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民衆会議/世界共同体論(連載第18回)

2017-12-01 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第4章 民衆会議の組織各論②

(4)民衆会議の司法機能
 民衆会議が総合的施政機関であるということは、法に基づく個別的な紛争事案の解決に関わる司法機能も民衆会議が掌握することを意味する。言い換えれば、民衆会議とは別途司法機関が並立することはない。
 このことは、『共産論』においても既成の裁判制度に代わる「共産主義的司法制度」という観点から論じたところであるが(拙稿参照)、これを改めて整理し直すと、民衆会議の司法機能は、〈一〉紛争解決〈二〉護民〈三〉弾劾〈四〉法令解釈の四系統に大分類できる。
 ここでは、これら四系統の司法機能が全土及び地方の民衆会議ネットワークにいかに分配・帰属されるかという観点から簡単に見ておきたい。
 まず、司法における最も中核的な紛争解決機能は、地方の広域自治体、すなわち地方圏または準領域圏(連邦型の連合領域圏の場合)の民衆会議に属する。
 それ以外の各司法機能は、それぞれ全土と地方の各圏域民衆会議に帰属・分配されていく。その点、通常は国の最高裁判所が一手に握る法令解釈に関わる司法機能も、民衆会議制度では地方レベルの民衆会議がその権限内の事項については対等に憲章及び法律を制定できることに照応して、各地方レベルの民衆会議にも帰属する機能となる。
 よって、例えばA市の憲章または法律の解釈をめぐる争いは、A市民衆会議の憲章委員会または法理委員会が終審として決定を下すことができるのであって、全土民衆会議に対して上訴するということは、A市の憲章または法律が全土民衆会議憲章に違反していない限り、できない。
 結局、全土民衆会議の司法機能は最小限度のもので、それは基本的に法令解釈に関わる司法機能と護民及び弾劾に関わる司法機能の一部に限局される。

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