ザ・コミュニスト

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世界共産党史(連載最終回)

2014-08-06 | 〆世界共産党史

結語

 見てきたように、ロシアに発祥した共産党という近代政党は、20世紀を通じて全世界に拡散していった。例外は、政党政治が未発達なままの島嶼国家が多いオセアニアだけである。
 ここで一つの謎となるのは、マルクスが後半生を送り、最大の研究対象とした階級社会英国では、共産党が全く伸びなかったことである。英国共産党は1920年の結党から間もない22年の総選挙で早くも1議席を獲得したものの、その後浮沈を繰り返し、45年の総選挙で初めて2議席を獲得したのを最後に、50年以降は議席を喪失した。こうした「英国の謎」については、別連載を通じて個別に解明してみたい。
 ともあれ、共産党はまだ総本山ソ連が健在だった頃から、ばらばらに断片化していた。それはソ連共産党を中心とした「正統派」のほかにトロツキスト、毛沢東主義者の分派政党に分裂し、さらにその政治的位置も独裁政党から万年野党、議会外野党、武装ゲリラ政党に至るまで、千差万別であった。 
 そうした中、ソ連邦解体後の1998年にギリシャ共産党の呼びかけで「国際共産主義・労働者党会議」が結成され、改めて世界の主だった共産党が一堂に会する国際共産主義運動が立ち上げられた。これはコミンテルンの解散以来の国際共産主義運動の再結集であるが、一部の独裁政党を除き、参加党の多くが議会外野党もしくは少数野党という状況では、年次総会もほとんど注目されることなく、国際政治における影響力はほとんどなきに等しい。
 共産党という政党組織自体、ロシア革命の特殊な所産であり、ロシア革命とその波及力が消滅した時点で、共産党組織も効力を失ったのである。共産党という統一的な政治マシンを通じた共産主義の実現はもはや望めず、別の新たな組織と方法論の開発が必要とされている。拙見である民衆会議構想はその一例である。(了)

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