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一読の価値がある東京新聞の社説 『年のはじめに考える 戦後70年のルネサンス』

2015年01月01日 16時55分58秒 | 日記
 新年おめでとうございます。

 読者の皆様のためにも、日本の将来を少しでも良くしたいとの想いを込めて、筆者の年齢や体力にも負けずに、元気に正しい生き方、平和を愛する心を込めて、このブログを書き続けたいと思います。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、筆者は東京新聞を購読しているため、今朝届いた紙面をザーと繰りましたが、やはり東京新聞の社説は、是非皆様に紹介しておきたいと筆者は思いました。

 今年は戦後70年の年であり、疲弊した戦後の国民を豊かにしてくれた資本主義社会ではありましたが、一方で国境のないグローバル経済の強欲な資本の動きや、マネーさえ増えればよいとする金融資本主義の異常な成長を見ると、果たして国民にとって、これが理想とする生き方なのかと考えざるを得ません。

 東京新聞の社説は、そのあたりを読者に訴えかけるように書かれています。是非お読みください。

 例によって、国内最大の読者層を誇る保守系新聞の代表である読売新聞の社説も、その下に並べました。

 一読してわかるように、まるで安倍政権のプロパガンダのように、今の政権の政策推進を後押ししています。

 この新聞が日本最大の講読者数を持っていることが、予想以上に首都圏の人達の、保守的な行動の後押しになっているのかもしれません。

 地方は筆者も住んでみて分かったのですが、各地方紙のシェアが結構高く、中央紙のシェアは意外と低いのです。

 沖縄は特に典型的な地方紙の牙城ですが、その他の各地方紙も予想以上にリベラル色が強く打ち出されている紙面が多く、保守系中央紙とはかなり異なった紙面づくりになっています。

 東京新聞は中央紙か地方紙か筆者も迷いますが、朝日新聞がふらついている今、準中央紙と言っても良いかなと思っています。

(東京新聞社説より貼り付け)

年のはじめに考える 戦後70年のルネサンス
2015年1月1日

 貧困や格差が復活して独占資本や搾取の言葉も思い浮かぶグローバル経済の時代。ならば戦後七十年のことしは人間回復のルネサンスにしたいものです。

 読みやすいともいえない七百ページを超える経済学書が各紙の書評欄に掲載され、翻訳出版自体がニュースになりました。フランスの経済学者トマ・ピケティの「21世紀の資本」(みすず書房)です。

 世界的ベストセラー。この十年で最も重要な経済学書の惹句(じゃっく)。だれもがグローバル経済の行方を懸念しその解決策を渇望しているからなのでしょう。

◆新貧乏物語が始まる

 ピケティはグローバル経済を放置すれば百年前の極端な格差社会に逆戻りすると警告し、累進課税や国際協調のグローバル資本税の導入などを提言します。百年前の世界とは欧州で第一次世界大戦勃発、ロシアで革命、日本では河上肇の「貧乏物語」(岩波文庫)が新聞連載され、貧困が資本主義固有の病理として社会問題にされはじめた時代でした。

 河上博士にとって、経済学は富でなく、論語のいう道を尋ねるもの。貧乏退治も人々が貧困によって道を聞く妨げにならないためでした。理想とした政治家が英国の宰相ロイド・ジョージでした。

 ロイド・ジョージは苦学力行の人。極貧の母子家庭に育ち、靴職人の叔父の金銭支援で弁護士から政治家への道を歩みます。その経歴からでしょう、弱者のために立ち上がり、大蔵大臣時代は貧困との戦いの大増税に取り組みます。英国を滅ぼす大敵はドイツではなく内なる貧困、すべての人が守るに値するよい国にするのが最高の防衛との大演説をぶちます。

 資本家の貪欲とも戦いました。金鉱獲得のため英国がボーア人相手に起こした悪名高い南ア戦争では反対運動を展開。国民が戦争に熱狂、罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴び、暴動が起こる中で堂々の非戦論。「彼ロイド・ジョージは勇者である」と河上博士を心服させています。

 国の所得再配分機能や社会保障制度が整えられた現代が、戦争と革命の時代に戻るとは思えませんが、グローバル経済が労働配分率を削減して資本家に利益を独占させるシステムだとしたら現代は新帝国主義と貧乏物語の時代の色彩を帯びます。三十一歳のフリーターの論文「希望は戦争」が衝撃を与えたのは二〇〇七年でした。今労働状況はさらに厳しく、希望なき社会が極端な排外主義やヘイトスピーチになっているようです。

◆太平洋か大東亜戦争か

 資本から人間中心の社会を取り戻さなければなりません。経済学者や物理学者からは定常型社会が提唱されています。無理な成長を求めないゼロ成長の社会です。人口減と高齢化、エネルギー資源や環境の制約の中ではゼロ成長も容易ではないようですが、成長より社会の安定の価値転換が肝心。成長を超える人間中心の新しい社会への兆しもあるようです。

 戦後七十年です。先の大戦を米国から強いられた「太平洋戦争」ではなく戦前の公称の「大東亜戦争」と呼ぶべきだと主張したのは日本思想史研究の故松本健一氏でした。アジア解放の自衛戦争だったからというのではありません。太平洋戦争史観では「米国との戦いに敗れた」との認識にはなっても「中国との侵略戦争に敗れた」との意識が希薄になってしまうからだというのです。

 再三の村山談話の見直し論や日本の歴史認識が問題視されるのは戦争の呼称が影響のせいかもしれません。「日本人に中国に敗れたとの歴史認識はあるのか」と問われもするそうです。

 その大東亜戦争では三百十万人の日本人が犠牲になりました。軍人の死者は二百三十万人、うち六割の百四十万人は国家に見捨てられての餓死だったことも忘れられてはならないはずです。

 八十一歳の誕生日に際して天皇陛下は「日本が世界の中で安定した平和で健全な国として、近隣諸国はもとより、できるだけ多くの世界の国とともに支え合って歩んでいけるよう願っています」と述べられました。歴史認識などでの中韓との対立ときしみの中で、昭和を引き継ぎ国民のために祈る天皇の心からのお言葉でしょう。

◆歴史の評価に堪えたい

 戦争での新聞の痛恨事は戦争を止めるどころか翼賛報道で戦争を煽(あお)り立てたことです。その反省に立っての新聞の戦後七十年でした。世におもねらず所信を貫いた言論人が少数でも存在したことが支えです。

 政治も経済も社会も人間のためのもの。私たちの新聞もまた国民の側に立ち、権力を監視する義務と「言わねばならぬこと」を主張する責務をもちます。その日々の営みが歴史の評価にも堪えるものでありたいと願っています。

(貼り付け終わり)

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(読売新聞社説を貼り付け)

日本の活路を切り開く年に 成長力強化で人口減に挑もう
2015年01月01日 00時41分

 ようやく見えてきたデフレからの出口を再び見失うことなく、日本を再浮上の確かな軌道に乗せなければならない。今年はまさに正念場である。

 昨年末の衆院選で圧倒的な信任を得た安倍政権は、より強固になった基盤を生かし、経済再生を最優先に、社会保障、外交・安全保障など政策課題への取り組みを、一段と加速させる必要がある。

 今年は戦後70年にあたる。戦後の復興期に産声を上げた1947~49年生まれの「団塊の世代」は全員、65歳以上の高齢者となる。老人が増える一方で、日本の総人口は2008年をピークにすでに減少に転じている。

 少子高齢化に伴う人口減少に歯止めをかけ、国の活力低下を防がねば、日本の未来が危うい。

 東西冷戦の終結から四半世紀。国際秩序は新たな危機を迎えている。米国の影響力の低下、中国の台頭、横行する国際テロ活動、グローバル経済の動揺――。日本の安全を脅かしかねない事象が次々に起きている。

 内外ともに重要な局面にある中で、平和で安定した国民生活の維持へ、活路を切り開いていく節目の年としたい。

 ◆アベノミクスの補強を◆

 「アベノミクス」継続の是非が争点となった衆院選で、有権者は与党の主張に軍配を上げた。だが、地方や中小企業では恩恵が実感できていないなど課題も多い。

 政策の足らざる点を大胆に修正しながら、経済の安定回復の実を上げなければならない。特に急を要するのは成長戦略の強化だ。

 アベノミクスは、人々の心に長年染み付いた縮み志向のデフレマインドを払拭し、前向きの動きを呼び起こす「動機」を強めることに重きを置いた政策だ。

 「第1の矢」である金融緩和でモノの値段が上がりやすくし、「第2の矢」の財政出動で景気が上向くきっかけを作る。

 そのうえで、企業や個人が創意工夫を生かして新しいビジネスに動き出せるよう、後押しするのが3本目の矢の成長戦略だ。

 肝心の3本目の矢が不十分では、第1、第2の矢は無駄射ちに終わってしまいかねない。

 安倍首相は岩盤規制の打破を掲げる。産業の新陳代謝を促す規制改革を成長戦略の柱に据える手法は正しいが、中身は不十分だ。

 農業、医療などの分野で、もっと大胆な改革の姿を示さないと、人々に挑戦心は生まれまい。

 安全性が確認された原子力発電所の再稼働や、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の決着も、企業が将来の経営環境を見通しやすくするために、欠かせない。

 企業経営者も、そろそろ積極姿勢に転じてはどうか。

 上場企業の今年3月期決算は、3年連続の増益で過去最高をうかがう利益水準となる見通しだ。

 この利益を、賃上げや雇用増を含むヒトへの投資や、新たなビジネスに有効に使いたい。政府も、賃上げした企業の税負担を軽減するなどして、後押しすべきだ。

 ◆雇用充実が活力の源泉◆

 成長戦略の充実は、人口減への対応としても極めて重要だ。

 バブル崩壊後の日本経済低迷の底流には、人口動態の変化がある。15歳以上65歳未満の生産年齢人口は、総人口に先立って90年代をピークに減少が始まった。

 働き盛りの人の数が減れば、生産力も購買力も低下し、成長力を損なう。90年代初めに3%台だった日本経済の潜在成長率は、今や0%台半ばとされる。

 人口減が進行する中で成長を維持していくには、まず働く人を確保することだ。女性や高齢者が働きやすい環境を整えるべきだ。

 若者や女性に多い非正規労働者の処遇改善も欠かせない。働く場の拡大と働きに見合った報酬の充実が、社会に活力を生む。

 人口減は都市部に先行して地方で始まり、スピードも急だ。中小企業や農業など、地場の産業を活性化して若者の雇用の場を確保することが何より大事である。

 国民が安心して暮らせる社会を維持するには、社会保障制度の改革も急務だ。

 出生率を高め、人口減に歯止めをかけるためにも、子育て世代への支援など、少子化対策を充実させる必要がある。

 日本の児童・家族向け支出の対国内総生産(GDP)比率は1%台で、少子化対策で成果を上げるスウェーデンやフランスの3%台と比べて低い。高齢者向け施策への支出が手厚いのと対照的だ。

 限られた財源を、未来への投資である少子化対策に、より多く振り向けていく必要がある。そのためにも、医療・介護の分野では、公的支出の効率化を進めたい。

 身近なかかりつけ医の充実で、高齢者の大病院での診療、入院を減らし、安価な後発薬の利用を増やす。医療水準を維持しながら支出を節約し、必要な施策に回す工夫を凝らすべきだ。

 1000兆円超の借金を抱える国の財政状況は、放置すれば日本経済の信認を損ない、返済負担のツケが次世代にのしかかる。

 消費税率の10%への引き上げ先送りを決めた安倍首相は、20年度に基礎的財政収支を黒字化する目標は堅持し、今夏までに達成のための計画を策定すると宣言した。確実に実行し、財政健全化の一歩を踏み出さねばならない。

 ◆台頭する中国に備えよ◆

 ロシアによるクリミア編入の強行、中東での過激派組織「イスラム国」の拡大など、既存の国境線に象徴される戦後の国際秩序が、大きく揺らいでいる。

 東西冷戦の終結で、自由と民主主義の旗頭である米国を中心にした、安定した国際秩序が実現すると期待された。だが、現実は、その米国の相対的な影響力の低下により、混迷を増しつつある。

 国際秩序が崩壊すれば、日本の安全も損なわれる。とりわけ、アジアで突出した軍事・経済力を背景に海洋進出の動きを強める中国の行動には、警戒を怠れない。

 昨年11月、安倍首相と習近平国家主席による、約3年ぶりの本格的な首脳会談が実現したのは、関係修復の一歩だ。だが、中国は依然、力による現状変更を目指す姿勢を改めていない。

 尖閣諸島周辺での中国の危うい行動に自制を求めると同時に、自衛隊と中国軍の間の海上連絡メカニズムの整備など、信頼醸成の努力を続ける必要がある。

 中国経済は今、製造業や不動産投資中心の高度成長から、サービス業や消費を主体にした安定成長への移行期を迎えている。

 中国が、日本の官民の経験に学び、双方に利点のある形で日中連携を進めるなら、「戦略的互恵関係」の構築にも役立とう。反面、産業構造の転換に伴う国内の不満をそらすため、強硬な対外姿勢を加速させるなら、危険が増す。

 日本は、米国との同盟や、オーストラリアなど価値観を同じくする周辺国との連携の強化で、中国の行動に備える必要がある。核や弾道ミサイルの性能を高める北朝鮮の動きも、不気味だ。

 安倍政権は昨年、集団的自衛権行使の限定容認を閣議決定した。今年はそれを受けた安全保障法制の整備を確実に進めなければならない。平時から有事まで、切れ目のない対応を可能にしておくことが、日本の安全に不可欠だ。

 ◆欠かせぬ日米同盟強化◆

 日米同盟による抑止力維持と沖縄の基地負担軽減の両立へ向け、米軍普天間飛行場の辺野古移設を実現することも肝要だ。

 集団的自衛権や辺野古移設には一部の野党の反対も根強いが、着実に歩を進める必要がある。

 首相は、自民党の「1強」状況にあぐらをかくことなく、野党の説得や国民への説明を、これまで以上に丁寧に行うべきだ。

 戦後70年の今年は、日本が歴史認識を改めて問われる場面も予想される。

 慰安婦の強制連行などいわれなき誤解を解く努力を続ける一方、13年末の首相の靖国神社参拝のように、中国や韓国に対日批判の口実を与える行動は慎みたい。

 日本の国際的な評価を高めるには、アジア太平洋地域だけでなく、地球規模の問題への対応にも貢献していくことが重要だ。

 インターネットを駆使して世界中から若者を勧誘し、国境を無視して勢力を拡大するイスラム国は、国際秩序にとってまったく新しい形の脅威だ。欧米やアジアへテロが拡散しつつある。

 活動を支える資金や人の流れを遮断するため、日本も具体的な対策での連携に力を尽くしたい。

(貼り付け終わり)