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民衆会議/世界共同体論(連載第16回)

2017-11-17 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第4章 民衆会議の組織各論②

(2)民衆会議の立法機能
 民衆会議は総合的施政機関であるため、立法・行政・司法という権力の属性分類自体が本来妥当しないのであるが、それらに相応する「機能」とそれに応じた内部組織は存在する。中でも、立法機能は枢要なものである。委員会は民衆会議の立法機能においても中心を成す内部組織である。
 三権分立下の立法にあっては、議会が立法府と位置づけられながらも、実際には行政府提出法案が大半を占め、議員発案のいわゆる議員立法においてすら、該当行政官庁の手が入っているのが通例である。これに対し、民衆会議体制にあっては政府というものがそもそも存在しないので、当然すべての法案は民衆会議自身が発議することになる。
 具体的には代議員(複数)による発議となるが、委員会総体による発議も認められてよいだろう(なお、具体的な法案発議・審議のプロセスについては、拙稿参照)。民衆会議における法案審議は委員会を中心に行われ、前回言及した政策調査機関や民衆会議図書館は立法に当たっても、補佐の役割を果たす。
 一方、議会ではしばしば最終的な議決の儀式と化している本会議の機能も民衆会議では重視される。ただ、以前指摘したとおり、民衆会議の代議員定数は議会の議員定数よりはるかに多いため、実効的な本会議の開催はいっそう困難になる。
 それでも、総論的な審議の場としての本会議の重要性に鑑み、本会議に出席する代議員団を開催季ごとの輪番制にするなどの工夫も交え、実効的な本会議審議を確保することは可能であり、必要なことでもある。
 また、民衆会議は「半直接的代議制」という独特の理念に基づき、一般有権者が選挙を経ず直接に代議員に抽選されるという構造から、市民提案に対しても開かれている。従って、市民提案に基づく立法化(または政策ガイドライン化)というルートが別途保障される(詳しくは、上記拙稿参照)。

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