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犯則と処遇(連載第12回)

2018-12-13 | 犯則と処遇

10 少年の処遇について

 少年は身体的にも精神的にも成長途上にあり、人格的な可塑性に富んでいるため、犯則行為をした少年に対しては、成人と異なる処遇を必要とする。
 ただ、「犯則→処遇」体系の下では、犯則行為者への処分全体が、成人を含めて「処遇」概念の下に統一されるため、少年処遇の適用年齢に関しては、社会の実情に合わせながら、より柔軟化することが可能となる。

 その際の視点として、現代社会では義務教育制度の施行によって、おおむね18歳未満の者は学校課程に在籍していることが圧倒的な状況においては、18歳未満の者は成人と明確に区別し、学業とも両立し得るような少年処遇の絶対的適用年齢とするのが社会の現実に合っている。

 その点、18歳は過渡的年齢であって、18歳を未成年とする法制下でも、18歳の多くは学生であるが、一部は有職者が含まれている。そこで、18歳についてはケース・バイ・ケースで考慮すべきであろう。
 一方、18歳を成人とする法制下では、原則として成人としての処遇が与えられることになるが、知的障碍や発達障碍が認められ、少年処遇の適用が相当な者はこの限りでない。
 このように、障碍のために成長が遅れており、少年に準じて扱うほうが適切な成人には「少年」としての処遇を適用する余地を認める必要がある。そのためにも、少年処遇の適用年齢の上限は、23歳程度にまで拡大される。

 こうして柔軟化された少年処遇の種別は、基本的に「矯導学校編入」と「教育観察」の二種類である。これに成人と同様に、対物的処分としての「没収」を加えて三種類とみなすこともできる。

 はじめの「矯導学校編入」は成人の「矯正処遇」に対応する処遇であるが、成人の「矯正処遇」との違いは、矯正と学業とを両立させたプログラムが適用されることである。一方、「教育観察」は少年版保護観察と言うべきものであるが、ここでも成人の「保護観察」に比べてより「教育」に重点を置く点に違いが認められる。

 なお、寡少価値物品の万引きのような軽微な犯則行為や、犯則行為には該当しない非行により補導された少年に対しては、司法のルートに乗せない福祉的な保護対応がなされる。そうした保護対応を担う専門福祉機関として、「未成年者福祉センター」が用意される。


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