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80歳を過ぎても、日々の生活を楽しく豊かにする電子機器を使いこなそう

SEALDsの行動で、日本の平和憲法の大事さを真剣に知るべきだ。

2015年08月25日 11時20分20秒 | 日記
 8月30日に、10万人規模の「反安保法制デモ」が予定されている。もし、10万人が国会を包囲したら、憲法違反の「安保法案」は廃案になっておかしくないといえる。

 筆者の学生時代は、岸信介首相の時代に日米安保条約反対の大規模なデモが国会周辺で行われた。

 あの時は女子大生の樺美智子さんが、警官隊や機動隊のデモ阻止活動に巻き込まれて死亡するという事件まで発展し、安保条約締結と引き換えに岸内閣は退陣した。

 しかし、あのころは結構、社会主義イデオロギーがプンプン匂うデモ活動であったと思う。

 その後の日本の状況を見てもわかるように、過激な全学連共闘の時代は終了し、学生運動は影をひそめてしまった。

 もちろん、その後の池田内閣の所得倍増論の政策実行以降、日本が高度成長の軌道に乗り、日本人の生活が一億総中間層と言われるくらい、それぞれに豊かさを味わえた結果でもあったろう。

 そして日本の安全は米国との安保条約で守られているという考えが、政界、官僚、メディアによって長期にわたり吹き込まれ、日本の右翼までが民族自立の精神をゆがめ、国防は米軍が主力、自衛隊はその支援戦力のような奇妙な形で推移していた。

 もしも米国の国力が強固なままであれば、戦後70年以降もそのままであったかもしれない。 しかしイラク、アフガニスタン、イランなど中東地域での米国の軍事関与が結果として失敗に終わり、米国は膨大な軍事費を維持できなくなり、日本に集団的自衛権という名目のもとに自衛隊の海外派兵を求めてきて、アーミテージなどの提言レポートに忠実に政策を行おうとしているのが、安倍政権の実体だろう。

 戦後の平和憲法は、筆者も書いてきたように、筋書きは米国から与えられた日本国憲法であったが、日本国民に平和主義と立憲デモクラシーがいかに大事なものであるかを、気づかせてくれたのが皮肉にも安倍政権であった。

 学生運動のSEALDsがイデオロギーに色づかず、本当に平和が重要だとの意識のもとに、安保法制の危険性を感じ取り、反対運動がだんだんと盛り上がってきている。

 このSEALDsの集会に内田樹氏が「安全保障関連法案に反対する学者の会」を代表して、連帯の挨拶を述べている。


(内田樹の研究室 より貼り付け)
 2015.08.24

8月23日SEALDsKANSAI京都でのスピーチ

 8月23日(日)15:30から京都円山公園で開催されたSEALDs KANSAIの集会で「安全保障関連法案に反対する学者の会」を代表して連帯の挨拶を述べた。
 ふだんは即興でやるのだが、この日は少し長めの時間をもらったので、原稿を作っていった。それをだいたい頭に入れて話した。現場でした話と細かいところは違うけれど、だいたいこういう話。

 安全保障関連法案に反対する学者の会を代表して、ひとことご挨拶を申し上げます。
 この円山公園での「戦争法案に反対する若者の全国一斉行動」にお集まりくださったすべてのみなさんに学者の会を代表して、感謝と連帯の気持ちを表したいと思います。

 そして、この間、一貫して忍耐強い、手作りの反対運動を全国規模で展開し、現に行われている国会審議にも強い影響力を及ぼし、さらに国内だけでなく、海外メディアからも注目されるに至ったSEALDs の学生諸君の献身的な活動に対しても、心からの敬意を表したいと思います。みなさんのご努力のおかげで、安保法制に対する反対の運動は、国民的な規模の「うねり」にまで高まりつつあります。

 僕が知る限り、過去にこれほど大きな規模の、国民的な政府への異議申し立ての運動が、いかなる既成の政治勢力や政治組織とも無関係に、自発的に、自分たちの手作りで、無名の学生たちがひとりひとりの個人的な発意に基づいて、文字通り「身銭を切って」創り出したことはありません。戦後70年をふりかえっても、このような運動のかたちははじめてのことではないかと思います。

 SEALDsのこの運動のかたちは、戦後70年にわたる平和主義と立憲デモクラシーの蓄積という土壌からはじめて生まれた「地場の平和主義、自前の立憲デモクラシー」のかたちだと僕は評価しています。

 日本の平和主義と立憲デモクラシーは、残念ながら、戦後日本人が手作りしてきたものではありません。 敗戦国として、戦勝国アメリカに「与えられた」ものです。ですから、それを「押しつけられた政治体制」だと言い張る人たちがつねにいた。そして、それがついには日本の政官財メディアの世界、それらの世界の指導層の中での支配的な意見になるに至った。安倍政権を支持し、安保法制の整備に賛成し、自衛隊の海外派兵を国威の発揚のチャンスであり、また絶好のビジネスチャンスであると信じている人たちが、いまの日本の指導層を形成しています。政界、財界、官界、メディアにおいては、すでに多くの領域で「戦争をしたがる人たち、戦争をするためには、平和憲法が最大の妨害であり、立憲デモクラシーという政体が非効率だと思っている人たち」がトップに立っています。

 みなさんは、そのような否定的な状況の中から立ち上がった。

 僕が一番うれしく思うのは、そのことです。みなさんが語る言葉は政治の言葉ではなく、日常のことば、ふつうの生活実感に裏づけられた、リアルな言葉です。
 その「ふつうの言葉」で平和主義と立憲デモクラシーが語られている。これまで、ひとまえで「政治的に正しい言葉」を語る人たちにはつねに、ある種の堅苦しさがありました。なにか、外来の、あるいは上位の「正しい理論」や「正しい政治的立場」を呼び出してきて、それを後ろ盾にして語るということがありました。

 でも、SEALDsのみなさんの語る言葉には、そういうところがない。自分たちとは違う、もっと「偉い人の言葉」や「もっと権威のある立場」に頼るところがない。自分たちがふだん学生生活や家庭生活のなかでふつうに口にしている言葉、ふつうに使っているロジック、それにもとづいてものごとの正否を判断している常識、そういう「手元にある道具」を使って、自分たちの政治的意見を述べている。こういう言葉づかいで政治について語る若者が出現したのは、戦後日本においてははじめてのことだと思います。

 僕が学生時代に経験した政治闘争から学んだことのひとつは、政治闘争は「持続」しなければならないということでした。いっときの高揚感や興奮によって、夢中になって、寝食を忘れて、家族との語らいも、友だちとの付き合いも、大学での勉強や、日々のふつうの学生生活を犠牲にして行う政治活動は長続きしない。持続できない運動は弱い。そのことを僕はかつて学びました。

 そのときに得た教訓は「自分が日常的に、何の気負いもなく語れるような政治的意見でなければ、どんなときにも、どんな抑圧や規制にも耐えて、持ち続けることはできない」ということでした。それこそ、朝起きて歯を磨いて、顔を洗って、ご飯を食べて、というような日常的なルーティンのなかに組み込まれて、自分にとってごく自然で、当たり前のもの、呼吸するように自然に口から出てくるような言葉だけが、どのように歴史的条件が変わっても、風雪に耐えて語り続けられる。「呼吸するように語る言葉」とは「それを口にすることを止めたら自分自身が死んでしまう言葉」だからです。

 SEALDsのみなさんのスピーチを聴いて、僕が感じたのは、この人たちはどんな局面でも、どんな人を相手にしても、今ここで言った言葉をそのままきちんと繰り返すことができるだろうということです。それは彼らにとっての「自然な言葉」「深く身体の中にしみこんだ言葉」「身体の奥底からにじみ出てくる言葉」だからです。

 そのような言葉づかいで戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーを擁護し、顕彰する言葉が語られる時代が来たことを、日本人のひとりとしてほんとうにうれしく思います。

 僕たちは安倍政権の登場、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして、戦争法案の強行採決衆院通過というかたちで、この2年間戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーが破壊され、踏みにじられ、否定される現場に立ち合ってきました。それは平和主義と立憲デモクラシーの敗北、その失敗を示すものでした。

 しかし、それと同時に、SEALDsの運動は平和主義と立憲デモクラシーが、この日本の土壌深くに根づき、こうしてみごとに開花したことを知る機会を提供してもくれました。これは戦後日本の平和主義と立憲デモクラシーの堂々たる勝利と成功のしるしだと僕は思っています。

 つまり、僕たちはいま、2015年の夏に、戦争法案の参院審議のさなかにあって、日本の平和主義と立憲デモクラシーの「死」と「再生」の劇に立ち合っているということです。法案が廃案になれば、それは平和主義と立憲デモクラシーの勝利です。決定的な勝利です。日本に外から「押しつけられた」と言われてきた平和憲法の理念が、ついに日本人自身によって選びとられ、その理念を自分のものとして語ることのできる「身体」を持ったということです。

 それが事実なら、これは私たち日本人にとって戦後政治史上最大の勝利となるはずのものです。そのような決定的瞬間に歴史的瞬間に、いま僕たちは立ち合っています。

 今日この場に参加したすべてのみなさんが、あと何年かしたあと、「2015年の夏に、日本は決定的な岐路にたっていた。そのとき、私は歴史の方向を変える運動に身を以て参加していた」と誇りを持って回想できることを願っています。
 ありがとうございました。

(貼り付け終わり)

東京株式市場、NY株式市場、上海株式市場、欧州株式市場すべて大幅下落。どうする経済対策?

2015年08月24日 23時31分47秒 | 日記
 今日の東京株式市場は、筆者が予測したよりももっと大幅に下がって取引が終わった。

 日経平均株価は18,540円  ▲895円 と一挙に18,500円のラインに下がってしまった。ここ1週間を待たずに2000円程度も下がっている。

 24日PM11時ころの日経225先物(大証)は 17,350円  ▲1,060円 と完全にメルトダウン状態だ。 

 中国の 上海総合指数は 3,209.90ポイント ▲297.84 Pとあっさり3,500Pを割ってしまった。

 先ほど開いたアメリカNY株式市場は、NYダウは8/24 9:35 現在 15,389$  ▲1,070$ ▲6.50% と、こちらも下落の幅を一段と広げている。

 金融の投資家が、株式市場から逃避しているのは明らかである。

 自国のドル、円、元などを切り下げる政策で、景気浮揚策を行った結果、あり余った巨大なマネーが不動産市場や株式市場に流れ込み、世界的な株高現象を生み出していたバブルの破裂とみても良いようだ。

 原油価格も下がっており、円相場も大幅な円高に向かっている。116円台を付けている時間もあった。

 確かに中国の経済減速が直接の原因ではあるが、株価などの金融面だけではなく、中国市場の減速は輸出入などの実質経済に大きな変動を与え、日本経済に大きな影響を与える可能性がある。

 これから年末にかけて、株式市場よりも実質的な日本経済の変動に十分注意を払う必要がある。


(植草一秀の『知られざる真実』より貼り付け)

頼みの綱の株価下落で安倍政権の危機加速
2015年8月24日

8月24日の参議院予算委員会で安倍晋三氏は、日本経済について「好循環は着実に回り、デフレではない状況を作り出した」「四半世紀ぶりの良好な経済状況を達成しつつある」と述べた。

しかし、この日、日経平均株価は前日比623円安の18812円で午前中の取引を終えた。
「四半世紀ぶりの良好な経済状況」とは矛盾する金融市場反応が観察されている。

「好循環が着実に回って」いるのかどうか、極めて疑わしい。

好循環を示す言葉として、安倍政権はしばしば、「トリクルダウン」という言葉を使う。

「トリクルダウン」というのは、企業部門の収益拡大が、企業で働く労働者の所得増大をもたらし、家計消費が増大して経済成長が促されるという「経済の好循環」を示す言葉なのだろう。

こうしたプラス循環が形成されれば、経済の安定成長実現を体感できることになるだろう。

しかし、現実は、このような「好循環」とはほど遠い。

勤労者の賃金所得の現状はいかなる状態にあるか。

厚生労働省が発表する毎月勤労統計に示される現金給与総額統計では、驚くべき数値が示されている。

事業所規模5人以上の事業所における勤労者の現金給与総額が、前年同月比で-2.5%の減少を示している。

賃金は増加ではなく、減少しているのだ。

しかも、減少率は-2.5%という大幅なものになっている。

2015年6月の消費者物価上昇率は、前年同月比で+0.4%だった。

物価上昇分を加味すると、勤労者の現金給与総額は、前年同月比 -2.9%の大幅減少を示している。

安倍政権が喧伝する「トリクルダウン」という好循環とは、まったく正反対の深刻な状況が広がっているのである。

たしかに、企業収益は増大して株価は上昇した。

しかし、その増大した企業収益が労働者の所得増大には結びついていないのである。

安倍政権は税制改定において、法人税を減税し、消費税を大増税する組合せを採用している。

そして、労働市場においては、企業が労働者を安い賃金で雇用できるための制度変更、労働者を簡単に解雇できるための制度変更などを、積極的に推進している。

他方で、一般庶民の生活をさらに窮地に追い込むべく、生活保護給付を切り込み、各種社会保険保険料を増大させ、医療費の窓口負担を増大させるなどしている。

大企業と、大企業のごく一部の高所得者層だけを潤わせ、大多数の労働者、一般庶民の生活を追い詰める政策を積極採用している。

「トリクルダウン」の好循環など、この日本にまったく存在していない。

まさに「弱肉強食化」だけが推進されているのである。

そして、安倍政権は中国経済と日本経済とが、切っても切れない相互依存関係にあることも見失っている。

中国との関係を悪化させることは、日本経済を悪化させることにつながり、日本国民の生活を破壊させることにつながるのである。

経済政策の基本路線の大転換が強く求められているのである。

(貼り付け終わり)

週明けの東京株式市場は波乱含み。 今後の株式市場の見通しは?

2015年08月23日 21時56分07秒 | 日記
 8月23日(日)も午後9時30分を過ぎている。

 ここ3日続けて、このブログでは世界や日本経済関連の話題を取り上げている。

 ブルームバーグの日経225先物(大証)取引は 19080円  ▲350円 を表示している。24日からの週明けの東京株式市場は一気に19,000円の攻防戦になりそうな雰囲気だ。

 最新号の週刊誌等では日経株価3万円に、などと掲載されているが、週刊誌の編集印刷の数日間のうちに大きく変動してしまったようだ。

 果たして株価が3万円を目指して、急速に戻るであろうか?

 中国の経済減速は、住宅バブルといい、今回の株式市場の下落といい、単純なバブルの収束は非常に困難で、中国経済が軌道に戻るまでには、かなり長期間がかかりそうな様相なのだ。

 小幡 績准教授(應義塾大学)が 「日本の株価暴落が、世界一深刻になる理由」と題したコラムを、東洋経済オンラインに公開している。

 株式投資を始めた人たちは参考資料として是非お読みください。


(東洋経済オンラインよりはr

日本の株価暴落が、世界一深刻になる理由
世界的な株価の下落はまだ終わっていない
小幡 績 :慶應義塾大学准教授
2015年08月22日

 7月のコラムでは、中国株バブルはいったん崩壊したら、戻ることはない、また危機はやってくる、と書いた(「中国バブル崩壊」の本当のリスクとは何か)が、現在は中国だけでなく、世界的な株価崩壊が始まったかどうか、という段階まできた。

●なぜ株価はこれからもっと下落するのか

 世界の株はどうなるのか。日本株はどうか。個人的な予測は、世界も日本も下がる。日本がもっとも大きく下がる、というものだ。

 なぜか。一つ一つ説明していこう。

 世界の株式はずっと上昇を続けてきた。欧州は紆余曲折あったが、結局、上昇トレンドで来た。米国は、暴落の反動で、また異常な金融緩和により、相場上昇は加速しただけでなく、長期化し、約6年間上昇が続いてきた。景気も同様で、米国実体経済は6年間、好況が続いてきたのである。これが反転しない、というわけにはいかない。

 景気とは景気循環であり、その言葉の定義からも構造からも、循環するものであり、上昇すれば下落する。 好況が続けば、過熱して、停滞から不況へと向かう。 山高ければ谷深し。 これは、日本のバブル崩壊だけでなく、バブルも景気循環も同じであり、今後は、好況が終わり、その調整は大きく、長期にわたるだろう。

 ただ、これは米国経済よりは中国経済について深刻である。 それは、中国の景気上昇が、高度成長期という中期的な構造要因もあって、長期に高い実体経済の成長を続けてきたからだ。 そして、不動産バブルは長期にわたり、また全土に広がり、そして水準も高く、崩壊すれば、長く深い崩壊となるだろう。

●個人の「バランスシート調整」が長引く可能性

 中国不動産バブルには、さらに2つ致命的な問題がある。 第一に、個人が投資の主体であるにもかかわらず、自己使用のための住宅ではなく、純粋な投資物件で、売りやすいように未入居のままにして売却を狙ってきたことだ。

 これは完全にバブルだ。 だがバブルが崩壊したときに、商業用不動産を企業やファンドが投機の対象とした場合には、崩壊は激しくなるが、短期で調整も終わる。 しかし、個人では、損切りや倒産が難しいから、調整が長引くと言うことだ。 だから1回暴落して、回復してきたように見えても、それは見せかけであり、さらに深い底が待っている。

 二つ目の致命傷とは、まさにこのことだ。中国不動産市場は回復を見せている。 特に深センが一見勢いよく回復しているが、これは勢いがありすぎて、今後の調整が深くなるだろう。

 なぜ、中国について長く語る必要があるかというと、中国の資産市場、不動産市場と株式市場は、他の市場から独立しているからだ。

 あれ?それなら、世界市場には影響ないのでは?というのが普通の印象だろう。 その通りだ。世界的な暴落の伝染は、投資家が同じ投資家であること、機関投資家が大規模に世界的に投資しているから起きる。 そして、彼らはプロ中のプロだから、極めて論理的に行動するから、彼らは同じタイミングで売るときは売るし、買うときは買う。 リスクオフになれば、世界同時にリスクオフとして売るから、同時に下落するのだ。

 しかし、中国の投資家とは中国の個人と事業会社だとすると、世界のリスク資産市場から隔絶されており、暴落の伝播はない、というのが理屈である。 それなのに、なぜ今回の世界暴落の時に中国が一番重要なのか。

 それは、今回の株式市場の暴落が、中国の金融政策によるものではなく、米国の利上げという金融政策によるものでもなく、純粋に、中国経済の後退を中心とする世界的な新興国の実体経済の低迷が理由だからだ。 この暴落は、ある意味静かで怖い。

 なぜ静かで怖いかというと、パニックで非合理的に投資家が投げ売っているからではないからだ。 金融的理由による売りなら、売りが出尽くせば、それで止まる。 また、パニックになればなるほど、すべての膿は吐き出され、冷静に戻った後では、買いが入りやすい展開になる。

 要は、気分の乱高下に市場がつきあわされる、 あるいは市場が投資家を錯乱させ、それがブーメランのように市場に返ってくるだけだ。 ところが、実体経済の停滞という理由で世界的に売られると、回復には実体経済が戻らないといけない。 それには時間がかかる。 だから、今回の下落は深刻なのである。

●日本のバブルが崩壊するのも早い

 最後に、なぜ日本の株価がなぜ世界の主要国で一番下がるかを述べよう。 それは、日本が一番上がってきたからである。 日銀が買う、GPIFが買う、という理由で海外の投資家が買い、GPIFが買うから海外の投資家が買うから、と言う理由で国内の投資家も買い、個人の投資経験の浅い人々も、最後にその流れに乗ってきた。

 だから、下がり始めれば、日本だけは、金融的なセンチメントでも下がるのである。 しかも、下手に公的に近い組織が買い支えるように見える展開が続くと、落ちたときにそのショックは大きくなる。 他人が買うから自分も買う、というのは、まさにバブルであり、崩壊するのも早いからだ。

 今後、株価は乱高下と言うよりは、次第にいったん戻したり、また下がったり、という一進一退を繰り返すようになるだろう。 そのときに、明示的な、大きなネガティブショックが来たときが、大きく崩壊するときだ。それは日本発ではなく、中国か米国発だろうが、そのときに一番下がるのは日本であろう。

(貼り付け終わり)

株式市場はメルトダウン寸前。内田樹氏×水野和夫氏の対談は一見の価値あり。 

2015年08月22日 11時52分02秒 | 日記
 昨日のブログで日本の経済問題を書いたのですが、その後東京株式市場の終値は日経平均は19,435.83 円▲597.69 円 一日で2.98% の下落を生じた。

 その後のNYダウは再び大幅に下落し、16,459.75$ ▲530.94$ ▲3.12% という結果で終わった。

 為替相場も、ドル(円)122.02-06 と円高に振れてきている。

 中国の上海総合指数も、3,507.74 ▲156.55 と3,500ポイント割れ寸前だ。

 週明けの金融市場はかなりの波乱が予想される状態だ。

 筆者が、分析の確かさで高く評価している水野和夫教授と、時々このブログでも紹介している内田樹氏の対談が週刊現代に載ったが、現代ビジネスで公開されている。

 いたるところで過剰生産に陥り、資本主義が限界を迎えた世界の中で、これからどう生きるべきかを、多方面にわたり話し合われており、筆者も納得できる内容であった。

 水野氏は対談の最後で、「カネ儲けばかり考えるのではなく、「縮んで豊かになる」思想が必要とされています。」と結んでおられる。


(現代ビジネスより貼り付け)

【特別対談】内田樹×水野和夫 
資本主義の限界とニッポンの未来〜経済が縮み続ける時代をいかに生きるか

2015年08月21日(金) 週刊現代

日本は好景気って、本当なのだろうか—。ニュースを見ながら、ふと疑問に思ったことが誰にでもあるだろう。転換期を迎えている経済の「仕組み」について、思想家と経済学者が語り合った。

●中国バブル崩壊は必然

内田樹 水野先生とは、前々からお話ししたいと思っていたんです。先生は昨年ベストセラーになった『資本主義の終焉と歴史の危機』で、いま資本主義が限界を迎えていることを、経済史を紐解きながら説明されていた。
 株式市場の動向や企業の四半期決算など、狭い範囲の、短い期間の情報に振り回される経済学者が多いなか、先生は時間的にも空間的にも「ビッグデザイン」を描かれていて、新鮮でした。

水野和夫 現在の世界では、いたるところで過剰生産に陥り、これまでのような経済成長はもはや見込めません。これは13世紀以来、8世紀に及ぶ資本主義の歴史でも初めてのこと。世界経済は、歴史上の転換点にあると書いたのが、拙著でした。

内田 水野先生のお話からは、資本主義が限界を迎えた世界の「これから」について、しっかりと考えないといけないと思わされます。
 しかし現実には、一般の人たちでさえ、経済成長政策に期待を馳せ、毎日の株価に一喜一憂している。カネ儲けばかり考えているようです。

水野 そうですね。資本主義が行き詰まる一方で、カネ儲けに躍起になる人々が溢れている。
 そんな世界の象徴が、中国経済です。大きな歴史の流れの中で、中国がバブルの崩壊過程にあるのは間違いないでしょう。
 '80年代の日本では、株や不動産の異常な高騰とともに、実体経済よりも過剰生産に陥った結果、バブルが崩壊しました。中国の現状はさらに過剰です。一例を挙げると、中国のGDPは世界の1割なのに、粗鋼生産は5割も占めています。

内田 中国に限らず、消費動向というものは幻想だと思うんです。日本のバブルの時も、時給750円のラーメン屋のアルバイト店員が全額ローンを組んで、ロレックスの腕時計をはめていたものです。
 それは、将来的に収入が増え続けるという幻想に基づいた消費行動で、本人の実力とは無関係。だからやがてどこかで行き詰まる。「爆買い」に走っている中国も同じです。

水野 中国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立するのも、「カネを貸すから中国製の鉄を買ってビルでも建てろ」ということでしょう。バブル時の日本の金融機関がそうだったように、AIIBはグローバルな規模で不良債権を抱える危険が高いと見ています。

内田 それでも世界の国々が擦り寄るのは、「鉄火場」がそこにしかないからでしょう。

水野 要は、世界中どこを探しても成長市場などなくなってしまったということです。'90年代以降の世界経済は、「3年に1度バブルが起こり、それが崩壊する」ことを繰り返してなんとか維持しているだけ。中国の場合は、リーマン・ショック後の不況を4兆元(約80兆円)という大公共投資でなんとか救ったわけです。

内田 バブルの後始末をするには、次のバブルをしかけるしかない。

水野 ええ、しかも次のバブルは前回より大きくなければいけない。

内田 ほとんど「バブルの覚醒剤中毒」ですね。もちろん、その中国バブルが崩壊すれば、日本にとっても他人事ではない。

水野 中国人富裕層による日本国内での消費も、打撃が避けられない。 中国人の購入で高値を維持してきたタワーマンション市場にもブレーキがかかります。 投資ファンドの人たちのように、「下げ」でも儲けられればいいのでしょうが、それほどしたたかな日本人は少ないですからね。

●株価が上がれば幸せか

内田 その投資ファンドの格好の餌食になっているのがアベノミクスなわけですが、正直言って、株価は上がっているものの、好況だという実感はありません。

水野 黒田東彦総裁の号令のもと、日銀がマネーの量を2倍に増やしたことで為替は円安になり、株価は2倍になりましたが、結局はそれだけ。景気はよくなっていません。

内田 不思議なのは、景気がいいという実感はないけれど、株価が上がっているからよしとしようというムードがあること。株価と生活はほとんど関係ないですよね。

水野 私はNHKのニュースで毎日、株価を伝えるようになったのがいけないと思うんですよ。

内田 昔は、プロレスの結果なんかを報道していたのに(笑)。

水野 株価の上がり下がりに必要以上に注目が集まり、株価が経済の状況を示していると錯覚してしまった。'87年のNTT上場が、国民が株に一気に興味を持ったきっかけだったように思えます。

内田 今年秋に予定されている「ゆうちょ銀行」の上場でも、同じことが起こるかもしれませんね。

水野 でも、株価なんて、普通に暮らしている人は知らんぷりをしていればいい。 いくら株価が上がったところで、一人あたりの実質賃金は25ヵ月間連続で低下していたんですよ。 バブル時は給料が上がりましたが、いまはまったく違う。

内田 いまは年金も株で運用しているから、「株が上がれば国民全員幸せ」という状況にされている。しかしそれも困りモノです。全国民が、知らない間に賭場に引きずり込まれているようなものです。

水野 幸い株価が上がっているからいいのですが、相場は上がれば必ず下がります。相場が崩れたら、損をした分の年金は税金で補填するしかない。

●「いらないモノ」を作っている

内田 株で儲けているのは一部の金持ちだけなのに、株のバブルが弾けると国民全員の懐から持って行かれる。なぜ、国はそこまでして国民にリスクを取らせたがるのでしょうかね。

水野 先にも言いましたが、世界のどこを見ても「成長市場」がないわけですから、いまあるところからむしり取ることでしか、経済を維持できなくなっているのです。労働法を改正して裁量労働を拡大しようとしたり、雇用の流動化を図ったりしているのも、賃金を下げていくための仕組み作りでしょう。

内田 まず、一部が金持ちになると格差が生まれるものの、高所得者層の経済活動が活発化すれば、やがて低所得者層にも富が行き渡ると言われます。ですが、そんな見込みはないですよね。

水野 むしろ貧乏な人をさらに貧乏にさせることで、お金持ちは自分たちの地位を維持することを考えているわけですから。

内田 一部の欲深い経営者たちが自分たちの利益を増大するために、アベノミクスや労働法改正を支持するのはわかります。でも、生活が苦しくなっている国民の中にも、そんな安倍政権の政策を支持する人が一定数いて、高支持率を生み出していた。これは理解しがたかったですね。

水野 しかし、最近は支持率も低下傾向が続いていますね。

内田 国民がすでに安倍政権に飽きてきていますから。7月15日の衆議院特別委員会での安保法制の強行採決は、再登板後の安倍政権のピークになるんじゃないでしょうか。なにしろ憲法学者たちが違憲だと言っているのに、説明もろくにしないまま強行採決した。これほどの暴挙は、なかなかできるものではない。

水野 たしかに安保の話を持ち出したころから、経済政策に対する期待も低下した感があります。最近はアベノミクスという言葉を聞くことすらありません。
 安倍総理のこれまでのパターンでは、こういう場合、景気刺激策によって経済面での支持回復を図りたいところなのでしょうが、それももう難しい。東京オリンピックをアベノミクス「第四の矢」だと発言したのも、結局他に手がないことの裏返しでしょう。

内田 消費が伸びない、多くの中小企業が不振に喘いでいるという長年の課題も、解決する兆しはないですよね。周りを見渡しても消費者が求めていないものばかり作っている気がします。

水野 いまの世界が陥っている過剰生産は、マルクスの言う資本主義の「宿命」です。
 世の中が貧しいときは、供給する側が需要を作れる。つまり、モノがあれば買う人がいるからそれでも経済が維持できるのですが、資源が行き渡り、成熟した社会では無理。それでも企業は仕事をしないといけないから、いらないものでも作るしかない。

内田 以前、ある電機メーカーの人から、「半年に1回新製品を出して、その度にコストを削減するのがノルマだ」と聞きました。それが当たり前の社会は間違っていませんか。

水野 これからは、企業が利益至上主義からゆっくりと脱却していくのではと私は考えています。企業の付加価値は、人件費と資本維持の減価償却費、あとは利益。仮に利益を出さなくていいと決めれば、人件費は今の1・5倍にできるし、雇用も増やせるのです。
 利益が増えないと株価が上がらないから株主は怒るでしょう。「俺たちはリスクをとっているんだ」と言うかもしれません。しかし、預金者だって金利はほとんどゼロ。しかも、預金は金融機関を通じて国債を買わされているから、株主以上にリスクも取っている。

内田 会社は利益を追求するものだと考えていますが、そもそもは、人が生きるために会社がある。そう考えるべきですね。

●国債は放っておけ

水野 企業が利益を出さないと税収も減り、1000兆円にもなる国の借金が返せないという意見があります。

しかし、国債は国にとっては借金ですが、国民からすると資産です。国民の預金で銀行は国債を買っているわけですから。国民が資産として持ち続けるなら、国債は永久にそのままでいいわけです。

内田 なるほど。

水野 資本主義が限界を迎えるいま、これからは世界的に「撤退戦略」が問われます。日本も経済規模が縮小するなかで、どう生きていくかを考えないといけません。経済史の視点で言えば、その参考になるのは戦後のイギリスでしょう。

内田 7つの海を制したイギリスが、戦後わずか10年の間に一つの島国にまで落とし込んでいった。それで社会保障負担の増加や国民の勤労意欲の低下という「英国病」が起きたわけですが、むしろそれくらいでよく耐えたと言える。

水野 イギリスは'90年代以降、再び経済成長することができたわけですが、これからの世界の国々が迎えるのはそのまま縮み続ける将来です。

内田 その縮み続ける経済を考える上で、日本の一つの未来の形は、やはり地方回帰だと思います。
 その動きはすでに若い人を中心に広まっていて、2012年には9000人が自治体の移住支援を利用している。制度を利用せずに移住した人まで含めれば2万人以上という説もある。彼らは「地方で一旗揚げよう」というのではなく、「農業で食べていければそれでいい」と考えているんです。東京では食えないリスクがあるけど、農業をやっている限り、飯は食えますからね。

水野 カネ儲けばかり考えるのではなく、「縮んで豊かになる」思想が必要とされています。
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うちだ・たつる/'50年生まれ。神戸女学院大学文学部名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『聖地巡礼 熊野紀行』(釈徹宗との共著)、『日本の反知性主義』(編著)など

みずの・かずお/'53年生まれ。経済学者。日本大学国際関係学部教授。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官、内閣官房内閣審議官を歴任

「週刊現代」2015年8月15日・22日合併号より

(貼り付け終わり)

日本経済の減速が明らかになりつつあるのに、安保法制にかまけてて良いのか?

2015年08月21日 14時21分47秒 | 日記
 安倍首相が米国議会で、大見えを切って安保法制をこの秋に成立させると講演してから、ここ数カ月日本のメディアも国会も、集団的自衛権や安保法制の報道や審議に明け暮れている。

 しかし考えてみると、日本の周辺国との関係で、このような法案を何が何でも早急に成立させる必要に迫られている緊急度などは無い。

 政府が例に挙げた緊急事態の例は現実感が乏しく、自衛隊を米国の要請に基づいて、中東周辺に派遣できるようにしたいがための審議であるのは見え見えだ。。

 その結果は、日本の財政や経済の立て直しに真剣に取り組んでいなかったつけが出て、中国経済の変調に対応する手を、日本はほとんど打っていなかった。

 日本を訪れた中国観光客の爆買いの話は、おもしろおかしく伝えていたが、中国が明らかに高度成長が終わり、大幅な経済減速に入っている事実を知らない筈がなく、日本政府が真剣に対応の手を打っていなかったのは事実だろう。

 なんといっても人口規模が日本の十倍もある中国である。しかもここ十数年近くの間に、あらゆる工業製品や加工食品などを、大量に世界中に輸出し外貨を稼いできていた。

 その中国経済が減速に入るや否や、使用する石油、鉄や銅などの原材料価格の大幅下落が始まり、それらを輸出していた諸外国の景気の減速をもたらした。

 米国でも原油の値下がりで、シェールオイル業界は倒産の危機を懸念されている。

 中国の輸出・輸入量の減速は、即、日本の港湾にも影響を及ぼし、ここ6カ月以上港湾の取扱コンテナ数の数量減が話題になっている。

 中国の株式市場である、上海総合指数は政府の数度に渡る元の切り下げ効果も歯止めがきかず、今日の時点でも最安値に落ちた3500ポイントに、再び近付きつつある。

 米国NY株式市場も、世界経済の減速の影響を懸念した結果だろう、昨日は358$も一気に下落し、NYダウは16,990$で取引が終わっている。

 今日の東京株式市場も、当然この流れを引き継いでいる。午後2時15分頃の日経平均株価は19,500円と、▲533円も大暴落し、あっさり2万円を割り、19,500円に落ち込んでいる。

 直近の日本のGDP値も▲1.6%とさえない状態で、どう見ても日本の景気も腰折れしてきている。

 日本の経済は、かっての輸出で稼ぐ時代はとっくに終わっており、今や個人消費がけん引する時代なのであるが、財政赤字が膨らむ一方であり公共投資に回す金もおぼつかない。

 今は日本の経済運営に政治家も必死に取り組む必要がある時であるのに、安倍政権が安保法制に全精力を注いでいるのが片手落ちに見えて仕方がない。