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共産教育論(連載第24回)

2018-12-11 | 〆共産教育論

Ⅳ 基本七科各論 

(7)健康体育
 健康体育科目は、健康の維持・増進を目的とした運動について学ぶ科目である。個々の競技の実習を中心とした競技体育と対照された意味で「健康体育」と名づけられる。
 その点、伝統的な学校教育における体育科目は多種の競技を総花式に教える競技体育を中心としているが、これは個々の生徒の適性や関心を無視した競技の押し付けであるばかりか、個々の競技の技能も上達しない無駄の多い教育方法である。
 基礎教育課程では、各人の適性や関心に大きく依存する音楽や美術などの芸術系教科を基本七科から除外するのと同じ理由から、競技体育は除外し、課外教育体系や個人的な習い事に委ねる。そのほうが、各人が適性と関心を持つ競技に専念できる点でも、効率的である。
 そうした趣旨からしても、基礎教育課程における健康体育科目は、病気やけがを予防するための体操やトレーニングを中心とした「運動実技」と、その前提として基礎的な運動生理を理解する補助領域としての「運動生理」とから構成される。
 「運動実技」は基礎教育課程初等段階から、生徒の身体的な発達度に合わせて内容を変えつつ、全課程に配分される。また身体的な発達に関する科学的な男女差を考慮し、中等段階以降では男女別コースで実施される点、他の科目にない特徴となる。
 抽象性が高いため、基礎教育課程の中等段階後期終盤(ステップ8以降)以降に開始される「運動生理」はおおむね通信制で提供されるが、運動機能測定のような通学制で実施される実習を含む。「運動実技」はその名のとおり「実技」であるから、通学制で提供される。
 こうした当科目の性質に応じて、基礎教育センターにはトレーニングルームを備えた室内運動場のほか、「運動生理」の実習用として種々の機材をそろえた運動機能測定室も設置される。
 なお、当科目は生徒の障碍の有無や内容によっては全面免除したり、機能訓練を兼ねた特別なカリキュラムが用意される場合もあり、個別性の強い科目となる。


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