黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『楽園のカンヴァス』原田マハ(新潮社)

2012-08-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
2000年。倉敷の大原美術館で、一介の監視員をしている四十三歳のシングルマザー・早川織絵。
十六年前に、母の実家である倉敷に戻り、真絵という混血の娘と、母とともに暮らしている。
そんなある日、昨年館長に就任した国内屈指の西洋美術史家・宝尾義英らに呼び出された織絵。そこには、アンリ・ルソー展を計画している、暁星新聞社の文化事業部長・高野智之がおり、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のチーフキュレーター、ティム・ブラウンがルソーの『夢』を日本へ貸し出す交渉人として、織絵を指名してきたのだという。
かつて若いながらも卓越した語学力を持ち、有能な美術史研究者として名を馳せていた織絵。彼と織絵との間には、かつてある接点があったのだ。
1983年。自分と似た名前ながら、交渉術に長けているMoMAの看板キュレーターのトム・ブラウンのアシスタントに甘んじていたティムは、ある日、自分宛の招待状を受け取る。
幻と思われていた伝説コレクター、コンラート・バイラーの財団の法定代理人エリク・コンツからで、バイラーが所有するルソー作品調査の為に、スイス・バーゼルに来て欲しいという依頼だった。
どうやら綴りの間違いで、上司宛の依頼であると思いながらも、半ば確信犯的にスイスのバーゼルに乗り込んだ彼を待ち受けていたのは、MoMAが所有するルソーの大作『夢』によく似た『夢をみた』という作品……しかも権威あるロンドンのテート・ギャラリーのチーフキュレイター、アンドリュー・キーツが真作だと認めた署名入り。
バイラーは、その作品の真贋を正しく判定した者に、取扱権利…事実上の所有権を譲るといい、ティム同様にその場に呼ばれていた、美しき日本人研究者・織絵と対決することに。
期間は七日間。ある一冊の古書…七章からなる物語を毎日一章ずつ読み、そこから優れた講評を導き出した方が勝者、というもの。
そこに綴られていたのは、1906年パリに始まる、晩年のアンリ・ルソーと、彼のミューズたる女性ヤドヴィガ、そしてその周辺の人々の物語だった……

幻のコレクターと呼ばれた大富豪の所有する、ルソー作品の真贋を巡るお話。
なぜ絵の真贋を見極めるのに物語を読むのか、そもそもその物語は誰が書いたの?とか思いつつも引き込まれる、なかなか魅力的な作品でした♪
欲をいえば、ページ数を増やして、1983年の方に織絵視点のパートがあっても良かったかなぁという気がしなくもなかったり(まぁ、いろいろ隠し事があるから、難しいのかもですが…)。

<12/7/2,3>




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