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世界共同体憲章試案(連載第39回)

2020-07-17 | 〆世界共同体憲章試案

第26章 雑則

【第143条】

1.この憲章が効力を生じた後に世界共同体構成主体が締結するすべての条約及びすべての民際協定は、すみやかに事務局に登録され、かつ、事務局によって公示されなければならない。

2.前項の条約または協定で同項の規定に従って登録されていないものの当事者たる構成主体は、世界共同体のいかなる機関に対しても当該条約または協定を援用することができない。

[注釈]
 世界共同体構成主体が締結する諸条約及び協定に関する登録・公示に関する規定である。本条を含む本章各条は現行国連憲章第16章「雑則」からの実質的な継承規定である。

【第144条】

世界共同体構成主体のこの憲章に基づく義務と他のいずれかの民際協定に基づく義務とが抵触するときは、この憲章に基づく義務が優先する。

[注釈]
 世界共同体憲章の最高規範性を示す規定である。

【第145条】

1.この機構は、その任務の遂行及びその目的の達成のために必要な法律上の能力を各構成主体の領域において亨有する。

2.この機構は、その目的の達成に必要な特権及び免除を各構成主体の領域において亨有する。

3.汎域圏全権代表者及び世界共同体総会代議員並びにこの機構の職員は、この機構に関連する自己の任務を独立に遂行するために必要な特権及び免除を亨有する。

4.総会は、本条第2項及び第3項の適用に関する細目を決定するために勧告をし、またはそのために汎域圏全権代表者会議もしくは世界共同体構成主体に条約を提案することができる。

[注釈]
 世界共同体とそれに関連する関係者の各構成主体の領域圏における権能及び特権に関する規定である。国連憲章にも同様の規定があるが、国家主権概念が揚棄される世界共同体機構においては、当然の注意的規定となる。

第27章 世界公用語に関する経過規定

【第146条】

1.世界共同体は、エスペラント語をもって公用語とする。ただし、エスペラント語が普及するまでの間は、暫定的に英語を併用公用語とする。

2.前項本文の目的を達成するため、世界共同体構成主体は、エスペラント語を教育における必修言語として普及に努めなければならない。

3.本条の規定は、世界公用語たり得るより中立的かつ実用的な新たな計画言語を開発することを妨げるものではない。

4.世界教育科学文化機関は、エスペラント語の普及のための計画及び前項の開発に関するプロジェクトを支援するものとする。

[注釈]
 世界共同体は、現行国際連合のように、既存の自然言語を公用語とせず、計画言語の中でも最も話者・学習者が多いエスペラント語を公用語とする。しかし、エスペラント語が普及するまでは事実の世界語として普及率の高い英語との併用を認め、かつエスペラント語に代わる新たな計画言語の開発も支援するという三段構えの言語政策を採る。

第28章 世界共同体暦

【第147条】

1.世界共同体は、この憲章が発効した年度を第一年として起算する世界共同体暦に則って運営される。

2.前項の規定は、世界共同体構成主体が独自の暦法を採用することを妨げるものではない。

[注釈]
 世界共同体の創設は人類史にとっての一大転機となることを銘記して、従来事実上の世界共通歴となってきた西暦(グレゴリオ暦)に代わり、世界共同体憲章発効年度を第一年とする新たな暦法により運営される。ただし、西暦を含め、独自の暦法を各国構成主体が採用することは自由である。

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