黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』宮部みゆき(中央公論新社)

2010-08-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
幼なじみの許婚を失ったおちかは、江戸に住む叔父夫婦…伊兵衛とお民の営む袋物屋三島屋に身を寄せ、自ら望んで女中のように働き始めた。そんな中で、おちかは、伊兵衛が囲碁の為に設えた“黒白の間”にやってきた人々の不思議な話を聞き集めを続けることに。

三島屋に、古参の番頭風の男・房五郎と丁稚の染松という少年がやってきた。どうやら聞き集めの噂を曲解し、おちかの聞き集めを、問題を解決してくれるものと勘違いしてきたらしい。
房五郎は金井屋という店の人間。その店の主家筋である上州北の山の中にある、小野木という村の金橋家に奉公する両親を持つ染松。ひょんなことから、彼が水に近づくと、逃げるようにたちまち乾上ってしまうようになり、村を出されて江戸に預けられたのだという。
そんな染松を金井屋でももてあまして相談にきたのだった。そんな彼を三島屋で預かると申し出たおちかは、彼に詳しい話を訊く。彼の本当の名は平太。ある時、馬を追って迷った山で、ひとりの女の子に出逢ったのだという……“第一話 逃げ水”、
平太がいなくなってしまい、三島屋は寂しくなった。丁稚の新太は、特に年の近かった彼がいなくなったことで、寂しそうな様子だった為、友達ができるようにと伊兵衛たちは近所の手習所に通わせることに。
二月朔日。越後屋たちと梅を見に出かけたおちかは、思いがけず、隣に住まう針問屋住吉屋の人々に出会う。
主人夫婦…仙右衛門とお路…と一緒にいたのは、おちかも顔を見たことがなかった美しい箱入り娘・お梅。挨拶をし、彼女の嫁入りが決まったという話を聞かされる。その後、彼らと別れたおちかだったが、謎の女が彼らと一緒にいるのに気づき、不審を覚える。
三月十日。住吉屋夫婦が仙右衛門とお路が三島屋へ挨拶に訪れた。お梅は十五日に発つことに。が、裏口から出たりと奇妙な様子の嫁入り。しかもちらりと見た花嫁の横顔は、お梅ではない別人で、疱瘡顔の、先の女だった。
新緑の季節になり、お路が黒白の間の客としてやってきた。早晩店をたたむことになったという彼女から、お梅たちが生まれたことから始まった、因縁話を聞くことに……“第二話 藪から千本”、
梅雨の頃。先に雇ったお勝も三島屋にすっかり馴染んでいた。
そんな中、新太が手習所で怪我を負わされて帰ってきた。
相手の子供は、直太郎という新入りの子。先月、火事で父を失い、父の従弟である高級八百屋・八百濃の主人に元に引き取られたのだが、父の事が原因となり精神的に不安定なところがあるらしい。
そんな彼を心配する若侍・青野利一郎。彼は以前、直太郎が通っていた手習所の先生で、移った後も身の上を案じて、たびたび様子を見に来るのだという。
直太郎の父・与平は、ある屋敷の用人をしていたのだが、その隣にある空き屋敷が火事となり、そこで彼が遺体となって発見されたことから、その下手人だと決め付けられてしまったらしい。
その空き屋敷の存在が気にかかるおちか。そんな中、青野の師匠である加登新左衛門という老人が、その屋敷について何か知っているらしいと聞いて……“第三話 暗獣”、
夏。直太郎はすっかり明るくなり、再び静香先生の許しを得て、手習所に通うようになり楽しそうな様子。
新太の仲間の三人の子供たちの話から、青野の知り合いの偽坊主・行然坊に会いたくなったおちかは、子供たちに頼む。
その三日後、行然坊が店を訪れ、なにかおかしな出来事はなかったかとおちかに問う。店に暈がかかっているのが見えたという。
その言葉を信じてもらうために、まずは話を聞いて欲しいという彼は、若い頃山里の村で遭遇した出来事を語る。
館形という里で、足を滑らせ怪我をした彼は、記憶をなくしたふりをして、そこに暮らす覚念坊という和尚の世話になることになったのだが……“第四話 吼える仏”、
大方、変わりのない日々を過ごしていたおちか。三島屋には、いたずら三人組が頻繁に顔を出すようになり、青野や八十吉、皆の様子がちょっとおかしいの感じていたが……“変調百物語事続”を収録。

『おそろし』の続編。前巻に続き、不思議な話を聞き集めることになったおちか。
出てくるエピソードはやるせなかったり、切なかったり、人間の怖さを感じさせるものだったりですが、南伸坊さんのほのぼのなイラストが各ページに入っていて、何となく絵巻物のような雰囲気。
新メンバーも加わってまだまだ続きそうな気配なので、楽しみです♪

<10/8/16,17>


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