黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『はむ・はたる』西條奈加(光文社)

2009-09-07 | 読了本(小説、エッセイ等)
孤児ばかりのすり集団の一味だった、勝平、三治、登美たちは、深川三軒町の金貸し・お吟との縁で、今では御家人の長谷部家の婆さまに見受けされる身。
稲荷鮨売りをしながら、働くことの意味を学び始める中、全国を旅して歩き、“ふらふら病”と揶揄される長谷部家の次男・柾が帰ってきた。
そんなある日、三治たちが暮らすあやめ長屋の子供・長治が姿を消した。いつも彼らに憎まれ口ばかりきく嫌な子供で、その直前にちょうど言い争いをしていたことから、大人たちは、彼らが下手人ではないかと疑う。
その疑いを払拭すべく、絵心のある柾の手を借り、捜索に乗り出したが……『あやめ長屋の長治』、
出梅の頃。柾と歩いていた勝平は、小さな稲荷社で少女に出会う。彼女が奉公している繭玉問屋の安曇屋で、鼠よけに店で祀っている木彫りの猫神さまがなくなり、店で飼っていた猫たちもどこかにいってしまったという。彼女の父は咎人だったこともあり、それらのことが彼女の所為にさせられそうになり、思わず店を飛び出したという。彼女を連れて店に行き、調べ始めた柾と勝平は……『猫神さま』、
勝平たちの仲間である少年、テンこと天平は、その能力を買われ、お吟のところで働いている。
そこへ彼らの世話人である長谷部義正がやってきた。義正の9つになる息子・佐一郎が、武士を辞めて町人になると言い出し、婆さまとひともめし、納戸に閉じ込められたという。
そんな佐一郎をひとまず、店で預かることになるが……『百両の壺』、
このところ、登美の周囲をうろちょろとしていた少年・由次郎。
蓬莱屋の息子だという彼は、たくさんの習い事をさせられており、それが継母のいじめだと不平をいう。
さらにその継母が怪しげな男と話しているところを見たらしい。
彼の言葉の真偽を確かめるべく、調べ始めた登美たちは……『子持稲荷』、
伊根が思いを寄せるハチが、誰より大切にしているのは、口の利けない妹の花。
しかし彼らが実の兄妹ではないと知った彼女はショックを受け、思わず浅草寺で、花がいなくなるようにと願ってしまう。その後、彼女が本当に行方知れずになってしまい……『花童』、
柾がずっと仇と狙って、全国を捜し歩いていた、鼻に傷のある男・相良隼人とお蘭が江戸にいることが判明。
しかしお蘭は病を得ているらしい。勝平は、柾と彼らにまつわる詳しい話を聞くために、長谷部家を訪れる……『はむ・はたる』の6話収録の連作短編集。

『烏金』の続編、というか姉妹編?(前作は読んでなくても支障なさそう…実際わたしも忘れてたし/笑)
『烏金』に登場した孤児たちが活躍する、青春時代小説。
表題の『はむ・はたる』は『ファム・ファタル』で、男を惑わせる悪女、的な意。
たくましく生きる子供たちの今後も気になるので、シリーズ化して欲しいかも~。

<09/9/7>


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