黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『きのうの世界』恩田陸(講談社)

2008-09-28 | 読了本(小説、エッセイ等)
3つの塔と水路がある町・M町。
ある冬の朝、そのはずれにある木製の橋“水無月橋”で見つかった死体は、東京の大手メーカーに勤める会社員で、1年前に同僚の送別会以降に失踪していた男・市川吾郎だった。
生まれも育ちも東京の彼は、偽名を使って隣のK町のとび地にある家に住み、町について……特に塔や歴史について調べていたらしい。しかし町の人々は何故か、塔については一様に関心が薄い。
その市川に興味を持ち、他所からやってきた“あなた”は、彼の行動について、そして同様に町について調べ始めるが……

死体で見つかった男と町の秘密について、犬の散歩が日課の双子の老姉妹や、焚き火が趣味の男子高校生等、いろいろな視点から語られる形式。
何だか、始終何かに見張られているかのような緊迫感と、不気味な雰囲気が感じられるお話でした。
結末は語られているのに、どこか釈然としない気持ち(話がおもしろくない、ということではなく、まだ何か謎が解明されていないような)にさせられるのは、そこに“あなた”と彼女に呼びかける、何か超越的な存在(…町?)の意思を感じるからでしょうか?

<08/9/27,28>


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