黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ジャムの真昼』皆川博子(集英社)

2013-04-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
私は函の中にいて、潜望鏡から娘を覗く。
休養の為、海外のツアー旅行に参加した精神科医師である私。しかし参加者の老女たちと、現地ガイドのカリナの間に立って疲弊。そんな中、足を怪我をし、ホテルで休んでいたが……“森の娘”、
一時人気芸人であった姉妹<双子ちゃん>…いまではひとりは死人、ひとりは老女となった。
老女はホテルの一室に十年近くすみついていて、私はそのホテルでポーターをしている。
まだ彼女が幼かった頃、兄弟ともに一緒に遊んだことがあった……
“夜のポーター”、
アトリエで、次々と男たちとベッドを共にする叔母。そしてジャムを舐めながら見続けるぼく。
トラックにのった母や兄妹に置き去りにされたぼく。
やがて第二次大戦終結、ドイツへと帰る家族から置き去りされて……“ジャムの真昼”、
祖母の父が遺したものが部屋を占めているその部屋を、ぼくは『博物館』と呼んでいた。
父は片腕を失っていたが、事情を訊くことはできなかった。兄さんは名誉の負傷だというけれど、見つけたノートには詩と血痕が……“おまえの部屋”、
父が買い取って改装した郊外の古い修道院に、父母と女中たちと住んでいた少年。
しかし夫婦仲は冷え、女中のヒルデは、父と関係を持っている様子で勤務態度が悪くなっていた……“水の女”、
姉夫婦が暮らす家に呼び寄せられた私は、一緒に暮らすことに。
兄弟は多かったが、ほとんどは既に亡く、共に慕っていた兄の思い出を競うように語り合う……“光る輪”、
一葉の写真、一枚の絵から物語を紡ぎだすという試みをしてきた私。美しく凛とした少女の写真に出会ったのは初めてニューヨークを訪れたときだった。
話に聞いたはオフオフ・ブロードウェイ(実験的前衛的演劇を上演する劇場)<グラーフ>を探し、街を彷徨う私は……“少女戴冠”の7編収録。

何故か読み忘れていた一冊(多分)。
各扉に掲げられた絵や写真をモチーフに紡ぎだされた短編集。舞台は概ねドイツかな。
退廃的かつ幻想的で、うっとり♪

<13/4/24>



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