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民衆会議/世界共同体論(連載第24回)

2017-12-30 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第5章 民衆会議代議員の地位

(5)民際代議員
 前回まで見てきたのは、各領域圏内の民衆会議代議員の地位をめぐる問題であったが、民衆会議は世界共同体及びその内部の地域的なまとまりである汎域圏にもそれぞれ設置される。これら世界民衆会議及び汎域圏民衆会議の代議員は、領域圏を超えて活動する言わば民際代議員である。
 こうした民際代議員も所属する民衆会議において審議・議決に当たる点では領域圏内代議員と変わらない。一方で領域圏を越えた協商という外交官的な任務が加わる点に特殊性がある。ことに世界民衆会議代議員は、現行制度で言えば国連大使に近い任務も負うことになる。
 こうした民際代議員の特殊な性格に照らすと、その資格条件として、共通代議員免許は必ずしも必須のものではない一方、民際代議員としての任務遂行に必要な語学や協商(外交)に関する素養を備えていなければならない。その点、民際代議員固有の認定試験を別途創設することも検討に値するが、免許という形で義務的な資格要件とすべきではないかもしれない。
 従って、その選出も抽選によるのではなく、世界民衆会議代議員は各領域圏民衆会議が、汎域圏民衆会議代議員は各領域圏内の広域自治体(地方圏または準領域圏)民衆会議が、適任者の中からそれぞれ選出する。適任者の人選は、選出権を持つ民衆会議の常任委員会である協商委員会がこれを行なう。
 民際代議員の所属民衆会議における活動の中心は、民際施策の立案、民際法(条約)の制定や民際諸機関の管理運営であり、この面では領域圏内代議員と相似的であるが、異なるのは、それぞれ自身が選出された圏域の政治代表者として行動することである。その点が、まさに協商的な活動である。
 とはいえ、民際代議員は大使・公使のような単なる外交使節ではないから、選出された出身圏域の指令に拘束される命令委任の制度は採るべきでない。ただし、出身圏域に対して明白に背信的な行為を行なったと認める場合、選出した民衆会議は当該代議員をリコールすることができる。

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