黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『千年ジュリエット』初野晴(角川書店)

2012-04-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
念願だった東海地区大会に初出場した、清水南高校吹奏楽部は、完全燃焼。
気がつけば夏は終わり、文化祭準備に慌しい校内。穂村千夏(チカ)たちは浦島太郎状態になりつつも、吹奏楽部も息つく暇もなく文化祭の発表会に向けて、練習に突入した。
そんな中、急用で顧問の草壁信二郎が遅刻。芹澤直子がピアノの調律を巡って、片桐部長と争っていると、そこに現れたのはスナフキンめいた風貌の若い女性……草壁と旧知の仲らしい彼女は、山辺真琴。かつてピアノの天才少女と呼ばれた彼女は、草壁の亡き恩師・山辺富士彦の孫娘だった。
だが、現在はピアノではなく、鍵盤ハーモニカの通販専門店・山辺鍵盤堂を営みつつ、演奏しているらしい。
そんな彼女と草壁の話を盗み聞きしたチカたち。
富士彦が愛蔵していたベーゼンドルファーの一九一二年製九十七鍵インペリアルモデルを、真琴の父が借金に困って売りに出すことになったが、そのためには富士彦の遺言に条件として記されていた、草壁と真琴の許可が必要。草壁はすでにサインし、あとは真琴がサインするだけなのだが、さらにひとつの問題があるという。その肝心のピアノの鍵の行方不明なのだった。富士彦は真琴にその在り処を伝えたというのだが、彼女には心当たりがなく……『エデンの谷』、
引きこもりの息子に手を焼くタクシー運転手は、ライオンめいた…金髪長髪…の少年を乗せ、清水南高校に向かう。だが到着寸前で何故か行き先を変え、この街をぐるぐる回れといいだした。
一方、文化祭での演奏を控えた<アメリカ民謡クラブ>(という名のハードロック愛好会)の部長・甲田が、本番直前になっても学校に現われない。学校の前で引き返すタクシーを目撃していたチカは、何か事情があるのではないかと考えるが……『失踪ヘビーロッカー』、
豚の着ぐるみ姿のハルタに遭遇したチカ。
ギャラを取りにいき、殺気立つ演劇部の部長・名越から水をかけられ濡れた制服の代わりに着ていたのだった。その着ぐるみは、当初上演するはずだった「平成・三匹の子豚」という芝居の為のものだったが、急遽新たな内容に変更になったという。それは、部長が目をかけている一年生の大塚修司が、新たに脚本を書き下ろすオリジナル内容の“決闘戯曲”という芝居。
そんな話をしている中、うっかり着ぐるみを破ってしまったハルタたちが謝りに演劇部に出向くと、場は騒然。脚本が上がらぬまま、大塚が逃亡してしまったのだという。
やむを得ず、続きを考える手助けをするはめになったハルタとチカ。題材は大塚家の物語……一八九○年。西部開拓時代のアメリカに渡った元藩士「大塚宗之進」。一九二六年。第一次世界大戦後のパリに日本軍人として滞在していた「大塚裕次」。そして現代。清水南高南陵祭の舞台に決闘をよみがえらせた「大塚修司」。それぞれの理由で、右目が見えず、左手が使えなかった状態だった彼らが、決闘で勝てた理由とは……『決闘戯曲』、
イタリア北部のヴェローナ。その地にはジュリエットのモデルになった女性の生家があり、世界各国から毎年何千通とジュリエット宛の恋愛相談の手紙が届き、“ジュリエットの秘書”と呼ばれるボランティアたちが返信している。
大学病院に長期入院する五人……カエラ姉さん、元女子プロレスラーのミサトさん、最年少の八歳の少女キョウカ、最年長の小さな会社の元社長シズコさん、そしてトモは、カエラ姉さんの発案により、そんな彼女たちを真似て、「ジュリエットの秘書・はごろも支部」というホームページを立ち上げ、恋愛相談を始めるが、仲間たちはひとりひとりいなくなってゆく。
そして“私”はひとり、清水南高の文化祭へとやってきた。数年前病院に慰問で訪れたサックス奏者の少年に会う為に……『千年ジュリエット』を(+『イントロダクション』)収録の連作短編。

ハルチカシリーズ第四作。発売が延びに延びまくってようやく出ましたね~(笑)。
今回は文化祭前後のお話で、吹奏楽部というよりも学校内でのドタバタ中心な感じで、お祭りな雰囲気が楽しいです。
それにしても『イントロダクション』の意味深な言葉が気になります~。

<12/4/9~11>


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