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川内原発再稼働を急ぐ、政府の本音をメディアはさらけ出すべきだ。

2015年08月12日 11時05分27秒 | 日記
 九州電力が鹿児島県の川内原発1号機を再稼働させた。再稼働に反対の世論調査が半数以上であると言うのにだ。
 
 一体なぜ政府がここまで原発の再稼働を急ぐのであろうか?

 もともと読売新聞の正力松太郎が日本の原発導入の旗振り役であったから、読売の社説を読んでも、政府の方針に全面的に賛成の姿勢だ。全く政府の広報紙といっても良い内容である。

 その社説の中には「原発は燃料費が安く、安定して発電できる重要なベースロード電源だ」とぬけぬけと書いている。

 原発の稼働のコストは一体いくらかかっているのか。たんなる燃料コストだけで見るのは大間違いで、福島のような過酷事故が発生した場合のコスト、住民や地域への補償費用も膨大であり、使用済み核燃料の根本的な処理コストも未算定が現状である。その上に国からは莫大な税金を地域への助成金としてばら撒かれている。明らかに国策の発電事業なのだ。

 原発運転にかかる、こういった全てのコストを、政府は国民に分かりやすく説明すべきである。

 そして万一過酷事故が発生すると、取り返しがつかなくなるほど、住民や広範囲な地域に汚染や障害を広げる。 ここに核エネルギーをコントロールする一番の危険性がある。

 火力発電所等が万一大爆発を起こしても、放射能障害の危険性などは何も起こらない。

 核の専門家から聞こえてくる言葉に、「原発で使用した燃料から取り出せるプルトニュームが原子爆弾の製造に必要であり、近い将来、日本が核保有国になる為には原発稼働は絶対止められないのだ」と言う。

 再稼働にこだわる政府の姿勢の本音は、これではないのかと筆者は思っているのだ。

 新聞メディアの社説論評は、朝日、毎日、東京は再稼働反対であり、読売は賛成である。下に転載しました。比較して読むと興味もあります。

(毎日新聞Web版より貼り付け)

社説:川内再稼働 原発依存社会に戻すな
2015年08月12日 

 人々の暮らしを一変させた東京電力福島第1原発の過酷事故から4年5カ月。九州電力が鹿児島県の川内原発1号機を再稼働させた。

 事故後に策定した新規制基準のもとでの初の稼働である。政府も電力会社もこれをモデルケースに既存の原発を順次再稼働していく心づもりだろう。しかし、あれだけの事故を経てなお原発と向き合う政府の本質的な姿勢は変わらず、事故の教訓を生かし切っていない。この再稼働を3.11前の安全神話に逆戻りする第一歩にしてはならない。

 ◇ゼロへの道筋が先決だ
 3.11の教訓は、「対策をとっても原発事故は起きうる」「原発事故が人、環境、社会に与える被害は質も範囲も他の事故と大きく異なる」ということだった。しかも、日本は世界有数の地震・火山国である。日本で原発を動かし続ける危険性はあまりに大きい。核のゴミの処分問題を考えても原発は持続可能なエネルギーとは言いがたい。だからこそ、できるだけ早く原発をやめようと私たちは主張してきた。

 一方で、原発即ゼロがもたらす経済的、社会的リスクを考えれば、一定の条件を満たした上で最小限の稼働を認めざるをえない場合もあるだろう。そんな考えも示してきた。

 しかし、この再稼働は条件を満たさず、認めることはできない。

 まず、原発を減らしていく過程での再稼働との位置付けが欠けている。政府が昨年閣議決定したエネルギー基本計画には、「原発依存度を可能な限り低減させる」との方針が盛り込まれた。これに従えば、確実に原発を減らしていくための工程表を描くことが政府の責務だ。

 ところが、7月に経済産業省が決定した2030年の電源構成は原発比率を20〜22%とした。これを実現するには40年廃炉の原則を超えた老朽原発の延命、建て替え・新増設が必要となる。ここに見え隠れするのは、なし崩しに原発依存社会に戻そうとする政権の意図だ。

 事故が起きた場合に住民への被害を最小限にとどめる、という必須条件も満たされていない。確かに新規制基準では以前は想定していなかった過酷事故も考慮し、求められる安全対策は厳しくなった。基準適合を審査する原子力規制委員会も独立性を高めハードルは高くなった。しかし、ハード面の対策強化は再稼働の必要条件であっても、十分条件ではない。

 福島の事故では指揮命令系統の混乱が事態を悪化させた。拡散する放射能の情報が住民に届かず、線量の高い場所へ逃げた人もいる。入院患者や介護施設の入所者の避難は大混乱し、避難途中や避難先で亡くなった人も多い。事故後、避難計画が必要な自治体は原発から30キロ圏に拡大され、川内原発の周辺でも計画自体は策定された。

 ところが、その計画の実効性を担保する住民の避難訓練が実施されていない。政府もそれを容認している。住民の安全確保に十分な備えがないまま再稼働を急ぐ姿勢は、「事故は起きない」と高をくくってきたかつての安全神話と根が同じではないか。住民の安全を守るためにもただちに避難訓練を行って問題点を抽出し、場合によっては原発再停止も考えるべきだ。

 ◇国民の意思反映させよ
 誰の責任で再稼働するのかが明確でない点も3.11前と変わらない。

 原発は民間ビジネスである以上、一義的には再稼働も安全確保も電力会社の責任だ。ただし、原発は政府の国策でもある。その政府は、「規制基準への適合」を再稼働の唯一のよりどころとし、一方の規制委は「基準への適合=安全」ではないとの認識を示している。これでは、福島の事故と同様、再び事故が起きた時に誰も責任を問われない不条理がまかり通ってしまう。

 さらに根本的な問題もある。原発・エネルギー政策を国民の納得のもとに進めようとする意思が政府にみられないことだ。

 各種の世論調査によれば、事故以降、ほぼ一貫して原発再稼働への反対が賛成を上回っている。毎日新聞が8、9日に実施した世論調査でも川内原発再稼働に「反対」との回答が57%を占めた。

 しかし、住民にこれほどの影響を与えた事故を経ても、国のエネルギー政策に国民の強い意思を反映させる手段は用意されていない。経産省の審議会を使って政策の方向性を決める手法は事故前のままだ。民主党政権時代には討論型世論調査など、曲がりなりにも国民の意思を反映させようとする努力はあった。現政権にはその姿勢すらない。

 原発を動かし続ける限り核のゴミがたまり続けるという問題も大きい。10万年後まで見越して最終処分する必要性があるのに、日本ではまったくめどが立っていない。たとえ事故が起きなくてもこの問題に解決の糸口がない以上、原発を長期的に維持するわけにはいかない。

 政府はまず原発ゼロに向けた具体的道筋を描くべきだ。避難計画や訓練を規制委が事前評価する体制作りも早急に進める必要がある。川内原発再稼働を原発回帰の踏み台にしてはならない。

(貼り付け終わり)

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(読売オンラインより貼り付け)

(川内原発再稼働 電力安定供給へ重要な一歩だ
2015年08月12日

 ◆安全の確保に万全を期したい◆
 約2年も続いた原発稼働ゼロに、ようやく終止符が打たれた。
 九州電力川内原子力発電所1号機(鹿児島県)が再稼働した。順調なら14日に発電を始める。

 東京電力福島第一原発の事故を受けて厳格化された新規制基準に基づく初の再稼働である。
 電力の安定供給は、国民生活と経済発展に欠かせない。安価で安定した重要電源である原発の活用が前進した意義は大きい。

 4年超という異例の長期停止後の運転再開だ。九電は作業を慎重に進め、トラブルの防止に万全を期さなければならない。

 ◆事故のリスク低減した
 福島第一原発は、想定外の津波による電源喪失で原子炉の冷却機能がストップし、炉心溶融という重大事故を引き起こした。

 この教訓を踏まえ、原子力規制委員会が定めた新基準は、従来より大規模な自然災害を想定し、設備を補強するよう求めている。
 さらに、「起こらない」とされてきた重大事故の発生に備えて、緊急時の冷却システム強化などの対応を義務付けた。

 川内原発は高台にあり、津波で浸水する恐れはほぼないが、原子炉などの冷却用の海水を確保するポンプを防護壁で守り、津波が引く際にも海水を取り込めるようにするための堰せきを設けた。
 九州南部には桜島や霧島山など多くの火山がある。このため、火山活動を監視し、巨大噴火の兆候があれば運転を止め、核燃料を運び出すことも決めた。

 事故前より手厚い安全対策を講じたことで、重大事故が起きる危険は大幅に減ったと言えよう。
 ただし、事故リスクは決してゼロにはならない。
 九電の瓜生道明社長が、「継続的な安全性向上に取り組み、積極的な情報公開に努めていく」と決意を示したのは当然だろう。

 事故時の避難計画も大切だ。
 川内原発から約30キロ圏内にある9市町は既に、それぞれ避難計画を策定している。
 宮沢経済産業相は、「万が一事故が起きた場合には、国が先頭に立って対処する」と述べた。政府と関係自治体が連携して住民参加の訓練を重ね、避難計画の実効性を高める必要がある。

 ◆火力発電頼みも限界に
 原発再稼働について宮沢氏は、「着実に進むことは、経済の健全な発展や国民生活の安定に不可欠だ」と語った。妥当な認識だ。

 震災前に電力供給の3割を担っていた原発が止まり、現在は9割を火力発電が占める。輸入燃料への過度な依存は、エネルギー安全保障の観点で問題が多い。
 燃料費増大で、電気料金は震災前より家庭向けが25%、企業向けは38%も値上がりした。廃業を迫られる中小企業も少なくない。

 電力不足による大規模停電などは起きていないが、本来なら引退している古い火力発電所までフル稼働させる綱渡りの状況だ。
 太陽光や風力など再生可能エネルギーは、天候次第で発電量が急変動する欠点を抱えている。現状では主力電源たり得ない。

 原発は燃料費が安く、安定して発電できる重要なベースロード電源だ。安全性を確認し、円滑に再稼働を進めねばならない。
 民主党の枝野幹事長が、川内原発について「今、無理に急いで再稼働する必要性があるとは思えない」と述べたのは、認識が甘過ぎる。

 民主党政権時代、野田首相は産業空洞化や雇用喪失から国民生活を守るため、関西電力大飯原発の再稼働を決断した。こうした大局的な視点が継承されていないのは、極めて残念だ。
 今後の焦点は、他の原発の再稼働が円滑に進むかどうかである。川内原発2号機が今秋、四国電力伊方原発3号機は今冬にも再稼働する見通しだが、残りは実現のメドが立っていない。

 ◆60年運転延長も不可欠
 再稼働の審査には膨大な資料が必要なため、川内原発1号機では申請から2年超を要した。規制委は、川内原発の経験を生かし、申請済みの原発の審査を加速することが求められよう。

 政府は2030年度の電源構成で、原発比率を20~22%とする目標を掲げているが、運転開始から原則40年で廃炉にする規制を厳格適用すると達成できない。最長60年への運転延長や、原発新増設を行う方針を明確にすべきだ。

 原発の活用を続けるには、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルや、放射性廃棄物の最終処分地選定に政府が関与し、道筋をつけることも重要である。

(貼り付け終わり)