障制度も家族があることが前提で、実態に合っていないことが問題。

●[下流社会へのワナ4]
日本の社会福祉は救貧が中心で貧乏を防ぐ対策が欠如

 教育費の無償化や住宅費の補助といった「防貧対策」が充実すれば、貧乏にならずに済む。実際、海外では各種の「防貧対策」が豊富に用意されている。しかし、日本はギリギリまで困ってからでないと助けてくれない「救貧対策」が中心。そのため、生活困窮に至る人が増える一方だ。

●[下流社会へのワナ5]
地域社会の支え合いが欠如したお金頼みの老後対策

 金融資産は重要だが、「老後対策=お金」だけではない。地域社会とのつながりを大切にすることや、定年後も収入を得られるように再就職の道を探ることも立派な対策。その認識が欠如していると、金融資産の価値下落で思わぬ苦境に立たされることに。

 世界の最高齢国にもかかわらず日本の対応策は他の先進国に見劣りし、超高齢社会が進行し、雇用環境や家族構成も変化している日本。しかし、抜本的な対策が取られることもなくここまで来てしまった。

 今後はこうした社会を「自助努力」で乗り越えていくことを考える必要がある。

(貼り付け終わり)

米大統領選の民主党バーニー・サンダース候補の動向に注目すべきだ。

2016年02月19日 14時15分19秒 | 日記
 アメリカ大統領選挙の民主党候補バーニー・サンダース氏が、大本命のクリントン女史と競り合っている。

 筆者も2月12日のブログで取り上げたが、バーニー氏の動向に注目している。

 なんといっても米国の若者層に圧倒的な人気がある。しかしクリントン氏の選挙基盤がイスパニック系や黒人層と言われており、今後の予備選地域ではクリントン氏が有利という、メディアの調査が多いのも事実ではある。

 しかし最近の調査では、イスパニック系の人々にも、バーニー氏の支持者が増えているという。

 筆者は興味があって、バーニー氏の演説内容の詳細を聞いてみたかったが、ハーバー ビジネス レビューに掲載されていた。

 バーニー氏の演説を読むと、まさに米国経済を引っ張ている金融資本主義の巣窟、ウオールストリートや巨大銀行資本を解体し、巨額の税をかけ低所得者層の最低賃金アップや、高額な負担を強いられる公立大学学費の無料化などを訴えているのだ。

 たしかに金融ビジネスのごく一部の超高額所得者に富が集中し、かって米国経済を支えた中間層が没落し、ごく一部の超富裕層と大多数の低所得者層の格差社会を生みだしてしまっている。

 このような社会が正常ではないと告発されて当然なのだ。 バーニー・サンダース氏はまさに堂々とその問題点を訴えて大統領選に立候補し、善戦している。

 振りかえって日本の経済実体も見てみよう。米国ほどではないにしても、今の安倍政権や日銀は、ひたすら株価対策の政策に必死の状態だ。

 日本の野党から、いや与党からでも良い、若者が飛びつくような政策を打ち出す人物が出てこないものだろうか?

(ハーバー ビジネス オンラインより貼り付け)

バーニー・サンダースがアイオワで語った言葉【演説完訳】
2016年02月17日

( 演説を、そのまま翻訳する。
 なお原文は、PBSがYouTubeに公開した当該演説の動画” Watch Bernie Sanders’ full speech after Iowa caucuses”を視聴し確認した。 翻訳者 菅野完 )

●バーニー・サンダース、2月1日の演説

“ありがとう。アイオワ、ありがとう!

 9月前、私たちはこの美しい州にやってきました。地盤も鞄も看板も何もありませんでした。そして、アメリカ合衆国最強の政治的組織を相手どったのです

 そして、今夜。まだ結果ははっきりしませんが、どうやら、ほぼ互角という結果を収めました。

 そして、まだ。。。

(聴衆より“バーニー!バーニー!”の連呼。演説中断)

 そして、まだ結果は全部出ていませんが、どうやら我々は、アイオワの代議員の半数を獲得したようです。

 この機に、クリントン元国務長官と、どなたか。。。そう、極めて精力的な選挙活動を展開した彼女の選対に、祝意を申し上げたい。

 そして、オマリー知事にも感謝を申し上げたい。敗北はいつも過酷なものです。私も、一度ならず選挙に負けた経験があリます。しかしオマリー知事は、議論に多大な貢献をし、政策議論中心の選挙戦を展開し、そしてそのことによってアメリカの人々からの尊敬を獲得したのです。

 今夜の出来事を考えると、アイオワの人々は、極めて明確なメッセージを、政界のエスタブリッシュメントたち、経済界のエスタブリッシュメントたち、そして、(ここで記者席を指差す)メディアのエスタブリッシュメントたちに叩きつけたのだと思うのです。

 この国が直面する巨大な危機を考え合わせると、もはや状況は政界のエスタブリッシュメントたちや経済界のエスタブリッシュメントたちでは間に合わないのです。アメリカの人々が主張するのは、そしてこれは、何も進歩主義者からだけではなく、保守派からも中道派からも私は聞きました、“もうこれ以上、壊れきった選挙資金制度に我慢できない”ということなんです。

 私は、以前、上院復員軍人委員会の委員長を務めました。そしてその職掌として、復員軍人の権益を守るために粉骨砕身しただけではなく、我々と我々の生活を守るために貢献した沢山の人々とお会いすることができました。そうした軍人たちが守ってくれたアメリカの民主主義は、一人一票であって金持ちが選挙を買収することではないはずです!

 全国各地の人々が、350万人もの人々が、我々の選挙活動を支えてくれたという事実に、私は、圧倒され感動しています。BernieSanders.comを訪れたそうした人々による献金額の平均をご存知でしょうか? なんと、平均27ドルなんです! 我々は、富裕層やウォールストリートや「アメリカ株式会社」の利益を代表しません。彼らのお金なんていらないんです。

 誇りを持って申し上げますが、我々は民主党唯一のスーパーPAC(訳者注:特別政治活動委員会 各候補者の企業献金や個人献金の窓口となる組織。政治献金を無制限に集めることができることから近年、批判の的となっている)を持たない陣営です。そして、我々がアイオワで健闘し、おそらくはニューハンプシャーでもそれに続く各州でも健闘するであろう理由は、アメリカの人々が不正な経済にNOを叩きつけているからです。もうこれ以上、平均的なアメリカ人が低賃金で長時間働いているにもかかわらず、新たに創造される富が富裕層の1%に集中するような経済を必要としていないのです

 アメリカの人々は、この国が、公正さの上に築き上げられた国だと理解しています。トップ1%の中のわずか1/10の人が、その他90%の人の合計よりも多くの富を所有しているのは公正ではありません。この国最大の金持ち20人が、この国の底辺半分の人々の合計よりも多くの富を持っているのは、公正ではありません。

●「Enough is enough!(もうたくさんだ!)」

 みなさん。革命的なアイデアへの準備はいいでしょうね?

 その革命的なアイデアとは、我々が、富裕層だけでなく、勤労世帯にも機能する経済体制を作るということです。

 そして、数百万もの人々が貧困ライン賃金で働いている状況で、我々は、最低賃金を15ドルに引き上げるということこです!

 そして、そうです、女性にも同一賃金を支払うのです!

 アイオワ中を駆け巡りました。我々の陣営は集会に次ぐ集会で7万人近い人々とお話ししました。

 多くの人々が立ち上がって”バーニーさん!大学行ったんだ、大学卒業したんだ、で、今、6万ドル、8万ドル、9万ドルの借金を抱えている”とおっしゃるのを聞きました。

 狂ってる。これは狂ってる。彼らはまともな教育を受けようとしただけです。罰せられるべきではない。これこそが 2016年に、公立大学は学費無料になるべきだと信じる理由です。この主張に対しては私の批判者たちはこういうでしょう「バーニーさんよ、そりゃいい考えだ。タダだってね。でもどうやって財源を確保するの?」と。財源の確保をどうするか言いましょう。ウオールストリートの投機筋に課税すりゃいいんですよ。貪欲で無軌道で不法なウオールストリートの振る舞いは、この国の経済を無茶苦茶にしました。国民はそのウォールストリートを助けたんです。今度は、ウォールストリートが中流層を助ける番です。

 そして我々がアメリカの変革を語る時、どの国よりも沢山の人々を刑務所に入れているという不名誉な現実に行き当たります。それもアフリカ系とラテンアメリカ系に偏って。我々は、刑務所や拘束ではなく、雇用と教育を若者に提供します。

 ちょっと驚くべき話をしましょう。

 私は上院エネルギー委員会と上院環境委員会に所属しています。世界中の科学者たちと話をしました。議論の結果は明白。気候変動は、真実です。そして我々には、世界中の国々と共同して、我々のエネルギーシステムを化石燃料から省エネそして持続可能エネルギーに変えていくべき、倫理的な責任があるのです。

 びっくりするのは、本当にびっくりするのは、共和党のどの候補者も、世界中の科学者が同意するこの話に触れないということです。なんで彼らが触れないかわかりますか? 彼らが気候変動の現実を認め変革を主張した途端、何が起こるかわかりますか? 彼らはコーチ一族や(訳者注:カンザス州に拠点を置く全米第二位の規模を誇る私企業・コーチ工業の創業家一族)や化石燃料業界からの献金を失うんです。選挙資金ばかり心配するな、自分たちの子や孫に残していくこの星の事を心配しろと、共和党の候補者には申し上げたい。

 この選挙期間中、私は、何度もなんども批判され続けてきました。いいんです。大丈夫です。

 でも、私が信じていることを繰り返し申し上げましょう。世界のすべての主要国が健康保険を国民の権利として提供しているのだから、アメリカ合衆国も同じようにすべきだと。ウオールストリートジャーナルやワシントンポスト、そして、「アメリカ株式会社」とかにいる私の批判者には、健康保険は権利であって特権じゃない!とはっきり申し上げます!

 そしてそれが、公的医療保険制度こそがすべての人々に医療を提供し、医薬品によるぼったくりをなくし、中流世帯の年間数千ドルに上る医療コストを削減すると信じる理由です。

 他の大統領候補が言わないことで、この演説を締めくくりましょう。

 それは、どの大統領でも、バーニーサンダースでも、誰であれ、若年層や高齢者が必要とする変革をもたらすことはできないということです。大統領一人の力は限られています。次々と献金してくるウォールストリート、「アメリカ株式会社」のような大きな選挙資金提供者は強大なので、どの大統領も、やらねばならぬことを一人ではやれないのです。

 だからこそ、今夜アイオワがやったことは、政治革命なのです!

 もうすでに政治に興味を失った人々、ワシントンで行われていることに失望し不満を持っている人、これまで政治に興味を持っていなかった若者を含む数百万の人々が一緒に、若者や労働者や高齢者がともに立ち上がっり「もう沢山だ!」と、我々の政府は、この偉大な国の政府は、少数の金持ちではなく我々みんなの政府なのだ!と声をあげる政治革命。この革命が起こるとき、我々は、この国を変えることができるのです。

 ありがとう!”

(貼り付け終わり)

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(ロイターより貼り付け)

コラム:ウォール街が用心すべき「大手銀解体論」
Gina Chon and Antony Currie
2016年 02月 18日

[ニューヨーク 16日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米大統領選に出馬している民主党候補、バーニー・サンダース上院議員は、自分の米連邦準備理事会(FRB)議長を見つけたかもしれない。民主社会主義者を自称するサンダース氏は長い間、米大手銀行の解体を望んでいた。

 ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁も同じ考えだ。元ゴールドマン・サックス(GS.N)のバンカーであるカシュカリ氏は、2008年の金融危機時には財務次官補として不良資産救済プログラム(TARP)の責任者を務め、銀行救済に取り組んだ。2014年には、共和党からカリフォルニア州知事選への出馬経験もある。

 政治的隔たりを越えた意見の一致に、ウォール街は用心するべきだろう。

 カシュカリ氏は16日、左派寄りのシンクタンク、ブルッキングス研究所での講演で、金融危機以降に無謀な行動を抑制する措置が数多く取られてきたことを認めたうえで、大手行は公益法人になるべきとの考えを示した。また、金融機関のレバレッジへの課税に賛成する立場を表明した。

 これは単なる気まぐれな発言ではない。カシュカリ氏は自身が率いるミネアポリス地区連銀に、大きくてつぶせない銀行の解体について公開「シンポジウム」を開くよう指示しているのだ。

 各世論調査によると、サンダース氏もウォール街を攻撃することで、民主党ライバル候補のヒラリー・クリントン前国務長官を追い上げている。金融システムを不正に操作しているとして、ウォール街を非難している。

 共和党候補のテッド・クルーズ上院議員も、縁故資本主義のお手本として銀行をやり玉に挙げ、この先バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)に危機が起きた場合、倒産させると豪語している。

 一方、カシュカリ氏は、政治家とは異なり、標的とする銀行に発言する機会を提供している。シンポジウムに彼らを招待するというのだ。同氏いわく、シンポジウムでは解体の利点のみならず、「コストやリスク、実施上の課題」を検討するという。

 JPモルガン(JPM.N)のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)のような人たちには、ある程度受けるかもしれない。政界や規制当局には、新規制の「負の側面」に取り組む能力が欠如している、もしくは取り組もうとしたがらないと、ダイモン氏はずっと批判してきた。

 ダイモン氏や同業者たちには、カシュカリ氏への反論として使える材料がたくさんある。例えば、2008年以降の自己資本強化は、大手行と地銀に、公益法人のような収益を強いている。また、ボルカールールのような法律も、かつてのようにリスクを引き受ける銀行の能力を削いでいる。

 だが、カシュカリ氏の見方は銀行が望むよりも主流であり、同氏はこのように大胆な態度に出る初めての中銀当局者だと言える。大統領選の民主・共和両党の候補者から同様の意見が出るなら、大きくてつぶせない銀行を解体するという取り組みを止めることは難しいかもしれない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

(貼り付け終わり)

Sアミーユ川崎の介護職員による殺人事件から、政治問題まで抉り出す山田厚史氏のコラムを読む。

2016年02月18日 18時48分21秒 | 日記
 今年に入り社会面をにぎわす事件が立て続けに発生しているが、つい最近に逮捕されたSアミーユ川崎老人ホームの殺人事件ほど、衝撃を与えた事件はなかった。

 筆者なども他人ごとではなく、10年前後先になると、お世話になるような老人ホームが舞台であるからだ。

 しかも犯人はそこの若い介護職員であったといことだ。

 介護の仕事は、筆者も知っているが、結構体力を必要とし、その割には給与が低い職場である。

 この施設に入居している老人達は、比較的裕福層でないと入居できない。

 まさに最近の日本で問題になりつつある、格差社会を舞台としで発生した事件なのだ。

 ジャーナリスト山田厚史氏のコラムは、この事件に絡み日本の金融資本主義経済の行き詰まりや、若い世代の給与格差のある労働環境の問題点も抉り出す、快心のコラムだ。

 筆者があれこれ書き込むより、じっくりと山田厚史氏のコラムをぜひ読んでほしい。 
 

(ダイヤモンド・オンラインより貼り付け)

川崎老人ホーム連続殺人から金融資本主義の末路が見える
山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
2016年2月18日

 値動きの荒い株式市場、安定しない外国為替、マイナス金利に嵌った金融。騒然とする市場の陰で、有料介護施設「Sアミーユ川崎幸町」の捜査が進んでいた。転落死は一転して連続殺人事件になった。「清原逮捕」を上回る衝撃は16日から始まった「日銀のマイナス金利」など霞ませるに十分だった。

 ジャニーズのSMAP解散騒動、ベッキーの不倫、甘利大臣の斡旋収賄容疑が浮上し、イクメン議員の不倫まで発覚。社会面を賑わすスキャンダルが立て続けに起きたが、「Sアミーユ」を舞台にする連続殺人は現代の深い闇を投影している。老人の終末、格差社会、若者の閉塞感、社会保障の崩壊。事件は深いところで「市場の混乱」とつながっていないか。有料老人ホームで起きた事件から地球規模に広がるマネー資本主義の病理を考える。

●入居費は高額、職員は薄給
高級老人ホームは「格差の館」

 殺人の疑いで逮捕された今井隼人容疑者は、高校を卒業し医療系専門学校で救命救急士の資格を取って2014年4月からSアミーユ川崎幸町で働いていた。この施設は認知症など要支援1以上の利用者を対象にする介護施設だが、介護士の資格がない人も雇っていた。

 高齢化の進展で老人施設は2015年に全国で1万2400ヵ所に増えたが、介護人材の確保が追い付かない。人が足りなければ給与が上がるのが経済原則だが、介護職場は低賃金労働で知られている。

「男性職員に寿退職が目立つのが特徴です。結婚して家庭を持てば、介護職では共働きでも家族を養うのは無理というのが実情です」

 職場経験のある人は言う。介護には体力も必要だ。一人身でいる若いうちはできても、長く続けられるか。気持ちだけでは続かない仕事でもある。

 似た構造が幼児を預かる保育所でも指摘され、一部の施設で暴力やネグレクトが問題になっている。だが未来のある幼児には特有の愛らしさがあるが、日々衰えていく老人向けの施設には未来への明るさがない。

 認知症や寝たきり老人を支える仕事は精神的にも辛い。暴言を浴びたり、認知症患者への対応は心が折れる時がある、という。

「介護は気持ちが表れる仕事なので入居者との人間関係が大事です。経験が足りないと面食らい、相手の人格を尊重できなくなり問題行動が起きる」

 と前出の関係者はいう。入浴の世話や、オムツ換え、苦情の対応、と忙しく立ち働いているうちに、老人の人格が見えなくなり、自分を追い詰める「厄介者」と映ることもある。肉体的にもつらい環境の中で精神のバランスを崩す職員は少なくない。

 介護は「きつい、つらい、安い仕事」とさえ言われているが、政府は昨年、介護保険から支払われる介護報酬を減額した。税と社会保障の一体改革の一環。緊縮財政が職員給与を押し下げる力となっている。

 逮捕された今井容疑者は、介護士の資格がない。仕事に就いたばかりで、手取り給与は20万円足らず。「辛かった」と供述している夜勤は月に5回はある。深夜にコールが鳴り、オムツ換えやトイレの付き添いに走り回っても、あちこちから苦情が出る。そんな夜勤の日に事件は起きた。

 Sアミューズ川崎幸町のホームページによると、入居資格は要支援1以上の障がいがある人。「入居頭金ゼロ」で7畳ほどの個室に入れるのが売りだが、月の費用は22万1700円(賃料・管理費・食費)。この上にさまざまな経費が上乗せされる。等級ごとに介護保険の1割負担があり、被害者の丑沢さんの場合、月額2万2726円。医療費・薬代、おむつ代、行事参加費などが加算され、おおむね月に30万円程度の費用が必要だ。

 これだけの費用を年金で賄える人は稀だろう。サラリーマンなら年収1500万円は必要だ。十分な貯蓄や首都圏に持ち家があったり、経済力ある親族がいるなど恵まれた条件がなければ個室の介護施設に入所できない。

 Sアミーユ川崎幸町は、豊かな老人を薄給の若者が介護する「格差の館」でもあった。

●親から子へ「格差の固定化」で
日本は次第に階級社会へ?

 NHKで放送中の英国ドラマ「ダウントン・アービー」は第一次大戦前後の貴族の暮らしを描いたものだ。人に序列があり立ち居振る舞いまで異なる英国では、階級による差別は社会秩序に組み込まれている。戦後民主主義で高度成長を駆け上がった日本は、いま「一億総中流」の崩壊があちこちにひずみを生じている。所得や教育の差が、子世代に受け継がれる「格差の固定化」である。

 階級社会では下層の市民が裕福な貴族に仕えるが、Sアミーユのような現象は、日本も次第に階級社会へと進んでいることの現れかもしれない。少子化・高齢化が進めば、次は外国人労働者を受け入れて介護や家事労働を担ってもらうことになる。

 農業や漁業の現場で便利に使われている外国人研修生のように、「外国人だから(口実は研修生だから)安く使える」という人の差別化が始まろうとしている。

 介護職は安い労働と位置付けられ、就くのは低所得層か外国人という階層化が進むかもしれない。

 企業経営者なら「今更の話ではない」と思うだろう。日本の製造業は安い労働力を求めてアジアや中国に進出した。国際競争を勝ち抜くため、人件費の安い国に生産を移転させた。その結果、国内の労働者が外国の安い労働力と競争させられた。高い賃上げを要求すると、外国に職場を奪われる。自動車・家電などが次々と日本から離れる産業の国際化は国内賃金を抑え込み、GDPの6割あまりを占める個人消費を湿らせた。

 それが不況の主因ということに、安倍首相は今になって気づいた。企業が儲けても賃金として支払われなければ国内消費は盛り上がらない。生産が増えなければカネは国内に回らない。首相は「賃上げと設備投資を」と財界に要請している。だが、経営者には企業の論理がある。一時、収益が好転したからといって賃金水準を上げると、将来の重荷になる。景気の変化に対応できる柔軟性を確保するには、賃上げは避けたい。好況の時は非正規社員を増やし、不況になったら雇い止めできるようにするのが合理的だ、と考えている。

 経営者の立場ならそうだろう。政権はその言い分を聞いて「改正労働者派遣法」など、財界が望む政策を行ってきた。その結果、非正規労働者が全従業員の40%に広がり、正社員になれない若者が増えた。正社員と非正規社員の生涯給与は倍以上の開きがあり、若者世代に将来不安を広げた。

●経済政策は大企業の後押しばかり
社会構造の変化には手当てなし

 労働者の立場が悪い現実は、介護職場でも待遇改善まで妨げている。

 長引く不況の主因は国内消費が振るわず、カネが国内に回らないことにある。「お願い」ではなく、若者が将来に希望を描けるような安定した雇用をたくさん作ることが政治の目標であるはずだ。

 強い企業は世界展開することで儲ける。グローバル化に伴い国内はリストラされた。その被害を受けたのは一部の高齢者と若者である。退職に応じても条件のいい再就職先はない。健康な時はいいが、体調を崩したりすると暮らしはたちまち変調する。企業に長く勤めることを前提に制度ができている日本の社会福祉は、企業から離れると支えを失う。「下流老人」という層が長期停滞の中で形成された。この間、企業経営はひたすら人減らしで経営の好転を目指した。手っ取り早い方法が新規採用の絞り込みである。穴が開いた職場は非正規で埋める。高齢化社会を支える重要な役割を担うべき若者世代は、粗略な扱いを受けたのである。

 15日の朝日新聞が報じていたが、法人減税の恩恵を受けているのは海外展開に力を入れる大企業ばかり。国内で雇用を維持しているのは中小企業やサービス業である。にもかかわらず政府の産業政策は、高度成長の名残を引きずる大企業の後押しだ。

 貯蓄を持つ老人は消費者として活躍してもらわなければならない。高齢者市場が大きくなれば若者の雇用も広がる。社会構造の変化に対応する政策はなく、安倍首相が採用したのは日銀が国債を買い上げ銀行に資金を注入する「異次元の金融緩和」だった。

 お手本はまたアメリカだ。2008年に住宅バブルが弾けたアメリカの、窮余の一策が「金融の量的緩和」だった。資金繰りが危うくなった銀行や企業を救済するため、中央銀行であるFRBが3度にわたり計3兆ドルを超える資金を放出した。

 この資金は米国の銀行を通じ中南米やアジア、中国などに流れ込み、新興国への投資ブームを起こした。経済が落ち込んだら金融を緩和すれば景気はよくなる、という古典的な経済原理に沿った政策だが、先進国への効果は鈍くなっている。

 金融緩和はカネが不足している経済には効くが、カネ余りが常態化する地域には効き目が薄い。典型が日本だ。前回にも書いたが2013年に始まった黒田緩和で200兆円を超える日銀マネーが放出されが、ほとんどが日銀の中に溜まっている。銀行が資金決済する当座預金に預けたままになっているのだ。だから当座預金の金利をマイナスにして追い出しにかかったのが今回の措置だ。

●金融資本主義は早晩行き詰まる
日本がとるべき道は一つ

 まともな資金需要がないからカネがあっても貸せない。そんな現象が日本で起きているのは二つの理由がある。ドルのように世界で流通する基軸通貨ではない「円の限界」。もう一つが「バブルの教訓」である。

 1980年代に起きた金融バブルを体験した人たちが経営トップに居る。日銀マネーが注入されようが危ない融資はできない、という節度がまだある。

 アメリカはそうではない。リーマンショックで懲りてはいない。危ない貸し先こそおいしい。バブルが弾けるギリギリまで儲け話に食らいつき、弾けそうになったらいち早く逃げる。それが金融の醍醐味と考えるマネーハンターが少なくない。

 発展の余地のある途上国で有効需要を創り出せば世界経済は活性化する、という作戦は当たったが、一方で危ない事業や投機にカネが流れた。ハイリスク投資は経済が回っているうちは高いリターンが得られる。リーマンショックの引き金を引いたサブプライムローンのような、金融工学を駆使した怪しげな金融商品が隠れているのだろう。

 金融緩和が長く続くと必ず不良債権が増える。それは過去の実績が物語っている。緩和マネーは使い道を選ばない。ハイリスク投資はカネが付いてくる限り損害は表に出ない。金融が締まり、資金が逆流すると一気に表面化する。

 FRBは金融緩和が危険水域に入ったから量的緩和を止め、金利引き締めに転じた。だが、まだ本格的な引き締めには踏み込めない。緩和の副作用が噴き出せば、今でさえ不安定な世界経済の屋台骨が揺らぐことを心配している。

 リーマンショックの余波は終わっていない。米国の金融緩和と中国の財政出動で世界の需要を支えたが、その無理がいま反動となって世界を揺さぶっている。市場の値動きが大きいのは投資家がおろおろしていることの表れだ。

 金融は痛みを和らげることはできても、経済を変えることはできない。黒田緩和の失敗が物語っている。アメリカ発のマネーが新興国で焦げ付くのは時間の問題だろう。中国での調整も始まった。

 問題はマネーで解決できる、という拝金的な経済政策が世界規模で行き詰まっているのだ。日本が取るべき道は一つ。国内にカネを回すこと。そのためには労働者の賃金を上げ、若者が暮らしの安定と将来の希望を見出せる社会をつくることだ。

 Sアミーユが見せつけた悲惨な現実は、格差を広げる成長戦略より分配構造の見直しが大事だ、という警鐘と受け止めたい。

 金融頼みで失敗したアベノミクスは終わった。次の政権の課題が見えてきたように思う。

(貼り付け終わり)

国民年金資金運用(GPIF)の株式投資の功罪を考える。山崎 元 氏に学ぶ。

2016年02月17日 16時24分13秒 | 日記
 昨日のNYダウが222ドルも上昇したために、連動しやすい今日の日経平均株価は、精神的指標である16,000円台を十分維持するかと思っていたが、大引けの株価は15,836円  ▲218円の下落で終わっている。

 若干の円高傾向ではあったが、やはり世界的な金融不安が払拭されていない結果であろう。 明日以降の日経平均株価が大きく下落する可能性を、筆者は感じている。

 なぜならば、16,000円台を維持したいという安倍政権の強い希望で、今日も公的資金や日銀が買い進んだと思われるからである。

 しかし、大量の公的資金をつぎ込んでも、16,000円を割り込んで終わっている。

 おそらく、海外の投機ファンドなどは、次のボーダーライン15,000円や14,000円を切るのに向かっているのであろう。

 日本の公的資金の運用で話題になっているのが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の存在だ。

 安倍政権の肝いりで、国債などの債券主体であった運用を、リスクの多い株式運用にシフトした。

 東京株式市場のような世界的には比較的小さな株式市場に、大量の公的資金が投入されたのであるから、クジラともあだ名され、日経平均株価の押し上げに大いに役だったのだが、20,000円を大きく下がる最近の日経平均株価で、大きな含み損を抱えているといわれている。

 もちろん売りに出されていないから、損失にはならない。しかしいざ、この巨大な資金を株式市場から引き上げるの、並大抵ではない。いくら株価が高い時であっても、大きな株価下落の要因になろう。

 もう一つとても大きな問題は、個々の企業の大株主にGPIFが、名を連れることになれば、民間企業経営者に政府の意志が強く働く可能性もあり、健全な経営ができなくなる危険性も考えられる。

 今日のダイヤモンド・オンラインに経済評論家の山崎 元氏が、わかりやすいGPIFの運用についての解説コラムを掲載されている。

 まあ、どう見ても巨大な資金で運用されるGPIFや日銀の株式購入などの、公的資金の介入は、健全な株式市場の運用に大きな歪を与えそうだ。 個人的にも年金資金の目減りの不安を感じざるを得ない。

(ダイヤモンド・オンラインより貼り付け)

GPIFに資産運用してもらうのは
国民にとって望ましいか?
山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
2016年2月17日

●国民はGPIFに1人当たり幾ら
運用してもらっているか

 金融市場の混乱で、GPIFの資産運用状況への関心も高まっている

 日本に数多の年金基金や運用機関があるにもかかわらず、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ばかりが注目されて気の毒だが、金額が大きいので例に使わせてもらう。

 GPIFは昨年度第2四半期末(9月末)時点で135兆円の資産を運用している。日本の総人口を1億2700万人とすると、1人当たり106万円と少々のお金をGPIFに運用してもらっていることになる。

 ちなみに、マクロ経済や予算などの数字で「1兆円」という数字が出てきたら、ちょっと不正確だが1億2500万人で割って、「国民1人当たり8000円」と計算すればいい。4人家族なら、3万2000円だ。

 このパターンで考えると、厚労省的標準家庭(夫婦+子ども2人)の場合は、世帯として400万円以上預けていると考えるのがいいかもしれない。

 さて、世代により、支払った年金保険料により、実質的にGPIFの運用成果の影響を受ける度合いには大きな個人差がある。公的年金に加入していない国民も税金を通じて国民年金の一部を負担しているし、年金には各種の税制上のメリットがあるから、納税者は年金加入者のメリット分を分担して負担しているともいえる。

 ただし、所得の高いサラリーマンは、厚生年金を通じて、平均的な国民よりもずっと大きな利害を公的年金の運用に関して抱えていることになる。読者がサラリーマンなら、GPIFには、1人当たり106万円よりももっとずっと大きなお金を託していると考えていい。

 GPIFの運用の好不調は、現在の年金受給者に直ちに反映するわけではない。しかし、2月15日の国会答弁で安倍首相が「想定の利益が出ないなら当然支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と述べたように、GPIFの運用の成否は、年金の条件に影響してくる。

 GPIFの「基本ポートフォリオ」によると、135兆円の25%が「国内株式」で運用されることになっている。単純に計算すると、33兆7500億円だ。再び日本の総人口で割り算すると、1人26万5700円だ。株価が約3.7%上下すると、1人当たり1万円儲かったり、損をしたりすることになる。

 日経平均を1万6000円と考えると、ざっと600円の上下がこれに当たる。ついでに申し上げると、日本の株価が上がる時には、外国の株価も上がっている場合が多いし、為替レートも円安になっていることが多いので(因果関係は、外→内であることが多いが)、この倍くらいのインパクトを考えておくといい。

 読者の中には、株式にも投資信託にも投資されたことがない方もいらっしゃるだろうが、公的年金を通じて内外の株式市場や為替レートの変動が、ご自身の損得にこれだけ反映しているのだから、関心を持って、少しはドキドキしてみるのがいいかもしれない。

●「よしてくれ!」か「ありがたい」か
GPIFの運用で検討すべきポイント

 さて、GPIFによる運用の損得が自分にも及ぶことを考えると、「頼んだわけでもないのだから、よしてくれ!」と言いたい方がおられるかもしれない。他方、「自分で運用しなくても、GPIFが運用してくれるのだから、ありがたい!」と感じておられる方が存在する可能性もある。

 読者は、どちらだろうか?

 個人にとっては、投資信託でも買うようなものだが、検討すべきポイントが幾つかある。思いつくものを挙げてみよう。

(1)運用の上手・下手
(2)運用手数料の高低
(3)株主としての適性(議決権行使など)
(4)情報開示とコミュニケーション

●運用は上手くも下手でもない
ただしリスクテイクの大きさは疑問

 GPIFのような主体の運用判断には、幾つかのレベルがある。大まかに言うと、(A)資産配分(アセット・アロケーション)、(B)マネージャーの選択と配分、(C)自家運用、の三段階だ。

 資産配分については、「基本ポートフォリオ」の影響が特大に大きい。仮に、現在の株価下落で巨額の損失が出たとしても、その8~9割の責任は、GPIFの運用部隊ではなく、基本ポートフォリオを策定し、承認することに関わった人々にある。

 絶対的な利回りが大幅マイナスであっても、基本ポートフォリオから計算されるよりも良い結果になっていた場合には、CIO(最高投資責任者)である水野弘道理事以下の運用部隊は褒められるべきである。運用常識的には、「文句は、基本ポートフォリオの策定者に言え」が正しい。公的年金の問題を追及しようとする野党の議員は、この点をよくわきまえるべきだ。厚労大臣、GPIFの理事長、運用委員会の委員長(有識者)などが、表のターゲットだ。ただし、裏のターゲットともいうべき実質は審議会等の舞台回しをしている年金官僚達だろう。

 つい責任論に力が入ってしまったが、話を元に戻そう。

 資産配分のレベルで、GPIFの運用が上手いか下手かを判断できるデータは現在存在しないが(結果レベルの良し悪しは評価できるし、するべきだが、スキルを推定するには大量のデータが要る)、平均的な個人よりは安定感がありそうだ。しかし、「個人」の側では、リスク水準を自分の好みで決めたいかもしれない。個人的推測だが、GPIFのリスクテイクは過大だと思う国民が多いのではないだろうか。

 次に、GPIFのような年金基金投資家の場合、運用は複数の運用会社に委託して行うので、運用会社の選び方・組み合わせ方において上手いか下手かという点が、運用結果に大きく影響するスキルとなる。

 この点に関しては、GPIFくらいの規模になると、極端な選択には走らないので、平均的な個人投資家よりは「ずっとマシ!」だと申し上げておこう。ただし、ベンチマークである株価指数に連動する低コストなETF(上場型投資信託)をじっと持つような「よく分かっている個人投資家」と、どちらが勝るかは微妙である。

●株式の自家運用はやめた方がいい
手数料は現状は模範的だが……

 さて、GPIFは、国内債券に関しては自家運用を行っているが、国内株式については現在自家運用を行っていない。近時、GPIFが株式についても自家運用するべきか否かについて議論がある。

 この場合、自家運用の目的が、(1)パッシブ運用の委託コストよりも低コストな運用を行うため、(2)アクティブ運用でベンチマークよりも高いリターンを上げるため、(3)選択的投資で(例えば「好ましい企業」の株式を買う)世の中に影響力を与えるため、のいずれにあるかが問題だ。

(1)は、可能であるかもしれないと思うが、どの程度の効果があるのか、試算を聞きたい。

(2)は、民間運用会社がやろうと思って上手くいかないことであり、GPIFなら上手くいくという根拠が考えられない。「根拠無きチャレンジ」でも温かく応援しようという優しい国民がどのくらいいるかが問題だが、やめた方がいい。

(3)は、公的機関による民間企業への介入そのものなので、少なくともこれまでの常識とは大きく異なる方針だ。

 本当に(2)や(3)のような愚かなことを考えているとは想像しにくいが、GPIFもそれ以外の公的年金基金も、JPX日経400のような、ベンチマークと異なるリスクを取る運用(=アクティブ運用)に、実績もないのにいきなり資金を投じるような非常識な行動を取るケースがあるので、油断はできない。国民としては、注意が必要だ。この件は、公的資金が政府の意向に左右されやすい性質を持つことの証拠の一つだ。

 GPIFが、運用を通じて国民に利益を与えているとすると、最大の貢献は運用手数料が安い資産運用を提供していることだろう。

 今後、アクティブ運用を拡大したり(アクティブ運用が優れているという実証的証拠は無いのだが)、オルタナティブ運用を取り入れるなど、金融業界に融和的な、手数料の高い運用を行うようになるとすれば(つまり「いい客」になるとすれば)、GPIFはせっかく持っている長所を失って、運用会社のセールスマンに騙されやすい企業年金レベルの運用に近づくことになる。

●日本企業の図抜けた株主として
どのように行動すべきか

 これまで筆者は、政府は、民間企業の株主としての議決権行使を通じて、経営に関与すべきでないと考えていた。さらに、企業に対する監督者でもある政府と、株主としての政府の間には、利益相反の可能性があり、そもそも公的資金が民間企業の株主にならない制度設計が望ましいとも考えている。

 他方、近年、むしろ政府系の資金が民間企業の大株主となり、企業の経営に積極的に関与することが望ましいと考える人が出てきたように思う。

 例えば、賃上げや設備投資を積極的に行い、さらにROE(自己資本利益率)を上げるような、政府にとって「望ましい経営」を、株主としての力を使って実現しようという考え方だ。

 付け加えると、社外取締役などを応援団にして経営者の給料を上げることによって、経営者をいわば「買収」して、その代わりに株主の利益を上げる(株主への価値配分を増やす)経営を行わせようとすることが、近時「ガバナンス改革」と呼ばれているものの正体のようだ。

 ここでは、あえて結論の押し売りはしないが、今や日本企業の図抜けた筆頭株主であるGPIFが、株主としてどのように行動すべきかは、国民があらためて考え、判断すべき問題であるように思う。

 ついでに言うと、2位の株主である日銀の保有株式も着々と巨大化している。彼らは、議決権行使をどうするつもりなのだろうか。運用会社に丸投げするのでは無責任だし、さりとて自らが議決権行使に関わるのは民間企業の経営への介入となる。保有株の議決権行使をめぐる構図は、公的年金と一緒だ。

●巨大すぎて情報開示しにくいGPIF
資産運用は「民間の方がよくできること」の筆頭

 個人投資家が投資信託を買うと、そのファンドを保有している限り、運用報告書やホームページ等を通じて、ファンドの運用に関する様々な情報開示を受けることができる。

 一方、GPIFのような巨大資金になると、現在何を持っていて、今後どのような行動を取る可能性があるか、という事自体が運用マーケットにおける第一級の相場情報になってしまうので、運用の「計画」も「報告」も大きな制約を受ける。

 これは、マーケットで通称「クジラ」などと呼ばれるGPIFの運用資金が巨額すぎることに根本的な問題があるのではないだろうか。

 もちろん、GPIFから運用を委託された複数の運用機関が、さまざまな情報収集や投資判断を行っており、それがマーケットに反映してはいるわけだが、巨額の資金を集めて運用することで、マーケットの実質的な参加者が減っているという面もありそうだ。

 筆者個人は、「民間でできることは、民間で」するのがよく、資産運用(特に株式投資)は、「民間の方がよくできること」の筆頭ではないかと思っている。付け加えるなら、公的年金の運用改革は、積立金の規模を縮小して、積立金を民間に返すことが最善の策であり、そのための現実的手段も十分あると考えている。

 読者は、どうお考えになるだろうか?

(貼り付け終わり)