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持続可能的計画経済論(連載第18回)

2018-06-19 | 〆持続可能的計画経済論

第4章 計画経済と企業形態

(4)企業の内部構造〈2〉
 経営と労働が分離する社会的所有型の生産事業機構に対して、自主管理型の生産協同組合は、労働者自身が経営にも当たる構造となる。そのため、生産協同組合では全組合員で構成する組合員総会が最高経営機関となる。
 こうした自主管理が可能な企業規模はどのくらいかということが一つの問題となるが、最大で組合員数1000人未満が限度と考えられる。あるいはより限定的に500人といった水準まで下げることも考えられるが、これは政策的な判断に委ねられる。
 組合員数500人を超える場合、全員参加による総会を常に開催することが現実的でないとすれば、生産事業機構の労働者代表委員会に準じた組合員代表役会を設置することが認められてよいだろう。また500人未満の場合でも、委任状による代理参加が認められてよい。
 いずれにせよ、生産協同組合では組合員が総会を通じて直接に経営に当たるが、零細企業よりは大きな規模を持つ以上、経営責任機関としての理事会は必要である。理事は組合員総会で選出され、総会の監督を受ける。監査制度については、生産協同組合でも業務監査と環境監査が区別され、それぞれに対応して業務監査役と環境監査役が常置されなければならない。
 以上に対して、組合員数が1000人を超える大企業となると、もはや生産協同組合の形式では律し切れないため、社会的所有企業に準じた生産企業法人を認める必要があろう。従って、生産協同組合が組合員の増加により、生産企業法人に転換されることもあり得ることになる。
 この大企業形態は、生産事業機構に準じて経営と労働が分離され、経営役会と労働者代表役会が常置される。その余の内部構造も生産事業機構に準じたものとする。
 他方で、組合員20人以下のような零細企業に対しては、生産協同組合の形式では融通が利かない恐れがあるので、こうした場合はより自由な協同関係を構築できるように、協同労働団(グループ)のような制度がふさわしいだろう。
 この場合、監査役を最低一人は置くこと以外(業務監査役と環境監査役を区別する必要はない)、企業の内部構成については任意とし、経営はメンバー全員の合議によるか、数人の幹事の合議によるか選択できるようにする。

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