黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『残穢』小野不由美(新潮社)

2012-08-01 | 読了本(小説、エッセイ等)
かつて“私”が著した少女小説のあとがきで募集した、怪談話。
2001年末のある日、今は書店から姿を消して久しいそのシリーズを古書で読んだという、都内の編集プロダクションでライターをしている三十代の女性“久保さん(仮名)”から手紙が届いた。
そこには彼女が最近引っ越したというマンションの一室から、箒で畳を掃くような音がするという怪異が記されていた。
たびたびメールをやりとりするようになった久保さんから、その後さらに、着物の帯が寝室の床を這うのを見たという証言が届いた。
その報告を読みながら既視感を感じた私が、以前読者からもらった手紙を探したところ、3年ほど前に同じ所在地で、違う部屋番号の人物からも手紙が届いていたことに気づく。送り主は401号室に住んでいた屋嶋さんで、幼い娘があらぬ方向を見て<ぶらんこ>だというエピソードが綴られていた。
そのマンションについて調べることにした二人だったが、特筆すべき事件や事故は起きていないという事実に突き当たる。
しかし何故か人が居付かず、住人の出入りが尋常でない部屋が確かにある。
現在から、さらに前世紀、高度成長期、戦後、戦前、明治大正期と遡り、周囲の人々や関係者からの話を収集しつつ、土地の歴史を調べてゆく中で、さまざまな事柄が浮かび上がって……

限りなく小野さんっぽい作家“私”が、読者“久保さん”からの手紙をきっかけに、ある怪異の起きた土地の歴史を調べる、ドキュメンタリー風ホラー。
穢れは必ずしもそこに留まるのではなく伝播する、というのが……怖さ百倍;
実在の人物も登場するドキュメンタリー風であることによって、怖さがじわじわこちら側にも忍び寄ってくる印象。
どの事象が関係しているのかを取捨選択するのは恣意的な視点だし、何でも結び付けてたらきりがないところではあるけれど、その辺は冷静に書かれてるので、逆に怖い…;;

<12/7/31,8/1>



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