黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『シューマンの指』奥泉光(講談社)

2011-02-10 | 読了本(小説、エッセイ等)
二十年ほど前、当時海外留学していた友人・鹿内堅一郎から“私”里橋優に届いた手紙。
そこには、鹿内がシューマンの生地であるツヴィッカウを訪れた折、かつて天才ピアニストとして名を馳せながら、指を怪我したことからピアノを辞めたのではと思われていた、永嶺修人がピアノを弾いている場面に立ち会ったことが記されていた。
その事実が信じられない思いの私だが、その後、別の知人が彼がピアノを弾いているという新聞記事を見たと送ってくれた。しかし、それを信じることができずにいた……彼は指を切断したはずだからだ。
現在は音楽の道をあきらめ、医師となっている私は、永嶺と出会った高校時代の話を、ノートに綴った。
当時高校三年だった私の通う学校に、ピアニストの息子である永嶺が入学してきた。彼とシューマンについて語り合い、批評家として活発な文筆活動をなした、シューマンが作り出した架空の団体“ダヴィッド同盟”の名を用い、永嶺と私、その後に鹿内を加え、同盟を結成。『新音楽時報』と題したノートを綴り、シューマン談議に花を咲かせる。
そんな私は、三度だけ永嶺の演奏を聴いたことがあった。その最初の機会は、学校の音楽室での<幻想曲>。その夜、同じ校内のプールで、女生徒・岡沢美恵子が死体となって発見されて……

美少年ピアニストの演奏を聴いた三度の機会と、過去に起こった事件を、音楽の道を辞め、医師となった“私”が回想するお話。ミステリ…。
かなりシューマンについての記述が多くて衒学的なので、その辺に興味がある人の方が楽しめるかも。
ピアノの鍵盤を模した装丁が素敵♪

<11/2/9,10>


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