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中国株式市場のバブル崩壊が、世界中にリセッションを引き起こす危険性。

2015年08月03日 15時15分24秒 | 日記
  藤 和彦氏はJBプレス上にエネルギー関連、石油業界の情報コラムを、継続して書いておられる。

 8月3日の中国株式市場である上海総合指数も政府のテコ入れが行われていると思うのだが、じりじりと下落しており、売り圧力が強いようだ。

 中国が不動産バブルから株式のバブルへと移行し、投資家の損害額が莫大に拡大しているのではないかと推察できる。  

 中国経済が実物経済の生産活動が活発であった時代は、原材料価格の上昇も当然の結果であったと思われる。

 しかし、不動産バブルに見られるように、実需に基づいた初期の住宅建設の活況であれば問題なかったが、住宅価格の上昇とともに実需以上に投機的なマンション建設のバブルが発生し、多くの売れ残りのマンションが林立するゴーストタウン化してしまった。

 その後、不動産から株式へと政府の音頭取りもあったようだが、投機資金が株式市場に注ぎ込まれるようになった。

 結果としてバブルの破裂から、自動車などの高額商品の販売数も激減し、それに伴う生産の減少から原材料価格の下落が始まる。

  藤 和彦氏が専門とする原油市場の価格下落は、米国のシェールオイル価格の下落とシェール業界の破綻の危険性を指摘している。

 一時は持ち直していたWTI原油価格もバーレル当たり50$を割り込み、藤 和彦氏は30$割れに突入する可能性も示竣している。 こうなるとシェールオイルの掘削コストは完全に赤字になり破たん企業が続出する事になろう。

 最近の中国経済の規模が大きいだけに、中国経済の変調は世界中にリセッションを発生させる危険性があるのだ。

 日本も人ごとではない。 デフレからの脱却は、日銀のコントロールだけで行われるものではなく、世界経済の繋がりは切っても切れない関係にあり、中国への輸出が減少したり、日本の中国進出企業の生産減などで、日本企業の収益悪化なども充分考えられる事なのだ。

(JBプレスより貼り付け)

中国株暴落が引き起こす「21世紀の世界恐慌」
世界的リセッションで原油価格30ドル割れも?
藤 和彦
2015.8.3

 「中国株は今後14%下落へ、1929年株価大暴落に似た動き」。2015年7月28日付ブルームバーグは、1カ月足らずで時価総額4兆ドルが吹き飛んだ中国株式市場の上海総合指数の動きが「1929年に最大48%下落した米ダウ工業株30種平均と類似の値動きだ」とする市場関係者の分析を紹介した。

 上海総合指数は今年6月以降売られており、中国政府がまなじりを決して株価対策を講じているものの、7月27日に一時2007年以来で最大の下げを記録するなど一進一退の攻防が続いている。

●中国各地に出現したゴーストタウン

 7月28日付ブルームバーグは、「オンライン融資業者などからの借り入れによる中国株投資額は7000億元減少、今年のピークから61%落ち込んでいる」ことを報じている。 バンク・オブ・アメリカ(BOA)は、中国株投資へのレバレッジ(信用取引などを用いることで手持ちの資金よりも多い金額を動かすこと)が非常に大きいため、「株価下落に伴う信用ポジション(7.5兆元以上とされる)の解消が中国市場の悲劇を助長する」と予測する。

 また、株式急落を受けて中国企業の多くが資金を自社株買いに投じているため、社債の償還原資が減少するとの不安も広がっている(7月29日付ブルームバーグ)。

 このような株式市場をはじめとする金融市場の動揺は、中国経済が1980年代以来の高成長の果てに大きな壁にぶつかっていることを示しているのではないだろうか。製造業の過剰生産能力、中流層にのしかかる不動産や株式投資にかかる損失、家計債務の膨張などの問題があることを知りつつ、当局が資産バブルを傍観してきた代償は大きい。

 2014年7月頃から株式市場は上昇を始めたが、その半年前から不動産市場の下落が始まっていた。中国の不動産市場は自己居住用よりも値上がり期待の投資用が多いため、誰も住まない「鬼城(ゴーストタウン)」が全国各地に生まれる。このようなゴーストタウン住宅への投資の損失があまりにも大きくなったため、投資家が損切りして資金を株式市場に移したと言われている。だが、株価高騰という資産バブルは一番始末が悪い。住宅価格の一般的水準を見定めるのは難しいが、株価というはっきりしたシンボルの急落は誰の目にも明らかになるからだ。

●中国発の資源安が米国に波及

 中国経済が無理に無理を重ねた高成長のツケを支払う時期がついに到来しているようだ。世界経済もこれに巻き込まれる可能性が高い。

 7月29日、米フォード・モーターは「(世界最大の)中国の今年の自動車販売台数は少なくとも1998年以来初めて前年割れする可能性がある」との見解を示した(独フォルクスワーゲンも同様の見方をしている)。足元の株安で中国経済が冷え込み、世界経済の成長を大幅に押し下げることが懸念され始めている。

 7月29日付日本経済新聞が「中国不安、米市場に波及」と報じているように、中国発の資源安は米国のエネルギー分野での人員削減を加速し、エネルギー分野の株安を通じて米国株式市場全体の波乱要素となる可能性がある。

 石油大手シェブロンが全従業員の2%に相当する1500人をレイオフする方針を7月28日に明らかにするなど、原油価格のさらなる下落で石油業界の人員削減が加速する兆しが出始めている。

 S&P500種株価指数の業種別騰落率を年初来で見ると「エネルギー」がマイナス13%で最も大きな下落幅を記録した。中でもエクソンモービルやシェブロンの下げが目立っている。

 原油やその他コモデイテイの価格が軟調なため、ブルームバーグのコモディテイインデックスは2008年のリーマン・ショック後の最安値を更新し、過去13年間で最も低くなっている。特にリーマン・ショック後も価格が下がらなかった金価格の下落が際立っている。一儲けを企んだ中国のファンドが金売りを仕掛けたとの噂もあるが、ゴールドマン・サックスが「過去1年間の中国からの資金流出額は7610億ドルに達した」と推計しているように、資金繰りに窮した中国勢の投げ売りだった可能性が高い。

 7月28日付ロイターによれば、世界の金需要は今年第2四半期に過去6年間で最も低い水準に減少した。最大の消費国である中国の投資家が資金を株式市場に移したため、個人による金投資は第2四半期に4分の1減少したのが主要因である。しかし、6月中旬以降の中国株下落は金相場の支援材料とはならなかった。金融市場が大きく変動している局面で「投資家は身動きがとれず、他の資産への切り替えに慎重になっていた」からだという。

●世界経済はリセッションに?

 目を世界経済全体に転じると、リーマン・ショックを引き起こす遠因となったグローバルインバランス(世界的な経常収支不均衡)の改善も遅々として進んでいない。

 IMFは7月28日に公表した年次報告で、「中国やドイツといった経常収支黒字の多い国は内需を拡大し、世界の成長を抑制している不均衡の是正に貢献する必要がある」と指摘した。“中国やドイツの経常収支黒字”と“米国の経常収支赤字”という世界的な不均衡は、リーマン・ショック以前に比べて縮小しているものの、ここ数年ほとんど進展していない。業を煮やしたIMFは「需要拡大がなければ世界経済の低成長は長期化する」と警告を発しているのだ。

 折しも7月24日に発表された7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が、市場の予想に反して低下し、1年3カ月ぶりの低水準となった。そのため、「中国をきっかけに金融市場の悪化が進めば、FRBの9月利上げは先送りするのではないか」との観測が急速に広がりつつある。「中国が近く世界をリセッション(景気後退)に陥れる恐れがある」(モルガンスタンレー)と危機感を露わにする関係者も少なくない。

 リセッションに陥らなくても、このところの商品価格下落で「世界中の投資家と中央銀行は昨年襲われたデフレに対する恐怖感に再び苛まれつつある(7月28日付ロイター)」。中国をはじめとする新興国経済が急速に減速している中で、米国や英国、欧州大陸で景気回復が進んでいても十分な物価上昇圧力を生んでおらず、消費者物価の上昇率はすでに世界的にほぼゼロで推移しているからだ。デフレの長期化は、債務の実質価値が増大して返済がより困難になるため、債務の水準が高い家計や企業、政府にとっては深刻な打撃となる。

●資金繰りに苦しむエネルギー関連企業

「過重な債務」と言えば米国のシェール企業である。個々の企業が頑張れば頑張るほど業界全体が沈んでしまうという「蟻地獄」の構図がますます鮮明になっている。

 米石油サービス会社であるベーカー・ヒューズが7月24日に発表した週間調査によると、米国内の石油掘削リグの稼働数は21基増え、5月下旬以来の高水準となる計659基となった。増加数は2014年4月以来最多で、シェールオイル主要生産地の全てで稼働数が増えた。このような状況から、モルガンスタンレーは「米国の石油掘削会社はリグ稼働数を年初来から半分以下に減らしたが、原油生産量は過去最高に近い水準で今年を終える」との予測を発表した。確かに足元の生産量は日量950万バレル超という高い水準のままである(今年のピークは6月5日までの1週間の日量961万バレル)。

 7月28日のニューヨーク原油市場でWTI先物価格は一時は3月24日以来の安値となる1バレル=46ドル台まで下げ、今年1月に記録した同42ドル台を下回る可能性が出てきた。モルガンスタンレーは「金価格は1トロイオンス=800ドルまで下落する」との見通しを示しているが、その時点での原油価格は1バレル=30ドル割れを起こしているのではないだろうか。

「ニュースはたくさんあるが、エネルギーセクターにとって良いニュースは1つもない」「雪崩に向かって進むのはその人の責任だ。今はリスクを避けようとする取引が活発だ」というコメントが示すとおり、市場関係者のセンチメントは芳しくない。投資家による原油相場上昇を見込む買い越しは、過去3年で最大の減少を示した(7月27日付ブルームバーグ)。

 WTI先物価格が6月以降20%以上下げたため、ブルームバーグ・インテリジェンスの北米独立系探査・生産指数の構成銘柄の時価総額のうち「約1000億ドルが吹き飛んだ」。中でも米小型エネルギー株は最悪の状況である。エネルギー関連企業の発行が多いジャンク債に投資する代表的な上場投資信託(ETF)である「SPDR バークレイズ・ハイ・イールド債券 ETF」は、2014年12月以来の安値水準をつけた。エネルギー関連企業はリーマン・ショック直後よりも資金繰りが厳しい状況になっている可能性が高い。

●「中国発リーマン・ショック」が世界を襲う

 最後に冒頭に触れた「1929年世界恐慌」について一言。

 第1次世界大戦後「永遠の繁栄」を手に入れたとされる米国の株式市場は、「暗黒の木曜日」と呼ばれる1929年10月24日に大暴落した。暗黒の木曜日が世界恐慌の直接の原因とされているが、世界恐慌に発展する重要な契機は1931年5月に生じたオーストリアの大銀行(クレジットアンシュタルト)の破綻であったことはあまり知られていない。

 同行の破綻に続いてドイツ第2位の銀行が倒産するなど「危機」の波は瞬く間に欧州を席巻した。その後、欧州の銀行破綻の「津波」が米国に押し寄せたため、1933年2月に米国の全銀行が業務停止に追い込まれた(破綻した銀行は約1万)。このため同年の米国の工業生産は1919年に比べて3分の1以上縮小し、1200万に及ぶ失業者があふれた。

 このようにグローバリゼーションがもたらす危機の相互連鎖が世界恐慌の本質である。

 翻って「世界の金融市場を中国発のリーマン・ショックが襲うのではないか」と囁かれ始めている昨今だが、中国で「不動産 → 理財商品 → 株式」というバブルリレーが崩壊し、これが原油価格暴落を通じて米国の債券市場に大打撃を与え、その悪影響がブーメランとなって中国に逆流すれば、巨額の不良債権を抱えた金融機関が中国全土で破綻する可能性がある。そうなればリーマン・ショック後にも生じなかった「21世紀の世界恐慌」になってもおかしくない。残念ながら世界はその方向に向かいつつあるように思えてならない。

(貼り付け終わり)